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プロジェクト開始から1年、見えてきた「URBAN HACKS の課題 」とは?新技術とレガシーシステムの融合を目指して

東急株式会社 URBAN HACKS プロジェクト採用担当です。
今回のインタビューは、URBAN HACKSで VPoE を務める宮澤さんの登場です。

同プロジェクトは、​約100年の歴史を持つ東急がDXの加速を目指し、2021年7月に発足。同プロジェクトは宮澤さんをプロジェクトオーナーとして迎え、開発機能の内製化を推進し、グループ横断でのサービス開発や体験設計を実行しながら、東急グループのアセットを活かしたよりよい暮らしの実現を目指しています。

【今回のストーリー登場者】
東急株式会社 デジタルプラットフォーム
VPoE 宮澤 秀右 (みやざわ しゅうすけ)

▶︎ 前回インタビュー

大企業のDX人材は今まで通りの「待ちの採用」では集まらない。VPoE宮澤が考えるDXを成功に導く採用活動と組織づくりとは | 東急株式会社
東急株式会社 URBAN HACKS プロジェクト採用担当です。今回のインタビューは、URBAN HACKSでVPoEを務める宮澤さんの登場です。 ...
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URBAN HACKS は現在、新たなイノベーションを生み出すべく、人材採用は順調に進んでおり、プロジェクトが発足してから1年で30名以上の仲間が参画し新たなものづくりが進んでいます。一方で、新技術を活用した東急の新しい街づくりの実現に向けた取組みを推進していく上では、乗り越えなければいけない課題も多くあります。

本記事では、URBAN HACKS プロジェクトを進める上で浮き彫りになってきた東急のデジタル課題と現状について宮澤さんにインタビューを実施しました。ぜひご一読ください。

東急の街づくりDX組織「URBAN HACKS」

ーー プロジェクトの概要と現在の進捗についてお聞かせいただけますか?

URBAN HACKS (以下、UH)が進めている DX は、「顧客接点」に焦点を当てています。東急が提供しているサービスをお客様ごとのライフスタイルに合わせ、より便利な体験価値として提供していくことが、主なプロジェクトの概要です。

そのため UH ではアプリケーションや Web 、基盤などの顧客向けのデジタル開発をフロントのデザインからバックエンドまで E2E で行っています。UH の目的は、お客様へ価値のあるサービスを提供しつづけることになりますので、初めから全てをつないだサービス設計をするのではなく継続的に実行していくことで、結果的にグループ横断での便利なサービスを構築することができると考えています。

我々はまず、これまで東急が提供してきたリアルな施設やサービスをデジタルと融合させて理想の顧客体験を実現する「点」のフェーズを実行していきます。そのために、徹底した顧客視点によりプロダクトやサービスを内製し、そこから得られたデータを収集し解析することでサービスやプロダクトを進化させていきます。そして「点」を強化していくことで、自ずとお客さまに利用されるサービスが連携し、関連している事業も連携していくストーリー「線」が生まれ、事業ごとにまたがるお客様の声がより集まり、事業目線ではなく顧客顧客目線で不足しているサービスが浮き上がってくると予想しています。

DX組織「URBAN HACKS」の目の前に立ちはだかる既存システムの老朽化とブラックボックス化

ーー URBAN HACKSプロジェクトを進めるにあたって課題はありますか?

東急に限った話ではありませんが、DXを加速させたい多くの企業で、既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化などの課題が上がっているかと思います。

我々も現在、まさにこの壁にぶつかりつつあります。東急のこれまでのシステム開発は、ベンダーに依頼することがほとんどでした。 UH を立ち上げるにあたり、開発の内製化を積極的に推進し、新しい技術や開発体制・運用方法を取り入れることで、既存システムの改善は必然的に起きる課題だと当初から予想はしていました。

東急の場合、既存システムを使いこなせる人材が異動などで不在になり、それらのブラックボックス化が発生しています。これまでベンダーに依存しカスタマイズを重ねてきた既存システムを理解している人材がいないため、まずはその理解と調査に時間がかかっています。

調査を進めているところ、 ベンダーが作ったシステムが API 化されていなかったり、もちろんマイクロサービスアーキテクチャが設計されていないため、複数のマイクロサービスを連携させ迅速なデプロイ、優れた回復性やスケーラビリティを実現することが難しい状態です。現在は、今あるシステムが最適かどうかの判断、連携させるサービスは何が適切なのか、などをチームで1つ1つ解決しながら進めているフェーズです。

協業するベンダーがウォーターフォール開発を行う中、アジャイルで開発を行う UH が開発をリードしなければいけません。また、顧客向けのサービス開発のために必要なCRMシステムやCMSなど、東急の子会社各社が使うSaaSサービスやベンダーがバラバラであり、開発の効率をどのように上げていくかも課題です。これらの課題に取り組み 、UH の内製開発を支援するシステムプランニングチームが必要だと我々は考えました。短期的には既存のシステムをどうにかしていかなければいけない状況ですが、中長期的にいえばシステムだけの話ではなく経営や事業に関わる奥が深い課題であるとも考えています。

デジタル技術とレガシーシステムを融合するシステムプランニングチーム

ーー 課題を解決するためのアプローチについて宮澤さんはどのように考えていますか?

まず、現行のシステムを理解した上でそれらが将来にどう活かせるのかを考えつつ、複数の事業部や事業会社が個別で使用しているシステムの共通化を進めていく必要があると考えています。

UH では、お客さまに提供する体験価値を最大化することを目的としていますから、個別事業だけでなく東急全体の事業や効率化、全体最適化もあわせて考えていかなければいけません。また UH の新規開発と事業会社の既存システムどちらにも影響するITの企画力が必要です。

まさに"探索型のシステム企画"に挑戦していかなければいけないと考えています。

今回、新たに立ち上げるシステムプランニングチームでは、システムの新規導入や入れ替えのタイミングで適切な社内パートナーとなり事業の目標を共創しつつ、東急全体での最適化を図りながら、アーキテクチャ設計のサポートやベンダー・SaaS選定のアドバイスならびに内製開発の判断を行っていただくことがミッションになります。

外部パートナー・ベンダーとの共同開発においても、UH の実行する内製開発と連携した上で事業を横断するプロジェクトをマネージし、全体での開発成果に貢献いただきたいと思っています。これらの活動により、我々はベンダーロックインからの開放を進め、東急グループ全体としてのシステムコストを削減しつつ、開発ナレッジと顧客データを自社に蓄積し、将来の経営資源として活用していきたいと考えています。

今年100周年を迎える東急が、これまで世に出してきた様々なサービス、事業合併や統合などを繰り返す中で複雑化した既存システムと新技術の融合を実現するというのは非常に難易度が高く、日本の IT 業界の中でもインパクトがあり歴史に残る仕事ではないかと思います。

難題ではありますが、このような環境下で東急が持つアセットを活かし、リアルとデジタルをどのように組み合わせてお客様に価値を提供していくのか。それらをソフトウェアエンジニアリングと掛け合わせて、膨大なシステムのアーキテクチャをデザインしながら東急の未来の街づくりを構想し続けることに挑戦できる方とぜひご一緒したいです。

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