はじめまして。モノづくりを楽しみ、本気で没頭する会社、83Designです。
モノづくりにおいて私たちが大切にしているのは、“ワンチームで楽しむ”こと。ワンチームというのは、私たちを選んでくださるクライアント様、生産ラインを担う職人さん、このモノづくりの過程に関わるすべての人たちを示します。
創造者みんなの想いが込められて、はじめて良いプロダクトができる。そのプロダクトがユーザーの手にわたり、あたたかみや想いが伝播する。手触り感あるモノづくりの過程をご紹介するストーリーです。
そこで今回お伝えするのが、ONTELOPEとのプロジェクトについてのエピソードです。
あらゆる人に音の豊かさを届けたい、そんな想いから生まれたONTELOPE。その志を胸に、83DesignとONTELOPEの協働は始まりました。今回は、ONTELOPE代表の澤田さんにお越しいただき、本プロジェクトの背景や、83Designとの協働の様子についてお話を伺いました。
登場人物
澤田 真吾
現実科学者/メディアアーティスト/サウンドエンジニア/事業家:デジタルハリウッド大学大学院助教/音が目でわかるプロダクト「ONTELOPE」CEO/音の新常識をつくる「nooto SOUND DESIGN」代表/メディアアート「Soup of Voice」
近藤 耀司
株式会社83Design取締役/デザイナー
美術系の仕事をしていた両親の影響で美術大学に進学、工業デザインを学ぶ。卒業後は雑貨店スタッフを経験し、ものづくりへの情熱を再確認。83Designの人間味あるデザインに惹かれ入社。家電や文房具、空間デザインなど幅広く活躍。チームでのコミュニケーションを大切に、楽しみながら本気のものづくりを追求している。
「ONTELOPE」の背景と83Designの出会い
ーー 本日はありがとうございます。まずはじめに、ONTELOPEの事業概要と、83Designとの協業に至った経緯についてお聞かせください。
澤田さん:こちらこそありがとうございます。ONTELOPEは、プロのサウンドエンジニアとしての僕の経験から生まれた事業です。音の聞こえる世界と聞こえない世界を行き来する中で、音の豊かさや、音が無意識的に人に与える影響を強く感じていました。そこで、聴覚に障害がある方々とも音の豊かさを共有したいと思い、開発を始めたのがきっかけです。
ーー なるほど。ONTELOPE設立の背景には、そのような想いがあったのですね。では、83Designとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?
澤田さん:聴覚障害に関する社会の問題とその課題を考えながら、どのように世の中に投げかけるとよいかを考えていました。言葉やメッセージだけでは伝わりにくいので、モノに落とし込みたいと考えていました。つまり、工業デザインの部分で一緒に考えてくれる人がいたらいいな、と。当時大学院に通っていたのですが、そこにいた担当教員の香田先生に相談して紹介いただいたのが83Designでした。
ーー 83Design以外のプロダクトデザインの会社も検討されましたか?
澤田さん:もちろん、他の会社さんも検討しました。その中で、83Designさんは雰囲気が良かったのと、好感が持てたところがあった。どういうことかというと、代表の矢野さんにお会いして会社を紹介していただいた時、まずアートピースを紹介されたんですよ。僕的には、それに感銘を受けました。デザイン性も機能性も必要な要素ですが、「思想」をどう伝えていくかという広い視野が必要だと思っていました。83Designはそういう感性を持ってやっていて、僕はそこに好感が持てました。そうですね、一緒にバンド活動するみたいな…「思想」という言葉で括られるという感じですね。アートピースを見せてもらったことで、そういった理解に繋がりました。
83Designの印象
ーー アートピースの存在がそのような理解に繋がるんですね。では、次に実際にプロジェクトを進める中で、83Designの印象はいかがでしたか?
澤田さん:圧倒的に頼りにさせていただいている部分はもちろんあります。工業デザインの経験だったり、アイデアだったり、ロジックだったり。あとは、僕らはスタートアップだし、今は自力でできる時代。自力でできるところをきちんとやる。そこに一緒に向き合ってくれるのがすごくありがたいです。よくこんな訳の分かんないことに付き合ってくれるなっていう感じです(笑)
近藤:わけわからなくないですよ(笑)澤田さんの思想などお話を聞きながら、意義あることに参加させてもらっていると思っています。
ーー 近藤さんにとって、これまでで特に印象的だったのはどんな場面ですか?
