「PerplexityはGoogleを超えられるのか?」
この問いを、最近よく耳にするようになりました。
数字だけを見れば、答えは明快です。
Googleの検索シェアは91%。Alphabetの四半期売上は1,198億ドル、そのうち検索広告収入だけで633億ドル。Gemini搭載のAI検索は月間10億人が使っている。
一方のPerplexityは、まだ上場もしていないスタートアップです。
Webトラフィックは2025年10月のピークから減少傾向にあり、主要AIアシスタントの中でも定着率は最も低い水準にあります。
規模で比べれば、勝負にすらなっていない。
それでも、私はこの問いの立て方自体に、違和感を持っています。
「Googleを超える」という言葉が、いつのまにか「Googleと同じ場所で、Googleより大きくなる」という意味にすり替わっていないでしょうか。
実際のPerplexityは、まったく違う戦い方をしています。
検索品質のベンチマークでは、GoogleのAIモデルと統計的に同水準、直接対決では53%の勝率を記録しました。
根拠を示した回答、ソースの透明性、タスクを実行するエージェント型ブラウザ「Comet」。Snapchatへの検索統合、SoftBankやDeutsche Telekomとの提携で、3億人規模のユーザー基盤にもアクセスし始めています。
配信力も収益規模もGoogleには遠く及ばない。
それでも、「Googleがまだ本気で取りに来ていない場所」では、確かに存在感を示している。
つまりPerplexityは、Googleという巨人に真正面から挑んでいるわけではありません。
戦う場所を、自分で選び直しているのです。
これは、私たちがCVCとスタートアップの間で見てきた構造と、驚くほど似ています。
スタートアップは、大企業と同じ土俵で規模を競っても勝てません。
人も、資本も、販売網も、圧倒的に足りない。
だからこそ多くの出会いが、「面白いですね」で終わってしまう。
でも本当に必要なのは、規模で勝つことではなく、「どこで戦えば、自分たちの強みが最大化されるか」を見極めることだと思っています。
その見極めには、感覚や偶然ではなく、情報とプロセスが必要です。 私たちが開発したAIリサーチワークフロー「CATALYST」は、まさにそこに向き合うためのものです。
企業の課題やアセットを起点に、最適な連携先を探索し、「なぜ組むべきか」というシナジー仮説まで一気通貫で整理する。
戦う場所を、勘ではなく根拠で選べるようにする。
PerplexityがGoogle全体を超える日は、当面来ないかもしれません。
でも、Perplexityは「Googleが不得意な場所で、Googleより良い体験をつくる存在」として、すでに確かな価値を証明し始めています。
規模で勝てないなら、戦う場所を変える。
これは、スタートアップとCVCの間でも、これから当たり前になっていく戦略だと思っています。
私たちFIRST CVCは、その「戦う場所」の設計そのものを、これからも支援していきます。