前回に引き続き、今回もArteryexのこれまでの軌跡と今後の事業構想について、李さんにさらに深掘りしたお話を伺いました。
経営で大切にしている価値観、大手製薬グループ加入による変化、個人のライフステージにおける挑戦などなど、今回も非常に読み応えたっぷりの内容になっております!
前編を見逃した方はこちらからどうぞ!
目次
大事にしている「共通の価値観」
エーザイグループ企業となったことでの変化
ライフイベントを迎えた個人としての変化
今後の事業構想
大事にしている「共通の価値観」
伊藤 : 李さんは、Arteryexの経営においてどのような価値観を大切にされているのでしょうか?
李 : 私が特に重視しているのは、「スピード感」と「コスト感覚」です。
この2つは、起業当初からずっと意識してきたもので、会社が成長して規模が大きくなった今でも変わりません。
伊藤 : スピード感は、スタートアップならではの特徴のようにも感じますが、どのように取り組まれていますか?
李 : 規模が大きくなると、意思決定に時間がかかるようになりがちですが、ユーザーの期待に応えるためには迅速な対応が欠かせません。
特にアプリのアップデートや新機能のリリースは遅れが許されない分野なので、チーム全体でスピード感を維持する工夫をしています。
伊藤 : 大手グループに入られた今では薄れそうなコスト感覚についても継続して意識を高く持たれている理由はなんでしょうか?
李: エーザイグループに入ったことで、資金的な余裕ができたのは確かですが、その一方で「コスト感覚」の基本的な価値観は忘れてはならないと考えています。
特に、私たちのような成長段階の企業では、赤字を垂れ流すのではなく、利益を確保しながら着実に進む必要があります。この考え方は経営陣やマネージャー層ともよく話しますね。
エーザイグループ企業となったことでの変化
伊藤 : グループに加入したことで、どのような変化がありましたか?
李 : 一番大きな変化は、資金面やリソースが安定したことで、より大規模な事業展開が可能になったことです。そのおかげで、私たちの「健康銀行」という構想をより現実的に進められるようになりました。
伊藤: 半面グループに属したことでの難しさもあるのではないでしょうか?
李 : そうですね。意思決定のスピード感には影響があります。法務確認や承認プロセスが必要になり、以前より慎重にならざるを得ません。
しかし、それでもスピード感を失わないよう、グループ内でも柔軟性を保ちながら事業を進めています。
伊藤:エーザイグループに入る際、どのようにしてグループの信頼を得たのでしょうか?
李: 実はグループ入りを決める際に、私自身がプレゼンを行いました。
その中で私たちが持っているPHR事業もさることながら加えて、開発部門を内包できるメリットも合わせて伝えました。
外注だと莫大なコストがかかり、修正も柔軟に対応できないというデメリットがあります。一方で、内製化すればコストを大幅に削減し、プロダクトの品質やスピードを向上させることができると伝えました。このあたりは、私も副社長の東も前職の経験が活きているかもしれません。
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当社が目指すプラットフォーム構想
ライフイベントを迎えた個人としての変化
伊藤: 李さんご自身のライフステージでも変化があったと伺いました。子育てと経営の両立について、どのように取り組まれていますか?
李: 私自身も子育てをする中で、経営者としての視点だけでなく、父親としての視点を持つようになりました。これによって、社員にも家庭を大切にしながら働ける環境を提供する必要性をより強く感じるようになりましたね。
伊藤: 社員の方々にも同じようなライフステージの変化があるのでしょうか?
李: そうですね。特に最近は社員の中でも結婚や出産を迎える方が増えています。そのため、「長く安心して働ける環境をどう整備するか」が経営の課題の一つです。
会社が成長するにつれて、かつてのように「24時間全力で働く」という文化から、「家庭やプライベートを大切にしながら成長する」文化にシフトしてきました。
伊藤: 会社の成長とともに、働き方の文化も変わっていくわけですね。
李: その通りです。働きやすい環境を整えつつも、挑戦し続ける企業文化を守ることが重要だと考えています。私自身も子育てをしながら、このバランスを取る難しさを実感していますが、それがまた新たな成長の機会でもあると捉えています。
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今後の事業構想
伊藤: 最後に、Arteryexの今後の構想について教えてください。
李: 私たちの目標は、「健康銀行」というコンセプトの社会実装を進めることです。
これは起業当時から変わっていないのですがユーザ数とデータ数を増やしていかに収益化し、それを持続可能な形にすることが大きな課題です。
さらに、医療データを活用した新たなサービスを開発することで、ユーザーや社会にとっての価値を一層高めていきたいと考えています。
伊藤: 来年開催される大阪万博にも出展されると伺いましたが、それはどのような取り組みなのでしょうか?
李: 万博では、実証ユースケースとして「パシャっとカルテ」や「カロママ プラス」を中心に、パーソナライズド・ニュートリションのサービスを提案します。
これにより、ユーザーひとりひとりの健康データを活用し、具体的な健康支援を実現する体験を提供します。万博を通じて、社会実装の成功事例を模索し、私たちの取り組みが実生活にどのように役立つかを検証する場としたいと考えています。
パーソナライズド・ニュートリション
科学にもとづく多様な評価を活用して、一人ひとりに的を絞った助言や製品を提供するソリューションのこと
伊藤: まさに社会実装の未来を体現する場となるわけですね。
李:その通りです。これをきっかけに、データを活用した新たなサービスの可能性を見出し、社会に広がる実績を作っていきたいです。そして、その成果を持続可能な事業モデルとして確立し、社会に貢献するサービスをさらに展開していきます。
伊藤: ありがとうございました!
今後の医療データの活用だけでなく、私たちの生活や医療技術の発展にも寄与するような構想に非常に胸が躍りました。
2回にわけてお送りしてきた貴重な代表のインタビューいかがでしたでしょうか? また次回もボードメンバーの普段なかなか聞けないお話をお届けしていく予定です。
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