TOPPAN、大阪・梅田の体験型共創拠点「PLAT UMEKITA」で体験型企画展「PLAT PICNIC LAB.2025」を開催
うめきた公園で新しい公園のあそびを考える、実験的な企業共創企画を展開
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2025/04/newsrelease250418_1.html
2025年5月3日~5月18日に大阪・うめきた公園内の「PLAT UMEKITA」で開催された企画展「PLAT PICNIC LAB.2025」に参加してきました!
株式会社83Designは、TOPPAN株式会社の共創企画パートナーとして「もしもむし」というワークショップと展示を企画・実施。
参加を振り返り、担当の近藤さんにお話を伺いました。
ーー 今回、PLAT PICNIC LAB.2025に参加されることになったきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは、TOPPAN株式会社の担当者の方からお話をいただいたことですね。もともと別のお仕事でご一緒したことがあって、その際の打ち合わせで知り合った方です。そのときはまだPLAT PICNIC LAB.2025のお話は出ていなかったのですが、また何かあればぜひ、というお話はしていました。それからしばらく経った頃、コクヨさん主催のCULTURE SNACKというイベントに83Designも参加していたのですが、そこに来ていただいて。「こんなイベントがあるんですが…」という形でお話をいただきました。
ーー お話をいただいたときはすでに企画や展示の内容(もしもむし)は決まっていたんですか?
内容は全然決まっていなくて、PLAT PICNIC LAB.2025のテーマだけが決まっていました。TOPPANさんからも「自由な企画をしてくれていいから参加してほしい」と言っていただいていて。参加が決まった後に、担当者の方からイベントに関してもう少し細かいキーワードを教えてもらい、83Designとして何を出展するかを考え始めた感じですね。
ーー イベント出展を決めたとき、まず考えたことはどんなことでしたか?
このイベントは、うめきた公園を利用する人々に、公園の過ごし方や日々の暮らしを遊びながら体験を提供する「PLAT UMEKITA」が定期的に開催する「あたらしい価値観を楽しい体験に変換する=エシカルテインメント」シリーズ企画で、今回は「ピクニック」がテーマでした。
他にも「防災」「生物多様性/利他」「ダイバーシティ/インクルージョン」「公園での知らない人とのコミュニケーションが生まれる」というキーワードがあり、この中から1つ以上の要素を企画に取り入れて、さらになんらかのウェルビーイングやソーシャルグッド要素があるとよい、ということでした。
それらに対して、83Designでは「こんなことできたらおもしろいんじゃないか」というブレインストーミングをおこなって出展内容を考えていきました。公園ならではの楽しさファーストの企画、というのが主旨だったので、実際に自分が昔公園でしていた遊びだったり、子ども時代にした外遊びをイメージしながら考えました。
ーー 公園遊び、懐かしく感じますね!
子どもの頃こんなことで盛り上がったよね、というところからアイデアを広げていきました。「虫戦わせて遊んだよね」とか「クモとカマキリどっちが強いか」とか「バッタのジャンプ力にカマキリの攻撃力を掛け合わせたら最強では?」とか(笑)。そんな感じの遊びから着想を得て、参加者が「もしもこんな虫がいたら」をテーマに自由に創作する形の企画を考えました。
「うめきた公園の芝生にいろいろ持ち寄って楽しい時間を体験してほしい」、「対象は子どもだけど、年齢性別を問わずみんなで一緒に盛り上がってほしい」、そんな想いからキーワードをどんどん挙げてブレストしていって、最終的に、継承型のNEO昆虫標本づくり「もしもむし」が誕生しました。
ーー イベント準備期間で大変だったことは何でしたか?
体験の流れとしての整合性を作りこむところが大変でしたね。
「もしもむし」の企画体験の流れとしては、まず進化させたいむしを選ぶところから始まります。会場には、むしとカードが置いてあり、そのカードにむしの特性が書いてあるんです。大きくなりたいとか、カラフルになりたいとか、空を飛びたいとか。それを見てむしを選んでもらって、どんな進化をさせるかを考えてもらいます。それから進化に必要なパーツを選んでもらって、むしを進化させます。進化させたむしは、会場の装置で分析することができるので、分析台に置いて好きな場所などの特性をチェックしてもらいます。砂利が好きとか芝生が好きとか、むしによって特性が異なるので、その特性を確認してから公園に出て、むしが好きな場所で写真を撮って進化後のむしのカードを作って持ち帰ってもらう。
これが企画体験の一連の流れです。
ーー とても楽しそうです!
むしの進化に必要なパーツはマグネットでくっつくようになっているので、小さなお子さんでも気軽に体験できる内容になっています。親御さんのサポートもいただきながら、親御さんも一緒に楽しんでいただけているようでうれしかったですね。
この一連の流れは、僕ら83Designが普段工業デザインでおこなっている仮説・検証を体験してもらうような流れにもなっているんです。
企画の主旨として、前の人の作ったものを次に来た人が作り足して進化させる、という企画にしていました。そのために、作ったものは置いて行ってもらう必要があったんです。なので、体験づくりが難しかったり、進化の動機付けが難しかったりは正直ありましたね。自分で作ったものは思い出に持ち帰りたいですし、家に飾ったり、遊びの続きをしたいと思うはずなので、代わりに持ち帰ってもらうものを用意しなければならないと考えました。そこで、もしもむしのカードを作ることになり、自分が作ったもしもむしの写真でカードを作って持って帰ることができるという流れにしたんです。
体験を持ち帰ってもらいたかったので、持ち帰ってもらうコンテンツ(カード)作りをすることにしたものの、結構大変でした(笑)。カードもそうですが、日頃仕事でやっているような形状ではなかったので、モデリングも大変だったんです。虫の造形をモデリングすることは仕事ではほぼないですから。
ーー 準備の大変さを乗り越えて、83Designとしてこのイベントで特に実現したかったことは何でしたか?
