突然ですが、あなたの給与、正当に評価されていますか?
「今の給料、自分のスキルに見合っているのかな…」 「現場でどれだけ評価されても、会社の給与テーブルが変わらない」 「もっとキャリアアップできる案件に挑戦したいのに、営業が持ってくるのは似たような案件ばかり…」
もしあなたがSES(システムエンジニアリングサービス)で働くエンジニアで、このような悩みを一度でも抱いたことがあるなら、この記事はあなたのためのものです。
昨今、エンジニア業界で注目を集めている「高還元SES」という働き方をご存知でしょうか?言葉は聞いたことがあっても、「なんだか怪しい」「普通のSESと何が違うの?」と疑問に思っている方も多いかもしれません。
この記事では、そんな「今さら聞けない」高還元SESの基本から、メリット、そして見過ごされがちなリスクまで、2025年の最新情報を踏まえて徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、高還元SESがあなたにとって本当に「大丈夫」な選択肢なのか、そしてキャリアを飛躍させる武器になるのかを、ご自身の力で判断できるようになるはずです。
目次
突然ですが、あなたの給与、正当に評価されていますか?
結論:高還元SESは「ハイリスク・ハイリターン」な働き方
▼今さら聞けない「高還元SES」の基本
そもそも高還元SESとは?普通のSESとの決定的な違い
▼「還元率」の仕組みを分かりやすく解説
▼なぜ今「高還元SES」が増えているのか?その背景
▼【メリット】高還元SESがエンジニアに選ばれる5つの理由
①圧倒的な給与アップが期待できる(年収シミュレーション)
②案件選択の自由度が高い
▼【注意】「本当に大丈夫?」高還元SESのデメリットと潜むリスク
①待機期間中の給与保証がない、または減額されるケースも
②営業力やサポート体制が会社によって雲泥の差
③福利厚生が手薄な場合がある
④帰属意識を感じにくく、孤独になることも
⑤スキルシートが全て!自己研鑽が必須の世界
▼高還元SESの還元率の実態とは?
会社負担の社会保険料がカギ(重要ポイント)
▼還元率に会社負担の社会保険料が含まれる事実
社会保険料(従業員、会社)の一覧(おさらい)
高還元SESの還元率の計算方法
▼失敗しない!優良な高還元SES企業を見抜くためのチェックリスト
▼フリーランスと高還元SES、結局どちらを選ぶべき?
▼まとめ:高還元SESはリスクを正しく理解すれば、エンジニアにとって強力な武器になる
▼安心安全のホワイト高還元SESに転職を考えている方へ
結論:高還元SESは「ハイリスク・ハイリターン」な働き方
まず結論からお伝えします。高還元SESは、「自身のスキルを正当な報酬に変えたいエンジニアにとって、最高の選択肢の一つ」です。しかし、それは「リスクを正しく理解し、優良な企業を選ぶ」という条件付きです。
高還元SESは、従来のSESが抱えていた「評価の不透明さ」や「給与の頭打ち」といった課題を解決する画期的な仕組みである一方、会社選びを間違えたり、自身のスキルが伴わなかったりすると、かえって不安定な状況に陥る可能性も秘めています。
まさに「ハイリスク・ハイリターン」な働き方と言えるでしょう。
- 向いている人:スキルに自信があり、能動的にキャリアを築きたい自走できるエンジニア
- 向いていない人:手厚い研修や充実した福利厚生、安定した固定給を求めるエンジニア
この記事では、この「リスク」と「リターン」の正体を一つずつ解き明かしていきます。
▼今さら聞けない「高還元SES」の基本
まずは、高還元SESの基本的な仕組みから理解していきましょう。
そもそも高還元SESとは?普通のSESとの決定的な違い
高還元SESとは、エンジニアが顧客先で稼いだ「単価(売上)」の大部分を、本人の給与として還元する仕組みを持つSES企業のことです。一般的に、還元率が70%以上の企業を指すことが多いです。
従来のSESと高還元SESの最大の違いは、給与の決まり方にあります。
つまり、従来のSESが「会社」を主語として給与を決めるのに対し、高還元SESは「エンジニア個人の市場価値」を主語として給与が決まる、よりエンジニアファーストなモデルなのです。
▼「還元率」の仕組みを分かりやすく解説
高還元SESを語る上で欠かせないのが「還元率」です。しかし、この言葉には注意が必要です。なぜなら、還元率の計算方法は企業によって異なるからです。
「還元率80%!」という謳い文句を見ても、すぐに飛びついてはいけません。以下の点を確認しましょう。
- 何をベースに計算しているか?
