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SOMAは大型のガラステーブルを持ち、そこに並べた物体を一括してスキャンします。 資料を並べて [SCAN] ボタンを押したら、あとはSOMA任せで計測が完了します。その間 (1) センサーの姿勢を変える (2) 対象の姿勢を変える (3) 複数データをマージするなどの付帯作業を必要としませんので、計測者は ...
http://www.lang-co.jp/corner380513/pg2501450.html
こんにちは!株式会社ラングです。
本日は、当社が岩手大学工学部情報システム工学科(現 .理工学 知能・メディア情報コース)と共同で開発した 3Dスキャナをご紹介します!
遺跡の発掘調査で出土する遺物は、大きさ数cm程度の石片や土器片がその大半を占めています。SOMAはこれら大量の小さな遺物を効率的に記録することを目的とし、ラングが岩手大学工学部情報システム工学科(現 .理工学部知能・メディア情報コース)と共同で開発した 3Dスキャナです。
SOMAシステムは 2008年の完成以降、自社の効率化に貢献してきましたが、この度 このシステムを他の調査機関も利用できるよう、受注製造販売も行っています!
これまでは、時間や費用等の都合で記録されないまま「収蔵庫行き」となっていたような小さな破片資料を含めて、出土資料群全体を3D情報として次世代に託す考古学を実現したいと思っています。
SOMAは大型のガラステーブルを持ち、そこに並べた物体を一括してスキャンします。
資料を並べて [SCAN] ボタンを押したら、あとはSOMA任せで計測が完了します。その間、
(1) センサーの姿勢を変える
(2) 対象の姿勢を変える
(3) 複数データをマージする
などの付帯作業を必要としませんので、計測者は 1日に何百点もの資料の3Dデータを取りながら、同時に別の仕事を並行して行なうことが可能となります。
SOMAは、4台のセンサーを傾きをつけて搭載することで、資料表面上のレーザーが当たらない死角を最小限に抑えます(特許)。
安定したアームに固定された4つの1次元レーザー変位計は、資料表面のエッジ(稜)を鈍らせることなくビビッドに記録します。稜の再現性は、考古資料のデータ品質を左右する重要な点であり、これまで3Dデータの視覚化研究に取り組んできたラングが最もこだわったポイントです。
SOMAのデータ処理アプリケーションは、遺跡調査の整理作業での利用を想定し、誰にでも簡単に操作できるように設計されています。
データ処理では、遺物IDと計測データ識別IDとの対応付けを視覚的におこないます。対応付け完了後 [配布実行] ボタンを押すと、遺物ID名のフォルダを自動で作成し、そのフォルダの中に関連ファイルを自動格納します。このファイル群の中にPLY形式の3Dデータが作成され、3Dビューワで表示することができます。
データ処理アプリケーションは、PLY形式に書き出すだけでなく、ラングが提供しているPEAKIT作成サービスへとスムーズに移行できるよう、
(1) 3Dデータの姿勢(表裏/傾き/天地)を指定する機能
(2) 断面取得位置を指定する機能
を備えています。
この機能で作成したパラメータファイルを、3Dデータとともにラングに送信すれば、たとえ大量のデータでも短時間でPEAKIT画像を作成することができ、遺跡調査報告作成における効率を飛躍的に向上させることができます。
SOMAの第1号を無事納入することができました。納入先は、長らく自社内でこっそりと運用していたSOMAを市販化するよう強く後押ししていただいたお客様でした。
早速お客様で計測した4〜50点分の石器のデータがラングへ届き、すぐにPEAKIT処理をかけてお返ししました。先方ではSOMAでの計測開始から成果を手にするまでのスピードに、感激の拍手が起こったそうです。以前からずっと頭のなかだけで思い描いていたデータづくりのワークフローが実現した瞬間でした。
ゆくゆくは各地にSOMAが配備され、地域の遺物計測をその拠点に集約させることができれば、出土する遺物をひとつのこらず3Dデータ化することも絵空事ではないと思います。遠からず課題の中心は、個別技術的なものから記録保存のグランドデザインへと移ってくるように感じています。
写真は納入日の朝、弊社製作ガレージから SOMA 第1号機を送り出す開発者の千葉(寝不足)。
※現在6台のSOMAが各地の遺跡調査機関で稼働しています。