矢野 宏治のプロフィール - Wantedly
株式会社83Design, 代表取締役 / Design director ...
https://www.wantedly.com/id/koji_yano_c
はじめまして、83Designの代表を務める矢野です。
僕は工業デザイナーとして、企業のインハウスデザイナーや個人活動に取り組んでいました。
そうして立ち上げたのが、この83Designというデザインカンパニー。今では数名の工業デザイナーをはじめ、ソフトウェアエンジニア、デザインリサーチャー、営業、バックオフィスなど…。幅広い仲間たちとともに、モノづくりに没頭しています。
一度組織を離れた僕が、どうして法人化に舵を切ったのか。工業デザインやモノづくりへの考え方、大切にしていること。そして、「モノづくりを楽しくする」に込めた想いを、僕の言葉でお話しします。
僕は、工業デザイナーの父と、モノづくりに近い仕事をする母との間に生まれました。だから、モノづくりやデザインというものが身近だったし、幼い頃はよく両親の手伝いをしていたことを覚えています。
父と同じ工業デザインの道に進むことを決めたのは、高校3年生の11月。浪人覚悟で武蔵野美術大学を受験しました。工芸工業デザイン学科に入学し、木工・陶磁・インダストリアルデザイン・絵画・彫刻・映像など、デザインに関わるいろいろなことを学びました。
僕は、デザインとアートを完全にわけて考えたことはありません。どちらも、人の欲の表れから生まれた物事すべて、あるいは欲を叶えるための手段だからです。
別視点で語るならば、デザインとアートは文脈的な高低差でしかありません。例えばローアート(いわゆる大衆芸術)は、ある意味でデザインと近しいとも言えます。だから、ヘッドフォンなどの実用性に優れたものから、ヒコーキやカタグルマなどアートっぽいモノだってデザインします。
こういった価値観の原点にあるのが、工業デザイナーである父や、武蔵野美術大学名誉教授で探検家・人類学者でもある関野吉晴さんの存在です。
人類が地球に増え広がるとともに、人の生活の中でモノや道具が求められ、そうして生み出されていったこと。父の言葉をそのまま借りるなら、「道を照らす明かり、電気椅子、シャンデリア、すべて人間の欲から生まれてきた」こと。お2人からは、“人とモノとの関係の深さ”を学びました。
僕は大学卒業後コクヨ株式会社に入社し、マーケティングやデスクのデザインを担当していました。
その後はロジテックに転職し、コンピュータ周辺機器のデザインを。木材や板金、より自由に成形できる樹脂製品まで、いろいろなモノづくりを経験しました。工業デザイナーとしての土台を、着々と積み上げていった時期です。
でも僕は、最終的にインハウスデザイナーをやめ、大学卒業当時から続けていた個人活動「83Design」に専念していきます。その3年後、チーム「83Design」の設立に舵を切りました。
僕は相方とともに、「83Design」の活動を始めました。とても気が合ったといいますか…。相方のノリや思考に、僕も共感できる部分が多くて。今はお互い別々の道を歩んでいるけど、ともにデザインを練り上げていく瞬間は、楽しくて仕方がない時間でした。
個人活動を続けて30代にさしかかった僕は、他の人から見た景色がどんなものか興味をもつようになりました。そもそも、自分から見た景色がすべてではないからです。
自分から見た景色と、他の人から見た景色。この両方を混ぜ合わせたら、もっと面白くて美しくて、社会的意義のあるものを提案できるはず。デザイナーとは、意義のあるものを提案し、残していく存在であるべきだと思いました。
ひとりで食べるご飯より、複数人で囲んだ方が楽しく美味しいように、デザインも同じだと思っています。
僕は前提として、ディスカッションを大切にしていますが、最終的には方向性をまとめなければなりません。決断する瞬間は、その人にはすごく孤独になってほしいと思っているし、僕も意識しています。ひとりで考え、時に決め切る、意志の強さとでも言いましょうか。
僕の父は、僕が生まれる前から工業デザイナーとして独立していました。ひとりで高みを目指して戦う父には、正直かなわないと今でも思っています。
ある程度孤独にならないと、考えが深まらないこともある。ひとりでデザインと向き合うことの尊さや大切さを、ひたむきに挑む父から学びました。
それに、なんとなく曖昧に決めた結果、みんなが思う“良いモノ”の横展開でしかなくなってしまった。こんなケースをよく見かけます。実際この世には、「どこかで見た」レベルの良いモノは、たくさんありますよね。誰でも思いつくよねっていうレベルは、余裕で乗り越えていきたいです。
「モノづくりをみんなで楽しくしたい」
僕は常々こう思っているし、よく声にも出す言葉です。“楽しむ”とは単に笑っているのではなく、遊ぶように本気で夢中になっている状態だと定義しています。
仕事は、しなければならないもの。このように、仕事に対してネガティブなイメージを抱いている人は、おそらく多いでしょう。でも僕は、そういった世の風潮に問いかけたい。「本当にそれで良いのか?」って。
ただ楽しみたければ、趣味として楽しむ道もある。でも僕は、モノづくりを極めていたいし、そのためには時に頭で悩みながら夢中になる必要があると思っています。
僕たちは、何をするにも仮説検証が起点。でも、モノづくりに関わることであれば何でも知りたいし、考えたい。デザインしたいと思っています。
モノづくりのプロセスそのものも、変化しています。僕たちはデザイナー集団として、今後ますます変わっていくであろう流行を、どこよりも早くキャッチアップできるようにすべきです。
モノづくりに本気で向き合っていると、曖昧な中で決断しなければならない瞬間に出くわします。こういった時は、2つのスタンスを大切にしています。
①広い視野で、考えられる可能性を出しつくす
ある程度あたりをつけることは大切だけど、既成概念にとらわれてしまっては、新しい可能性を潰してしまうことになりかねない。だからまずは、ありとあらゆる可能性を広げていきます。
②最後までこだわってやり切る
こだわりをもち、最後まで信じてやりきる。最後のあと一歩を粘れることは、道を切り開く覚悟にもつながります。
最近は、モノとシステムが融合した製品も多くなり、モノの価値がさらに高まりつつあります。加えて、モノを生み出す工業デザインの考え方そのものは、ブランディングや空間づくりなども実現します。
可能性を秘めている工業デザインを起点に、組織としても新しいことに挑戦しようとしているタイミング。工業デザイナーに関わらず、いろいろなポジションで仲間を探しています。まだ見ぬ新しい仲間とともにモノづくりをもっと楽しくしたいし、楽しくなるはずなので。
言葉にできないけど、どこか面白くてセンスの良いチーム。やっていることは工業デザインだけど、アーティスト性のあるチーム。求職者のみなさんにこう思っていただけるチームを目指します。少しでも興味をもっていただけたら、ぜひカジュアルに話しましょう。