秋田の企業でのインターンで、Claude Codeを使って社内の困りごとを解決するツールを作り、実際に使ってもらっていた稲岡佑果さん。動くものは作れる。それでも、裏側でデータがどう流れ、セキュリティは本当に大丈夫なのかを、自信を持って説明することはできませんでした。
そこでSALT2の「AI駆動開発ブートキャンプ」に参加した稲岡さんは、チーム開発のSprint 2では詳細設計担当を、最終のSprint 3ではAIエージェントの開発に取り組みました。ビジネス側からAIを使ってきた稲岡さんに、2か月で何が加わったのかを聞きました。
稲岡佑果|国際教養大学 国際教養学部 2年
グローバルビジネスを専攻し、経営の分野を英語で学んでいる。
2026年夏のAI駆動開発ブートキャンプを修了し、現在はSALT2と親会社のBoost Consultingでインターンとして働いている。
秋田の課題を、AIで解決したい
── まずは簡単に自己紹介をお願いします。
稲岡:国際教養大学2年の稲岡佑果と申します。現在は休学中です。国際教養学部でグローバルビジネスを専攻していて、経営の分野を英語で学んでいます。
── 秋田でのお仕事についても教えてください。
稲岡:秋田の企業で8か月ほどインターンをしていました。やったことは主に2つあります。1つ目は、海外企業の秋田進出を支援する取り組みです。海外のスタートアップのコスメブランドを、秋田でいかに売っていくかを考えるマーケティングのようなことをしていました。
もう1つが、社内のAI推進です。いろいろやっていくなかで、こうしたらもっと仕事を効率化できるんじゃないかと思いつくことが増えて、社内にAIを広めていく役割も任せていただけるようになりました。
── 将来はどのようなことを思い描いていますか?
稲岡:生まれ育った秋田で自分自身で起業して、秋田の社会課題を解決したいと思っています。
秋田は課題先進県と呼ばれていて、東京が数十年後に直面するような課題に、今まさに直面している県です。だから秋田で社会課題を解決できれば、日本や世界のお手本になるような事業を作れると思っていて、そこにビジネスのチャンスも価値も感じています。具体的には、私が好きなAIを使って、地方創生や高齢化、介護といった問題を解決できたらと思っています。
動くものは作れる。でも、自信を持って渡せなかった
── すでに業務でAIを使っていたなかで、改めて開発を学ぼうと思ったのはなぜですか?
稲岡:秋田でのインターンでは、自分の部署以外の部署に常駐するような形で困りごとを聞き、それを解決するシステムを作って、担当の方々に使ってもらっていました。
バイブコーディングでClaude Codeを学びながら、動くものを作って使ってもらうことはできていたんです。でも、それで本当に大丈夫なのかと思うことがいくつかありました。裏側でデータがどう流れているのか、セキュリティの面はどうか。企業で実際に使うとなると、本当にこの作りで大丈夫なのか。そこを自信を持って大丈夫とは、まだ言える段階じゃないと痛感しました。
「裏側の仕組みを、自分自身で自信を持って説明して納品できるようになりたいと強く思いました。」
そんなときにブートキャンプをたまたま見つけて、参加しました。
AIエージェントの、どこに人の確認を入れるか
── 最終のSprint 3では、どのようなものを作りましたか?
稲岡:Sprint 3のお題は、取引先から届く引合書の処理でした。英語などさまざまな言語で、しかも構造化されていない引合書が届くので、それをこれまでは人が目で見て転記していました。そこにAIエージェントを導入して、人の負担もミスも減らすというお題です。
AIエージェントは、どうしてもブラックボックスになります。そのなかでどう品質を保つかに、すごく気をつけました。
とくにこだわったのが、人の確認をどこまで入れるか、いわゆるHuman in the Loopの設計です。引合書の転記を間違えると、大きな金額が動いてしまいます。なので最初は、すべてを一度人に確認させる設計にしていました。でも、それだと人の負担が減りません。
そこで構造を変えて、最終的には、人の確認が本当に必要なケースを3つに絞って確認を入れました。どこまでの粒度で人の確認を入れるかには、すごく悩みました。エージェントを導入するうえで、いちばん大事なポイントになると思います。
AIの長文を、そのままレビューに回さない
── Sprint 2ではチーム開発を経験されました。難しさを感じたことはありますか?
稲岡:Sprint 2で、私自身は初めてチーム開発を経験しました。難しいと思ったのはコミュニケーションです。
AIはすごい速さで出力してきます。AIが出してきた長文を、よく分からないままとりあえずpushして、ほかの人にレビューを頼む。そうすると、頼まれた側がすごく大変なんだと実感しました。どこまでの粒度で相手に見てもらうか。そのコミュニケーションの仕方が、チーム開発を進めやすくするうえで大切だと思いました。
── 詳細設計担当として、ご自身の設計書をもとにチームの実装が進んでいくのを見て、どう感じましたか?
