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AWS Summit 2022にてDevOpsの取り組みを紹介しました

2022年5月25日・26日にAWS(Amazon Web Services)の国内最大イベント、「AWS Summit Online」が開催され、サーバーワークス様の講演「サーバーワークスがエキサイトした先進プロジェクト 5 選〜三越伊勢丹様と代表大石が Mode2 を語る〜」の中で弊社取締役の鈴木が登壇しました。

当日のイベント「サーバーワークスがエキサイトした先進プロジェクト 5 選〜三越伊勢丹様と代表大石が Mode2 を語る〜」はアーカイブが公開されています。また、弊社登壇部分の資料は以下の通りです。




はじめに

サーバーワークス様はAWSの最上位パートナー認定を受けているクラウド専業インテグレーターです。コロナウイルス感染拡大をはじめとする困難な社会状況の中、AWSを用いて、多くの企業の課題解決や新事業の創出をされてきました。様々な事例がある中、代表の大石様は「最もエキサイトした事例」として、三越伊勢丹のDevops基盤を挙げてくださいました。

開発スピードが遅くなる原因は「調整ごと」

DX推進において開発スピードを早めるのは非常に重要です。ソフトウェアアプリケーションを作る上で、実装そのものが遅いことはほぼありません。様々なツールを利用し、開発の効率化がなされているからです。にも関わらず、開発スピードが遅くなる原因は調整ごとが多いからです。

インフラ部門・運用部門・ビジネス部門・他システム部門・品質・法務・経理など様々な部署と調整をしなければなりません。毎回依頼書を書かなければならず、その返事を待ってから作業をするので、時間がかかります。三越伊勢丹では、こうした調整ごとの多さがDXの妨げになっていると考えました。そこで、時間短縮のために調整そのものをなくそうと、DevOps基盤への取り組みが始まりました。

開発チームがインフラ構築も運用も行う

DevOpsへの取り組みとして、インフラ構築や運用作業をすべてツール化し、開発チームがそのツールを使って作業を行うことを重要視しました。

これまで、アプリ開発・インフラ構築・運用監視は別々の部門で行っていました。そして部門間で依頼をし、それぞれの部門がそれぞれの環境に対して作業をしていました。しかし、DevOps基盤を使うのはすべて開発チームです。今までのインフラチームや運用チームは、基盤作りや整備に注力する役割分担になりました。基本的なセキュリティや重要な情報に関する関与の仕方もすべて基盤側できちんと織り込みをします。そうすることで、開発チームがインフラ構築や運用も安心して行えるのです。

3つの禁止事項

DevOpsに取り組むにあたり、3つの禁止事項を作りました。

①EC2利用禁止
IaaSで仮想サーバーをやめ、全てマネージドサービス(PaaS)を利用するようにしました。サーバーはECSのAWS Fargateを使い、DBはAmazon RDSを使いました。
それ以外のコンポーネントも全てマネージドサービスを前提とし、自分たちでサーバーを立てることや、OSやミドルウェアのインストールをやめました。

②インフラ構築手作業禁止
AWSコンソールに入って手作業で行うのではなく、全てIaCツールを使って自動化するようにしました。IaCツールを使うことで、インフラ構築における変更がすべてコードで管理されるというメリットがあります。変更項目が全てトレースされるため、性能試験時に試験用の環境を立てる場合も、簡単にできるようになりました。

③夜間リリース禁止
リリースプロセスは全て自動化し、デプロイを無停止にすることで、日中リリースを可能にしました。システム停止を伴うリリースの場合は夜間リリースもしていますが、なるべくたくさん人がいる日中にリリースをするようにしています。

これらを進めるにあたり、サーバワークス様に協力いただき、AWS利用・運用設計・CI/CDのガイドラインを策定しました。現在も毎月、改訂を繰り返しています。

開発が16倍も効率的に

DevOps基盤の成果として、まずは開発スピードが4倍になりました。これまで1年かかっていた開発が3か月に短縮されたのです。これはインフラ構築と運用設計が柔軟であるDevOps基盤の貢献が非常に大きいと言えます。

次に、保守工数が1/4になりました。例えば、これまでリリース時に必要であった手順書を作る必要がなくなりました。DevOps基盤では全て自動化されているので、ボタンひとつでリリースが済むからです。また、インフラ運用の変更も容易となり、そもそも保守しなくても良いことが増えました。こうして保守要員と必要工数の削減に成功しました。

結果、過去のやり方と比べて開発スピードが4倍×保守工数が1/4で16倍効率的になったのです。効率的になり、コストを下げられた分をデジタル投資に回し、三越伊勢丹グループ全体として、さらに運用コストの削減が実現できています。

基幹システムのモダナイズも

DevOps基盤では、店頭向けデジタルサービスや各種モバイルアプリのバックエンド、物流サービスの一部も動かしています。また、基幹システムの一部も移行しており、クラウドネイティブに作り替えることで、速度やコストの改善をした事例もあります。こうした基幹システムの一部の機能を作り替えていくのは「ストラングラーパターン」と呼ばれる段階的な機能切り替えの手法を採用しています。

DevOps基盤を築くための考え方

DevOps基盤を実現するにあたり、「既存環境と考え方を分けること」がとても大事です。既存のセキュリティやガバナンスといったセキュリティルールは、クラウドネイティブに合っていないことが非常に多いからです。なので、まずはクラウドネイティブにし、セキュリティやガバナンスも含めて考え直す覚悟をもつ必要があります。

そして、全体をひとつのシステムとして捉えることも必要です。サイロ化した視点で個別のシステムを考えるのではなく、全体の基盤の中でそれぞれが動いているという、全体視点の捉え方に変えていきました。これにはCCoEのような新しい部署が必要です。

最後に、失敗から学び、改善することです。私たちにも多くのトライアンドエラーがありました。やってみて、自分たちの手でそれを改善していくことで、基盤が良くなるのはもちろん、メンバーたちが成長したと実感しています。

アイムデジタルラボでは、現在新しいチームメンバーを募集しています。一緒に接客DXを盛り上げて下さる方のご応募をお待ちしています。

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