インタビューにあたって
キャリアの分岐点リレー、第4回。
今回登場するのは、アップアップガールズ(仮)の担当であり、八木沙季のTikTok視聴者には「kbやん」の愛称でおなじみのkbマネ。
一人のタレントの上京に「私も行きます」と即答したところから始まったYU-Mエンターテインメントでのキャリアは、二人体制から大人数グループへ、そして一度は担当を離れるという経験を経て、今のkbマネにつながっている。
K-POPファンだった学生時代から痛感していたエンタメ業界で生き抜くための覚悟、今なお胸にある「恩返しをしたい」という思いまでじっくり聞いた。
K-POPファンだった私が、東京行きを即答した日
kbマネが今の仕事に足を踏み入れたのは、専門学校卒業後、恩師の推薦でアップフロントグループ関西支社に入社したことがきっかけだった。
「当時の私はK-POPを主に聴いていて、日本のアイドルに無頓着だったんです」
意外な出発点を、kbマネは隠さずに話す。
日本のアイドル文化に本格的に触れたのは、あくまで仕事がきっかけだった。ところがその現場で、少しずつ魅力に気づいていったという。
「仕事で日本のアイドル文化に触れて、どんどん魅力に気がついて、自分自身ハマっていったのを今でも覚えています」
マネジメント志望で入社したkbマネが、初めて担当として任されたのが、今も担当を続けている八木沙季が所属する「Lovelys」というアイドルグループ。そんな彼女との出会いが、その後のキャリアの軸になっていく。
「専門学校で勉強してきたとはいえ、右も左もわからない私に、沢山のことを学ばせてくれたタレントです」
一緒に過ごした時間は、順風満帆だったわけではない。ぶつかることも少なくなかった。それでも、感動を分かち合う瞬間も数え切れないほどあったとkbマネは振り返る。仕事でもプライベートでも、大事な存在だと言い切る。
そんな二人の関係が大きく動いたのが、担当グループが活動を終了し、八木が東京で挑戦したいという意思を口にした瞬間だった。
「即答で、私もいきますと言ったのを覚えています」
そこにあったのは、八木への思いだけではなかった。kbマネ自身の中にも「東京でもう一度頑張りたい」という気持ちが確かにあった。二人分のその願いに寄り添い、挑戦する環境を与えてくれたのが、YU-Mエンターテインメントだった。
1人から大人数グループへ―立ちはだかった壁
八木以外にもグループアイドルのマネジメントを担当することになる、という話は入社前から聞かされていた。それでも、いざその立場に立ったとき、kbマネの中には大きな不安があった。
「これまでグループのマネジメントは2人組しか経験していなかったため、人数の多いグループをきちんとまとめていけるのか、入社直後は特に不安でした」
2人体制の現場でkbマネが実感していたのは、一人ひとりと密にコミュニケーションを取りながら、それぞれの考えや気持ちを丁寧に把握できていたという手応えだった。
「人数が増えると、同じようにコミュニケーションを取っているつもりでも、一人ひとりにかけられる時間や目を配れる範囲には限りがあります」
今、kbマネが任されているのはアップアップガールズ(仮)のマネジメントだ。性格も考え方もそれぞれ違うメンバーたちを前に、誰かに偏ることなく一人ひとりとしっかり向き合うこと。そして同時に「グループとしてどうしていくか」という視点も持ち続けること。そのバランスをどう取るか、kbマネは今も悩みながら模索を続けている。
一度離れたからこそ見えたもの
kbマネが自分の中の変化を強く意識したのは、アップアップガールズ(仮)のマネジメントを任されたタイミングだったという。そのとき社長からかけられたのが、次の言葉だった。
「あなたは人の心に寄り添う力が長けているから、アプガメンバーのメンタルに寄り添ってほしい」
自分にそうした良さがあるのかと、少し嬉しくなったのを覚えているという。
このタイミングは同時に、それまで担当していた八木沙季のマネジメントを一度外れることになった時期でもあった。kbマネはこの期間を、すごく悩んだ時期だったと表現する。
この時期について、kbマネ自身は次のように振り返っている。
「グループアイドルのマネジメントをする中で、メンバーへの向き合い方で悩むことも多くありましたが、より成長できたなと自分でも実感できる期間でした。今はアプガのマネジメントをさせてもらえたことにすごく感謝しています」
現在、kbマネは八木沙季とアップアップガールズ(仮)の両方を担当している。この状況について、kbマネは次のように話す。
「また八木のマネジメントができることと、引き続きアプガの担当もできる今の状況に感謝し、全身全霊で頑張っていきたいです」
なお、この出来事はkbマネが入社して1年半ほど経った頃のことだったという。
恩返しがしたい、その先にあるもの
今の仕事を続けていられる理由を尋ねると、kbマネはまず自分自身への評価から話し始めた。
「常に自分はまだまだだな、未熟だなと思っています」
そのうえで、kbマネが自分の一番の長所として挙げたのは、周りに恵まれていることだった。
「タレントという立場にも関わらずマネージャーが困っていると率先して助けてくれるメンバー、落ち込んでいる時に助けてくれる先輩、後輩、上司、そしていつも支えてくれる家族友達がいることで、私はこうして今この仕事を続けれられているなと常に感じます」
この感覚は特別な出来事のときだけ湧くものではなく、日常の中で繰り返し訪れるものだという。「常に思っています」とkbマネは言う。仕事を続けたい理由は、まさにそこにあるのかもしれない。
「いつか恩返しがしたいです」
これからマネージャーという仕事を目指す後進に向けて、kbマネは自身の経験から一つのエピソードを語ってくれた。
マネージャーになりたいと目指し始めた頃、実際にマネージャーとして働いている人と話す機会があった。そのときkbマネは、あえてキラキラした部分ではなく、大変なことやしんどいことを多く聞くようにしたという。
「そのおかげで、想定内、想定内!と思えることができています(笑)」
どの仕事にも共通することだと前置きしたうえで、kbマネは最後にこう言葉を結んだ。
「ある程度覚悟をして挑戦してみたほうが、実際頑張れるんじゃないかなと思います」
タレントの「東京で挑戦したい」という一言に即答で寄り添ったあの日から、kbマネのキャリアは常に誰かとの心と心のつながりの中にあった。単なる「業務としてのマネジメント」ではなく、一人の人間としてタレントや仲間の心にどこまでも深く寄り添い、信頼を紡いでいくこと。それこそが、kbマネの持つ唯一無二の強みであり、マネージャーという仕事の何よりの醍醐味なのかもしれない。
大変なことも、壁にぶつかることもある。けれど、人と人との関わりを何より大切にする彼女の周りには、いつも支え合える温かい繋がりと笑顔があふれている。
キャリアの分岐点リレー、次回もお楽しみに。