稲岡:私はIPO、つまりインプット・プロセス・アウトプットを最初に定義して、それをもとに開発してもらう役割でした。
IPOは開発の基盤になるところです。実装のBuildフェーズでも、IPOを参照しながら開発していきます。だから、IPOを明確に決めておくことはすごく大切だと思いました。
「開発で自信を持って納品できる力」がついた
── ビジネス側でAIを使ってきた稲岡さんに、ブートキャンプでどのような力が加わったと思いますか?
稲岡:開発で自信を持って納品できる力がついたと思っています。
それまではコードを気にしたこともなく、バイブコーディングをしていました。それが、裏側のアーキテクチャの作り方や、人が握るべきポイントをつかめるようになりました。人が握るべきポイントは、作るものによって違います。エージェントならここ、RAGならここ、というのが分かったので、これからSALT2とBoostでインターンをするなかで、すごく生きてくると思っています。
もう1つは、開発を最初から最後まで通したことで、開発する人の気持ちが分かるようになったことです。これからビジネス側で開発の人に要件を渡すときにも、どう渡せばやりやすいかを考えられると思います。
── SALT2でインターンを続けようと思った理由を教えてください。
稲岡:1つは、裁量を持って働けることです。ほかの企業ではそこまでやらせてもらえないようなことでも、やりたいと言えば任せてもらえます。成長したい学生にとって、すごくいい環境だと思います。
もう1つは、裁量があるだけでなく、ちゃんと指導してもらえることです。社員の方はもちろん、周りのインターン生もすごく優秀な方が集まっていますし、親会社のBoostの方に指導していただける機会もたくさんあります。開発やコンサル以外にも、どう仕事をしていけばいいのかを学べるチャンスがたくさんあります。
ビジネス側の人こそ
── 最後に、これからブートキャンプに参加する方、とくに情報系以外やビジネス側の方へメッセージをお願いします。
稲岡:今はAIがすごく進歩しているので、動くものは簡単に作れるようになったと思います。でも、その裏側を把握して自信を持って納品することは、ビジネス側の人にはまだかなりハードルが高いと思っています。
こういう開発のブートキャンプで学ぶ機会があると、裏側を理解するすごくいいきっかけになります。ビジネス側の人こそ参加していただきたいプログラムだと思います。
2つの設計書を同じ日に出し、チームの手を止めない
稲岡さんが「開発の基盤になる」と話したIPOは、Sprint 2のチームで詳細設計担当が受け持つ設計書の1つでした。詳細設計担当は、DB設計、APIとIPOの一覧、シナリオテストの3つを作ります。
Sprint 2のお題は、製造業の現場で実施しているアンケートの設問を根拠を持って絞り込み、集計結果から分析レポートを出すシステムです。チームの記録を見ると、詳細設計担当の設計書は、ほかの担当の作業の起点にもなっていました。インフラ担当のインフラ設計はDB設計ができてから、実装担当のMVPはAPIとIPOの一覧ができてから取り掛かるものです。
第1回のチームレビュー会のあと、稲岡さんは同じ日の午前にDB設計の、午後にAPIとIPOの一覧のプルリクエストを出し、インフラ担当と実装担当がそれぞれ作業に入れる状態にしました。2日後には2つの設計書をチームの開発ブランチへ統合し、続いてシナリオテストを設計しています。発表の3日前のチームレビュー会では、このシナリオテストに沿った動作確認を中心になって進める役を担いました。
発表の4日前、実装担当は一人では残りの機能を発表までに終えられないこと、残りは順番に依存していて分担できないことをチームに共有しました。稲岡さんは「私のほうで、実装出来ますので」と申し出て実装ループを引き継ぎ、2日後の朝、10番目のスライスまでを終えた状態で実装担当へ戻しています。
ブートキャンプについて
SALT2では、AI駆動開発ブートキャンプを定期的に開催しています。
参加したい気持ちがあれば、開発経験は問いません。
なお、応募者が多数の場合は、運営による選考を行います。
プログラムの詳細や最新の日程は、ブートキャンプ特設サイトをご確認ください。
👉 SALT2 AI駆動開発ブートキャンプ
https://events.salt-2.com/?utm_source=wantedly&utm_medium=social&utm_content=52964c74
SALT2では、一緒に働く仲間を募集しています
SALT2は、企業の仕事をAIエージェントに任せる自社製品「Trooper」、研修・ブートキャンプ・FDEを通じたAI内製化支援、Boost Consultingグループと課題の特定から実装・定着まで取り組むAIコンサルティング・開発の3つの事業に取り組んでいます。
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👉 SALT2 採用ページ