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リモート接客で目指す、新たな購買体験 - Developers Summit 2021

2021年2月18-19日に開催されたDevelopers Summit 2021にて「三越伊勢丹が目指すNew Normalの購買スタイル」という講演をしました。当日の資料は以下よりご参照ください。


はじめに

2020年11月、三越伊勢丹では店頭の販売員がチャットやビデオを使ってリモートで接客するためのサービス「三越伊勢丹リモートショッピング」を発表しました。本講演では、三越伊勢丹とアイムデジタルラボがリモート接客という新たな購買体験をつくるために、どのような挑戦をしたのかお話しさせていただきました。

何が挑戦なのか?

1673年、三越の前身である越後屋が創業しました。越後屋は「店前現銀無掛値(たなさきげんきんかけねなし)」というスローガンを掲げ、呉服の販売を訪問販売から店頭販売に切り替えることで、当時、富裕層だけのものだった呉服を、ひろく一般市民のものにしました(参考:越後屋誕生と高利の新商法)。

つまり、三越伊勢丹は店頭接客の元祖なのです。創業から350年、店頭接客を中心にしてきたのに、リモート接客となった途端、いままでの経験もノウハウも通用しない。

では、リモート接客という新たな常識をつくる挑戦に向けて、何に取り組んだのでしょうか。「開発プロセスへの取り組み」と「リモート接客への取り組み」の両面からお伝えします。

開発プロセスへの取り組み

三越伊勢丹リモートショッピングアプリはスクラムで開発が行われており、三越伊勢丹とアイムデジタルラボの協業体制になっています。

リモートショッピングを利用するのは店頭の売場(呼称:お買場)とお客さまです。これを実現するために、三越伊勢丹には現場への落とし込みを行う導入チーム、そしてアイムデジタルラボには開発チームがいます。
この両者の間を繋ぐのがプロダクトオーナー(PO)チームです。POチームは、三越伊勢丹からPO1名、アイムデジタルラボからPO1名とサービスデザイナー1名で構成されています。

特徴的なのは週次でプロジェクトの意思決定と現場調整を行っていることです。まず現場からのフィードバックは導入チームを通じてリアルタイムにあがってきます。これをPOチームが取りまとめ、週次で案件リストにして優先順位を判定しています。さらに、この優先順位判定をタイムリーかつ確実な決定とするために三越伊勢丹とアイムデジタルラボ双方の役員が参加する「意思決定ミーティング」を毎週開催しています。

スクラムガイドには『プロダクトオーナーをうまく機能させるには、組織全体でプロダクトオーナーの決定を尊重しなければならない』とあります。しかし、大企業ではPOの判断が組織内で尊重されないことがあります。そこで役員が参加する意思決定ミーティングを利用し、POが判定した優先順位を、週次で組織の決定とするようにしたのです。

開発プロセスへの取り組みで実現できていること

今回、講演にあたって三越伊勢丹の導入チームの部長に感想を求めたところ『なんだかわからないけど、ものすごいスピード感で改善されていく』というコメントをしてくれました。これは開発チームが次々と発生する課題にすぐに対応をしてくれるということだけではありません。
- 開発チームから来週何が提供されるのか、今後何をするのかが明確
- そのため、いま発生した課題と、いま解決しようとしている課題の重要度を比較しやすい
- 比較した結果での優先順位への変更が週次で行われ、かつ、役員も納得している
となるため、常に見通しがよいのです。

「なんだかわからないけど」という言葉は「なにか特別なことをしているわけではなく、プロセスに従って進めているだけなのに」ということを意味しています。これはスピード感のある意思決定と情報共有が仕組み化されて、機能しているということです。

前述の通り、リモート接客は「今までにない体験」であるため、三越伊勢丹も試行錯誤しながら進める必要があります。こうしたスピード感のある意思決定と情報共有が仕組み化された開発プロセスこそが、その試行錯誤を支える土台になっています。

リモート接客への取り組み

リモート接客では、チャットやビデオでの接客となります。このためお客様の雰囲気がわかりにくかったり、接客の自由度が非常に低くなります。しかし、悪いことばかりではありません。

デジタル化された接客はデータとして残り、共有が可能です。これまで店頭での接客というのは「そのお客さまから何を聞かれたのか、どう受け答えしたのか」といったことを残すのが困難でした。そのため次に来店されたときに、改めて確認する必要があります。
ところがリモート接客であれば、お客様が何を希望し、どうして購買に至ったのかが履歴として残ります。こうした情報があれば、次に接客する時に誰たが担当しても接客の質を高めることができるようになります。

デジタルによってお客さまが見える化されれば、そのデータを元に的確な提案が可能になり、結果としてお客様との関係性をもっと深くできるのです。

リモート接客への取り組み状況

一言でいえば「トレーニング中」の状態です。これまで使ったことがなかった筋肉を鍛えているので、毎日のように筋肉痛に悩まされています。しかし、新しい常識を作るためには乗り越えるべきものだと考えています。

また、組織の体制づくりや、ルールの整備、リモート接客のノウハウ集なども整備が進んでいます。1年後には新しい身体になり、いまよりもリモート接客がうまくなっているはずです。

さいごに

Boost the Classicはアイムデジタルラボのタグラインです。アイムデジタルラボは、単にデジタルツールを開発するだけではなく、それを使って三越伊勢丹と一緒にニューノーマルな購買体験をつくる挑戦をしています。伝統は守るだけではなく、変えていくもの。我々は、今の時代にあった新しい文化をつくり、新たな伝統を生み出していきます。

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