- 単価(売上)ベース: 最も分かりやすい。顧客からの単価全体を100%として計算する。
- 粗利ベース: 単価から会社の経費を引いた「粗利」をベースにする。この場合、経費の計算方法が不透明だと、実質的な還元率は低くなります。
- 会社負担の社会保険料などが給与から差し引かれないか?【重要】
- 還元される給与に、会社が負担する社会保険料(厚生年金・健康保険など)を含んでいる場合があります。これを含むと、手取り額は見た目の還元率より低くなります。これは本当に注意です。
面談の際には、「還元率の計算式を具体的に教えてください」「月単価80万円の場合、私の手取り額はいくらになりますか?」と具体的に質問することが重要です。
▼なぜ今「高還元SES」が増えているのか?その背景
近年、高還元SES企業が急増している背景には、主に以下の3つの理由があります。
- 深刻なエンジニア不足:優秀なエンジニアを獲得するための競争が激化し、企業はより魅力的な待遇を提示する必要が出てきました。
- フリーランスという働き方の浸透:フリーランスとして高収入を得るエンジニアが増えたことで、会社員エンジニアも「正当な報酬」を求めるようになりました。高還元SESは、その受け皿となっています。
- 価値観の変化:終身雇用が当たり前でなくなり、会社への帰属意識よりも個人のスキルやキャリアを重視するエンジニアが増加しました。
これらの要因が組み合わさり、エンジニアの市場価値を正しく給与に反映させる「高還元SES」というモデルが支持を広げているのです。
▼【メリット】高還元SESがエンジニアに選ばれる5つの理由
それでは、エンジニアが高還元SESを選ぶ具体的なメリットを見ていきましょう。
①圧倒的な給与アップが期待できる(年収シミュレーション)
最大のメリットは、何と言っても大幅な年収アップです。あなたのスキルが正当に評価され、単価として給与に反映されます。
【年収シミュレーション】 仮にあなたの案件単価が月額80万円だったとします。
- 従来のSES(還元率40%〜50%と仮定)
- 年収:400万円〜550万円 程度
- 会社の利益や他の社員の給与、オフィス費用などに多くが充てられる。
- 高還元SES(還元率75%)
- 月収:80万円 × 75% = 60万円
- 年収:60万円 × 12ヶ月 = 720万円
もちろん、これは単純計算であり、実際には社会保険料などが関わってきますが、年収が150万円以上アップする可能性を秘めていることが分かります。
②案件選択の自由度が高い
多くの高還元SESでは、会社が保有する案件リストをエンジニアに公開し、エンジニア自身が参画したい案件を選べる「案件選択制度」を導入しています。これにより、「給料は良いけど、やりたくない仕事」を避け、「自分のキャリアプランに合った仕事」に就くことが可能になります。
③キャリアパスが描きやすく、スキルアップに繋がる
案件を自分で選べるということは、自身のキャリアを主体的に設計できるということです。
- 「上流工程に挑戦して、PMを目指したい」
- 「AWSやGCPなど、クラウドの最新技術に触れたい」
- 「GoやPythonを使った開発経験を積みたい」
このような具体的な目標に合わせ、戦略的に案件を選ぶことで、市場価値の高いエンジニアへと成長していくことができます。
④会社のしがらみが少なく、エンジニアの業務に集中できる
高還元SESは、本社経費を削減してエンジニアへの還元に回すビジネスモデルです。そのため、不要な帰社日や社内イベント、定例会議などが少ない傾向にあります。これにより、あなたは顧客先の業務に集中し、スキルアップやプライベートの時間を確保しやすくなります。
⑤透明性の高い評価制度
「何をすれば給料が上がるのか」が明確です。自分の単価が給与に直結するため、「あの人は仕事ができないのになぜ給料が高いんだ…」といった理不尽な思いをすることがありません。目標とすべき単価が明確になるため、モチベーションを維持しやすいのも大きなメリットです。
▼【注意】「本当に大丈夫?」高還元SESのデメリットと潜むリスク
ここまで良い面を見てきましたが、光があれば影もあります。タイトルの「本当に大丈夫?」という不安に答えるため、厳しい現実とリスクも正直にお伝えします。
①待機期間中の給与保証がない、または減額されるケースも
最大のデメリットは、待機期間(次の案件が決まるまでの期間)のリスクです。高還元を実現できるのは、あなたが現場で稼働しているからです。そのため、待機期間が発生すると、
- 給与が一切支払われない
- 基本給の6割程度の保証しかない
といったケースが存在します。この待機リスクをどこまで会社が保証してくれるかは、企業選びの最重要ポイントです。
②営業力やサポート体制が会社によって雲泥の差
あなたの単価とキャリアは、会社の営業力に大きく左右されます。営業力が弱い会社に入ってしまうと、
- 高単価な案件を獲得できない
- 希望する技術領域の案件がない
- 待機期間が長引いてしまう
といった事態に陥ります。また、現場でトラブルがあった際のフォロー体制や、キャリア相談に乗ってくれる担当者の存在も、安心して働くためには不可欠です。
③福利厚生が手薄な場合がある
家賃補助、退職金、資格取得支援、家族手当といった福利厚生は、従来のSES企業に比べて手薄な傾向にあります。「福利厚生費も全て給与として還元する」という考え方のため、これはトレードオフと割り切る必要があります。
④帰属意識を感じにくく、孤独になることも
会社との接点が少ないため、チームで何かを成し遂げる一体感や、会社への帰属意識は感じにくいかもしれません。相談できる同僚や先輩が社内におらず、孤独を感じる人もいます。
⑤スキルシートが全て!自己研鑽が必須の世界
高還元SESは、あなたのスキルシート(経歴書)が全てです。常に市場から求められる存在であり続けるために、継続的な自己研鑽が欠かせません。学習を怠り、スキルが陳腐化すれば、単価は下がり、あなたの給与もダイレクトに下がっていきます。
▼高還元SESの還元率の実態とは?