近藤:そうですね、聾者聴者のご夫婦にお話を伺ったのが印象に残っています。あのインタビューは貴重な体験だったと思います。概要を知っていて、わかっていたつもりだったけど、やっぱり理解できていないことを痛感したというか。想像していたよりも細かい困り事がたくさんあって、どうしたらいいか立ち尽くしてしまうような感覚がありました。同時にどうにかしたいなっていう感覚もあって、いろんな感情が一気に波のように押し寄せてきた、そんなインタビュー体験でした。
澤田さん:そうですね。もともと分からない中で、目的を決めてヒアリングインタビューしに行くのってやっぱり難しいじゃないですか。だから、僕はインタビューを通じて、実際に肌で感じてもらえたことが良かったと思っています。
83Designの提案
ーー 今「メガネ」という形になって提案を受けていると思いますが、そのアウトプットの印象はいかがでしたか?
澤田さん:そうですね。よく分かってくださっているなとか、よく考えてくださったなっていうのを毎回思っています。その視点もあったなとか、そういった気づきもたくさんありますね。あと、大きな方向性として「そうじゃないんだよな」っていうことがほとんどないので、すごく馬が合うのか…83Designさんは意図の汲み取り方がとても上手なんだと思います。僕の伝え方が上手なのかもしれませんが(笑)。「そうじゃないんだよな」みたいなことはほとんど起こらない。すごいと思います。
ーー 最初から「メガネ」だったんですか?
澤田さん:他のデバイスの形もありました。そうですね、それぞれのデバイスの評価をしながら、なぜ「メガネ」じゃないといけないのか、その理由を提示して整理してくれたことは大きな成果だと思っています。当時、コアターゲット、提供価値をはっきりと言語化できていなかったんですね。その段階から一緒にやらせてもらって、どういうものであるべきなのか、どう世の中をかえていけるか…などを一緒に行き来しながら総合的に整理することができました。今では確信をもって「メガネ」というかたちだと自信を持てています。
ーー そのような過程があったのですね。ONTELOPEのロゴデザインも83Designがデザインしたんですよね?
澤田さん:そうです。アイデンティティが形になり、プロジェクト自体の説得力が増したと思います。一緒に考えさせてもらうことで、僕たち自身も言語化できるようになってきました。工業デザインという役割では形にするという点はもちろんですが、それだけでなく、無形のものを言語化するプロセスにも貢献していただいていると感じます。
近藤:ありがとうございます。なんか言わせてしまっていませんか…(笑)僕たちは、勝手な思い込みをぶつけてやりとりさせてもらってるんですが、その思い込みをぶつける、というところは83Designとして結構大事にしているところです。
澤田さん:最初は「こんな方向で考えています」というところから始まりましたよね。たくさんのパターンやスタイルを検討しながら、いろんな試行錯誤を経て「やっぱりこれがいい」という確信で決まりました。
澤田さん:今回僕たちがつくりたいのは「モノ」なので、ロゴも「モノ」を作る人にお願いしたいと思っていました。結果、グラフィックの範囲よりもっと豊かな次元で考えてくれた。それは83Designさんじゃないとできないわけじゃないですか。ロゴのグラデーションの意味については、たとえば、ONTELOPEが提供したいもの、取り組みたい課題、社会構造のグラデーション…そういうのをわかってくださっている。大きな安心感につながりました。
83Designはどんなデザイン事務所か
ーー ありがとうございます。では、83Designを一言で表すと、どのようなデザイン事務所でしょうか?
澤田さん:うーん、ちょっとダサい言い方になってしまいますが…「イケてるデザイン事務所」ですかね(笑)。もう少し別の言い方で…やっぱりダサいかもしれませんが「本気で考えてくれるデザイン事務所」ですね。あとは「嘘をつかないデザイン事務所」とも言えると思います。そこはすごく大事な部分です。
問いかけに対して真摯に考えてくれるし、一緒に議論しながら進めていくことができる。僕の「責任もって前に進める」というところにも、ちゃんと呼応してくれることがありがたいですね。
ーー ありがとうございます。最後に、83Designとの協業を検討しているクライアントさんがいたら、どんなメッセージを伝えたいですか?
澤田さん:とにかく「なんでも嘘をつかないで相談する」ことですね。状況も、予算も、格好つけずに正直に相談するのが一番です。「分からないことは分からない」と素直に言った方が絶対にいい。そうすれば、どうやってベストな形にできるかを一緒に考えてくれますから。
ーー ありがとうございます!澤田さん、近藤さん、本日は長時間ありがとうございました!
澤田さん:こちらこそありがとうございました!
近藤:ありがとうございました!
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「音の豊かさを届けたい」という澤田さんの熱い想いと、83Designの真摯な姿勢が共鳴し、このプロジェクトは現在も着実に前進しています。ONTELOPEとの協業を通じて、私たち83Designは「思想」を共有し、共に未来を創造することの重要性を改めて認識しました。
工業デザイナーとして、私たちと一緒に働きたい!まずは話を聞いてみたい!こう思っていただけるのであれば、ぜひカジュアルにお話ししませんか?