※この記事はHelixes Inc.のオウンドメディア「Helixes.log」から転載しています。(公開日:2024.09.19)
Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。
今回は、Helixesのクリエイティブエージェンシー・maxilla事業部を長く支えるスタッフにフォーカス。映像ディレクター稲垣ごうさん、美術デザイナー金子恵美さん、ヘアメイクアップアーティストの住本彩さん、スタイリスト石塚愛理さんに、maxillaのプロデューサー・田中大地とディレクター・阿保哲郎という同世代6人のメンバーで、maxillaでの仕事歴やその印象などを語り合ってもらいました。
ーそれぞれの経歴や最近のお仕事を含めて、自己紹介をお願いします。
稲垣 僕は映像を中心としたクリエイティブコレクティブ・HOEDOWNの所属で、maxillaにはカメラマンとして駆り出されることが多いです。maxillaと初めて仕事をしたのは2013年頃。あるとき知り合いの映像ディレクターに呼ばれて撮影してたら、現場で志村(龍之介/Helixes代表)さんと仲良くなり、その後もカメラマンとして呼ばれるようになって。当時のmaxillaはMVだけじゃなく、WebCMや会社説明、インタビューといった映像案件も多かったのでよく撮影に入っていました。
石塚 maxillaとの最初の仕事は、2017年にmaxillaの手がけたアパレル『名/NA』のルック撮影だったと思います。私は高校3年からスタイリストの師匠に師事して、独立したのが2017年、24歳の時。maxillaには独立直後からお世話になっていて、本当に助けてもらった感じです。基本的にはMV撮影で呼んでいただくことが多くて、特に乃木坂46のMV「 I see…」「Route 246」「全部 夢のまま」「好きというのはロックだぜ」は自分的に規模感としても大きい仕事だったと思います。
金子 私は美術デザイナーといって、背景セットの画やデザインを考え、図面を引き、そこからいろんな人に発注して具現化するのが仕事です。大学卒業後に美術会社に4年勤めた後、独立するタイミングで知り合いのアートディレクターの方から「置き土産にmaxillaを紹介するよ」って言ってもらったのがきっかけでした。私が独立するのに”置き土産”って、なんか不思議なんですけど(笑)。
初めてのお仕事は、確かMONSTA XのMV『PUZZLE』ですね。そこからもう1本ほど一緒にやって好評をいただいてたんですけど、その後すぐ私が1年間デンマークのインテリアスクールに留学しちゃって。帰国後は『PlayStation Music × 輝夜月』をはじめ、映像以外にもホテル展示やポップアップの会場構成だったり、手広く美術をやらせてもらってます。
住本 私は22歳で師匠の下から独立するタイミング、2014年に八木(光平)さんから最初に依頼いただきました。独立したてだったし、私とかガキゴー(稲垣さん)はmaxillaにいろんな面で鍛えてもらった感じです。
田中 いろんな意味で大変な案件もたくさんありましたよね。
住本 どこまで言っていいのか…(笑)。雪山で手が震えながらメイクしたり、真夏に渋谷の下水道に潜ってウンチが流れてる横で撮影したりと、過酷な仕事も多かった。最初の頃は、私が出演者やスタッフに水を配ってたりしてたよね?
稲垣 昔のmaxillaは制作部がいなかった、というかそういう考えすらなかったから、ディレクターやプロデューサーだったり、手の空いてるスタッフが制作部的な動きもしてたんですよね。やれる人がやれることをやる、っていう。
ーみなさんは、maxillaやHelixesに対してどういう印象を持っていますか?
稲垣 今言ったみたいに、maxillaと仕事をし始めた頃はまだ色々と手探りで、撮影でもメインカメラをカメラマンが回して、2カメはディレクターが回す文化があったんですが、普通はそんなことしないんです(笑)。さすがに今はもうやってませんが、その手探り感を含めて、自分のちょっと先を行ってる先輩たちの会社だと思ってます。maxillaが制作部や美術を入れたり、徐々にちゃんと整えていく姿を見て、俺も後追いで覚えていく。少しずつ近づいてはまた先に行って、みたいな関係でずっと一緒にやってきたなって。
石塚 ほかの会社と比べると、maxillaの仕事はかなり自由度が高くてけっこう任せてもらえるっていうのはありますね。私はアシスタント時代、クライアントへの接し方もかなり厳しく教わってきたんですけど、maxillaの現場はフランクな感じも強くて、最初はどうしたらいいか戸惑いました(笑)。でも、同世代が多いからなんでも相談できるし、そういう意味では本当にやりやすいなって思います。
田中 うち(maxilla)は他社のディレクターを立てる案件があまりないんですけど、ガキゴーは会社同士の雰囲気も似てるし、なんていうか“同じような人”って印象(笑)。maxillaのやり方をわかってくれてるし、何より強い気持ちが籠もった人間なので!