会社負担の社会保険料がカギ(重要ポイント)
高還元SESでは、会社負担の社会保険料を給与から差し引くことで、高い還元率を実現している場合があります。高還元SESでは本来は会社が国に支払わなければならない「会社負担の社会保険料」を還元率に上乗せしてあたかも高還元のように見せかけ、給与支払い時にエンジニアの給与から、差し引くという手法が、一部の高還元SESでは一般的になっています。
このような偽りの表示に近い曖昧な表現をしている高還元SES会社にはくれぐれもご注意ください。(高還元SES企業とカジュアル面談などを行う際は必ず「会社負担の社会保険料を給与から差し引かないか?」を確認したほうが良いでしょう。
【ポイント】還元率とは受注案件単価に対して、どの比率で給与や賞与として還元するかを表す指標です。
還元率イメージの比較
還元率「正規表示」の高還元SES
還元率「虚偽表示」の高還元SES
やっかいなのが、実際は採用媒体で上記の赤字部分を隠蔽して記載している会社も多いのが事実です…(見分けがつかない)
上記のように、会社負担の社会保険料以外にも、福利厚生費や現場までの交通費などが給与から差し引かれるため、実際の手取り額は大幅に減額されます。
そのため、高還元SESの還元率が高いからといって、必ずしも手取り額が多いとは限りません。
▼還元率に会社負担の社会保険料が含まれる事実
社会保険料(従業員、会社)の一覧(おさらい)
社会保険の種類はいくつかあります。社会保険とは、健康保険・介護保険・厚生年金の総称であり、社会保険料は労使合計で約30%という非常に高い料率となっており、これを従業員と会社で折半します。これを労使折半といいます。 つまり、会社の負担が給与以外に約15%程度あるということになります。この会社負担の社会保険料(本来は会社が国に支払わなければならない)を還元率に含め、給与支払時にエンジニアの給与から差し引く高還元SESが存在します。
高還元SESの還元率の計算方法
ごく一般的なSES企業の給与計算式
70万円 × 0.6(還元率60%) = 42万円
高還元SESの給与計算式
70万円 × 0.7 (還元率70%) = 49万円 ←ここから会社負担の社会保険料、交通費、福利厚生費、待機給与分などが差し引かれます。
▼失敗しない!優良な高還元SES企業を見抜くためのチェックリスト
では、どうすればこれらのリスクを回避し、優良な企業を見つけられるのでしょうか。面談や情報収集の際に、必ず確認すべき5つのチェックリストをご紹介します。
これらの質問を面談で率直にぶつけてみましょう。誠実にごまかさず答えてくれる企業は、信頼できる可能性が高いです。
▼フリーランスと高還元SES、結局どちらを選ぶべき?
高還元SESを検討する際、多くの人が「フリーランス」という選択肢と比較します。どちらがあなたにとって最適か、比較してみましょう。
「フリーランスのような高収入と自由度に憧れるけど、営業や事務作業、社会的信用の面で不安がある」という方にとって、高還元SESは「正社員の安定」と「フリーランスの自由度」の"いいとこ取り"ができる、非常にバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。
▼まとめ:高還元SESはリスクを正しく理解すれば、エンジニアにとって強力な武器になる
今回は、「高還元SES」について、その仕組みからメリット・デメリット、そして優良企業の見分け方まで、網羅的に解説しました。
最後に、重要なことをもう一度お伝えします。 高還元SESは、決して誰にでも合う万能な働き方ではありません。待機リスクや自己研損の必要性など、乗り越えるべきハードルも存在します。
しかし、自身のスキルと市場価値を武器に、能動的にキャリアを築いていきたいと考えるエンジニアにとって、これほど強力な選択肢はないでしょう。不透明な評価制度や会社の都合に振り回されることなく、自分の力で年収とキャリアを切り拓いていくことができます。
もしあなたが今の環境に少しでも疑問を感じているなら、まずは情報収集の一環として、いくつかの高還元SES企業の担当者と話してみることをお勧めします。そこから、あなたの新しいキャリアが始まるかもしれません。その際には、
会社負担分の社会保険料+交通費+福利厚生費が給与から引かれないか?
を十分に確認して下さい。もしこれに該当するこのような表現をしている高還元SES企業には十分注意が必要です!
▼安心安全のホワイト高還元SESに転職を考えている方へ
転職活動は自分自身を知り、成長する貴重な機会でもあり、夢や成長を追求するためには必要な要素の一つになるかと思います。
どのような選択をされるにせよ、あなたのその決断が素晴らしい未来を切り開くことを願っております!
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