1. ベテランのキツイ対応:前職でのエピソード
話は再び前職、造園・土木業の会社で働いていたときのことです。
屋内でデスクワークなどをされている方には受け入れ難いかもしれませんが、この業界では、当日に作業する現場が前日の時点ではわからず、当日になって指示されることもあります。
営業の方でしたら、営業先を当日に指示されるようなこと、事務系一般職の方でしたら、当日に業務内容を言われるようなことがレベル的には相当しますが、「現場」という言葉が大げさな印象を与えているかもしれません。
さて、入社から2週間ほど経過した頃、その日は大ベテランAさんと自分の2人で、1つの現場を担当することになりました。初めて行く現場で、詳細にはどんな作業をするのかもわからないながら、大ベテランAさんに「●●を準備すればいいですか?」と尋ねたところ、「そんなもん、自分で考えろ」と辛辣な対応。どんな作業をするのかもわからない状態なのに…。まじかよ…。
20代の若い自分だったら、これがきっかけで嫌になって辞めてしまうかも、と思うようなレベルの対応でした(自分は転職の大変さを知っているので、それくらいでは辞めようと思いませんでしたが)。
実際の作業中もいろいろ怒られながら作業をこなしましたが、こういう方でも休憩時間はとてもフレンドリー。やや距離が近づいたかと思ったら、また数日後に一緒の現場になると、再び距離を感じる、というツンデレの繰り返しでした。
それから時が流れて3か月ほど経過したある日、その大ベテランAさんと同い年で、Aさんよりも社歴の長い超ベテランBさんが「五味君てのは、いくら厳しいことを言っても嫌な顔1つせずにがんばってくれるなぁ、辞めねぇでほしいなぁ」と言っていた、という話をAさんから聞きました。
それ以降、大ベテランAさんは、自分に対して親切に接してくれるようになり、とてもうれしく思ったと同時に、大ベテラン・超ベテラン二人のためにも、一生懸命頑張ろうと思いました。
2. どうしてベテランはキツイ対応をするのか
いろいろな方の話を聞いて総合的に考えた結果、ベテランの方は
「どうせ、そのうちキツくて辞めるから、辞めそうな人は早い段階で辞めてもらったほうが、いろいろ教えてから辞められるよりもいい」
という考えを持っている、ということがわかりました。聞いたところによると、過去には最短、半日で辞めてしまった方がいたようです(=午前中だけ仕事をして午後にはいなくなってしまった)。そうした経験をしてきたので、上記のような考えを持ってしまったのだと、納得はできました。
3. 他の業種では?
さすがに半日での退職はなくても、人の入れ替わりが多いような業種であれば、こうした考えを持っている大ベテランはどこにでもいそうな気はします。弊社がおもな対象としている製造業の現場であればなおさら、こういうことはありそうだと思います。
実際、お客様の会社の従業員の方へヒアリングをすると、「●●さんに技術的なことを聞きたいが、嫌な対応をされるのであまり聞きたくない」とか「作業場所からは少し離れているが、別の人に聞くようにしている」などという声が聞かれます。これは業務において、生産性を下げることにしかつながらない、完全なムダです。
4. ではどうすればいいのか
上司が部下を圧力や罰でコントロールし、社員が常に不安を感じているようなギスギスした組織では、社員にモチベーションや自由な発想が生まれません。とはいえ、社員同士が仲良しすぎてあまりにもぬるい組織では、雑談は活発でも、仕事の成果には反映されないこともあります。成長する組織とは、率直な対話や、健全な意見の衝突があり、個人とともに組織が成長していくような状態です。
株式会社ほんとうのことでは、おもに製造業を対象として、生産性を上げるための人材育成や組織づくりに関するコンサルティングサービスをご提供しております。コミュニケーションの改善は、もっとも弊社が得意としている領域です。
社員がどうも生き生きとしていない、社内のコミュニケーションがいまいち、離職が多い、などといった悩みをお抱えの経営者の方や管理職の方、ぜひ一度弊社へご相談ください。御社のお話をお伺いしながら、他社さんでの事例等をご紹介できればと思います。何かしらのメリットをご提供できるはずです。お気軽にどうぞ。