行列を見ると少し気になる。
並びたいわけではない。
ただ、何が起きているのだろうとは思う。
人は自分で価値を判断しているようでいて、案外そうでもない。
誰が買っているのか。
どれくらいの人が集まっているのか。
そういう情報を手掛かりにしている。
権力者が買えば格式が生まれる。
有名人が買えば話題が生まれる。
社会現象が起きれば、今度は好き嫌いに関係なく無視できない存在になる。
面白いのは、物そのものは変わっていないことだ。
価値は物の中だけにあるわけではなく、その周りにも存在している。
同じ服でも、有名な俳優が着ていると少し気になるように。
同じ本でも、みんなが読んでいると手に取ってみたくなるように。
店をやっていると、そのことをよく考える。
美味しいものを作れば売れる。
そうであってほしいし、実際にそれは大事だ。
でも、それだけではない。
誰が勧めてくれたのか。
どこで見つけたのか。
なぜ今話題になっているのか。
そういった文脈も含めて、人は商品を受け取っている。
自分もそのひとりだ。
歴史に残る芸術も、名作と呼ばれる本も、最初から名作だったわけではない。
誰かが評価し、その評価が広がり、多くの人が見るようになった。
価値は発見されるというより、共有されるものなのかもしれない。
行列の先にある商品、その価値が、どうやってここまで辿り着いたのかの方が気になって仕方ない。