稲垣 (笑)。
田中 (石塚)愛理はスタイリングの方向性がすでに決まっている案件ではなくて、自由にやってもらえる時にお願いするとすごく良いモノが出てくると思っています。愛理自身が自分のスタイルを持っているので、僕の中では「これは愛理に考えてもらいたい」ってときにお願いすることが多いかな。
住本 maxillaは特に同世代で共通言語も多くて、ヘアメイクを作るにしても楽しいですね。ヘアメイクに対しても、かっちり発注が決まっているというよりは、雰囲気や概要を教えてもらった上でお任せというディレクターも多いので、こちらからもたくさん提案します。maxillaは個人の能力に秀でた人が多い印象ですし、一緒に仕事をすると新しい刺激をもらったりチャレンジが出来るかな。
金子 見てきたモノや聞いてきたモノが近いカルチャー色の強い集団なので、一緒にいて作りやすいですよね。私は前の美術会社が上の世代の中に私1人メインでという環境で仕事をしていたので、独立してからmaxillaみたいな同世代の人と仕事をすると、一緒に文化を作っていけるんだなってすごくワクワクします。
阿保 僕がみんなと出会ったのは2018年頃で、僕もそれまで同世代と仕事することってあまりなかった。でも、こうやって同世代と仕事するってイメージも伝えやすいし、目線を一緒に出来るからやりやすい。ヘアメイクやスタイリングに関して、拙いイメージで伝えてもセクシー(住本さん)と愛理は「こういう感じね」ってすぐに汲んでくれるし、イメージを超えたものをいつも提案してくれます。
(金子)恵美ちゃんでいうと、そもそもmaxilla自体が美術やインテリアを導入し始めたのがそこまで昔じゃなくて、それまでは自分たちで用意してました。「美術」という職業を知らないで映像を作ってた説もあるくらい(笑)。そんな時に恵美ちゃんが現れて、もう革命!って感じでしたね。美術周りを信頼して任せられます。毎回、ほんとありがとうございます。
金子 なんなら、私がmaxillaの物品倉庫、めっちゃ掃除したし整理もしましたからね(笑)。どこに何があるのか、全部把握してる。
ー最後に、これからの目指す姿をお聞かせください。
金子 雑誌を作りたいですね。今私が美術の仕事をしてるのって、『TOILET PAPER MAGAZINE』だったり、高校生の時に『Zipper』の背景に興味を惹かれたからなんです。だから、漠然と雑誌のカルチャーに憧れがあって、消耗されないモノを作りたいなって。
稲垣 ……ってことは、「Zipper」だと恵美ちゃんは背景を見てて、セクシーはメイク、愛理はスタイリング、3人ともそれぞれ見てるとこが違ったのか!
田中 実はmaxillaも、最初は雑誌スタートなんだよね。知ってた?
(maxillaが始まるきっかけとなったZINE「no name magazine」を持ってくる)
金子 えー、知らない! 初めて見た!! これがmaxillaの原点ってことだよね。
田中 そうそう。
住本 maxillaでは月1で俳句を考える句会をやっていて、私も参加しているんですけど、そこでできた句をまとめたいって話があるんですよ。雑誌じゃなくてもいいけど、句会で出来た句を一冊にまとめられたら良いなあ。ヘアメイクとしては、maxillaとしか出来ない仕事があるので、50歳ぐらいになっても同じメンバーで一緒にステップアップしながらやっていきたい。
石塚 私はMVが好きなんでmaxillaではそういう仕事をもっとやっていきたいです。セクシーが言った雪山や下水道だったり、maxillaとだからできる面白い仕事っていうのは本当にたくさんあると思うので、そういうのをちょっと望んでる自分もいます。また変なのこないかなって(笑)。
田中 みなさんに自由度が高いって言ってもらってますけど、うちはアーティストやクライアントと近しい距離感でコミュニケーションをさせてもらえることが多いから、お膳立てのために冗長な資料を作る必要がなかったり、制作プロセスが比較的効率が高いかと思っています。そうした土台があるからクリエイターに任せることができたり、好きにやってもらえるってことなのかなぁと。
金子 大型の広告案件では美術担当と監督は直接話さず、制作部としか話さないっていうことはよくあります。maxillaだと監督とも密に話すことができて、コミュニケーションとしてすごく良いなって思う。
阿保 俺は最近ずっと映画をやりたいと思ってます。だって、今日のメンバーでもう映画、撮れますから。
稲垣 じゃあ俺、阿保くんのドキュメンタリーを撮りたい! そもそも俺は他社のディレクターだから個人としてやりたいことはそこで実現すればいいわけで。だから、一緒にやるなら阿保くんのドキュメンタリーかな。阿保くんは青森出身で津軽弁を喋れるので、彼の地元で映像撮りたいな。これまでもmaxillaでドキュメンタリーの撮影をしてきた、その集大成として……(笑)。タイトルは、『哲郎』。