こうしたらよくなるんじゃないか、と考えて、実際に手を動かして作ってみることの楽しさを感じてもらう、というところが実現したかったポイントですね。実際、楽しんでもらえたようで、いちばん人気のブースになれました。83Designのブースだけ人が来てくれなかったらどうしよう…と心配していたので、うれしい誤算でした。
ーー 来場者の方々からの反響や感想はいかがでしたか?
めっちゃおもしろい!がいちばん多く言ってもらえた感想ですね。
小さなお子さんが体験する際は、コンセプトを子どもに理解してもらうために親御さんの協力も必要だったのですが、親御さんにも「おもしろいね」と言ってもらえたり、「虫を組み替えるというところにワクワクする」、「前の人のものを引き継いで作り出すというのがおもしろい」など、大人の方にもたくさんのご好評をいただきました。
また、もしもむしはすべて83DesignのInstagramに載せているのですが、自分のもしもむしがどう進化したのかまで見てくれた人もいました。企画の主旨として、前の人の作ったものを次に来た人が進化させていくので、その続きまで楽しんでくれてうれしかったですね。時間が経ってから戻ってきてくれたご家族もいて、自分のもしもむしが跡形もなく進化していて悲しんでいる子もいました(笑)。
パーツは売ってないんですか?という問い合わせもいただいたりして、思ったより反響をいただいたこともあり、反省を次に生かしてこのもしもむしという企画をシリーズ化したいな、という気持ちも芽生えました。
ーー PLAT PICNIC LAB.2025に出展してみてどんな発見がありましたか?
日ごろワークショップをたくさんしているわけではないので、新たな発見というか運用面での細かい気づきはたくさんありました。当日の運用にはもっといろいろスムーズにできたのでは、という反省点も多かったです。
もしもむしの進化に取り組む机は正方形で、最大4人対応可能だったのですが、車いすやベビーカーの動線がよくなかったな、とか、机や椅子はレンタルだったので、子どもの高さにあっていなかったな、とか。企画展示のための準備以外にも、当日の運営に対する準備も万端にして、次の機会に臨みたいです。
ーー 大阪・うめきた公園内の「PLAT UMEKITA」で開催されましたが、会場の雰囲気はいかがでしたか?
活気があって、絶え間なく人が出入りしている感じでした。開催前は、人が来なかったらどうしようと不安に思っていたのですが、たまたま通りかかって来てくれた人もたくさんいました。 PLAT PICNIC LAB.2025のために来ているとかではなく、うめきた公園に遊びに来てみたらイベントをやっていたので寄ってみました、という感じで。地域に根差している会場なんだと感じましたね。
気軽に立ち寄りやすい雰囲気の施設でしたし、うめきた公園ではフリスビーとかも貸し出していたりして、会場によく来ていて慣れている雰囲気の人たちも多かったです。僕は土地勘がなくて、そわそわしながら向かいましたが(笑)、地元の人たちには愛されている場所なんだと感じましたし、大阪・梅田の生活者と企業をつなぐ“体験型共創プラットフォーム”「PLAT UMEKITA」という場所でワークショップを開催できて、とても光栄でした。
ーー イベントで得られた経験を、今後の製品開発や活動にどのように活かしていきたいですか?
日ごろのデザインの仕事でも、標準化した型のようなものは意識していて、アウトプットの量/質の安定性と速度を向上させるためのオリジナルプログラムを社内で持っているのですが、今回の経験を通じて改めて「パッケージ化して、改善していく」ということの大切さとおもしろさを感じましたね。
今回の「もしもむし」は特別な企画として開催させていただきましたが、今後パッケージ化してより多くの人にこの体験をしてもらいたいですね。もし実現できるとしたら、「残す要素」「創る要素」「減らす要素」「なくす要素」はそれぞれどれかな?と脳内でぐるぐる考えていました。
また、こういったワークショップの開催は、僕自身初めてのことだったので、どういった切り口でそれらを考えていくべきなのか、思考を巡らせるのも非常にいい経験になったと感じています。
ーー 今後のイベント参加や活動についての展望は?
PLAT PICNIC LAB.は毎年5月に定期的に開催を予定しているイベントなので、来年もまた参加させていただけるなら「もしもむし」をブラッシュアップしてまた出展したいですし、毎年出たいです。
「もしもむし」をパッケージ化していろんなところに展開できたら、という気持ちもあり、目下検討中です。
今回とてもいい時間を過ごすことができたのと、前回のCULTURE SNACKからPLAT PICNIC LAB.2025へといい流れができたこともあり、今後も積極的にイベント出展していけたらと考えています。
工業製品デザインを中心にモノづくりやコトづくりを通して、仮説思考でモノづくりの楽しさをリードするデザインスタジオ83Design。次のイベント出展はどんな企画で楽しませてくれるのか ───
83Designの次の挑戦にもぜひ期待してください!