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雑誌 『装苑』 2023年5月号:インタビュー VOL.1

この記事は「『装苑』 2023年5月号」に掲載された記事の一部を許諾を受けて転載しています。
photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.)
hair & makeup : Kanna Hidaka

ココネさんと考える
仮想空間で活躍するファッションデザイナーになるには?

お話を聞いたのは...
M.M.さん「ポケコロツイン」デザインチームリーダー
N.U.さん「ポケコロツイン」クリエイティブディレクター

VOL.1 アバターデザイナーってどんな仕事?

仮想空間で過ごすための「アバター」への注目度がぐっと高まっている今。その中で、アバターを取り巻く仕事は、新時代の職業として熱視線を浴びています。ポケコロシリーズで有名なココネさんとともに、アバターデザイナーの仕事を知る新連載がスタート! 記念すべき第1回は、アバターとアバターデザイナーの仕事の基礎知識をご紹介します。

“アバター”についてあらためて教えてください!

so-en 最近、アバターを持つ人が増えていますよね。アバターにはそもそもどんな役割があるのでしょうか?

N.U. 少し前まで、なりたい自分をアバターに投影して現実では叶えにくい表現をすることが主目的だったのですが、最近はもっと役割が広がっています。アバターは、いわば自分の"好き"の名刺です!

so-en 自己表現のツールみたいな?

N.U. はい。例えば「ポケコロツイン」では複数のアバターが持てるので、バディやふたごなど、好きな関係性とそのファッションを表現できます。そこに必ずしも自分を投影する必要はなく、作ったふたりのキャラクターを動かして、眺めることができます。もちろん自分の分身のようなアバターと誰かを作ったり、親子や兄弟などの現実世界で好きな関係性を再現する方もいます。今やアバターは、趣味嗜好や個性、能力を具現し、“好き”を実現する拡張ツールになっているんです。

M.M. 小さな頃のお人形遊びの延長のように物語性を楽しむ方もいれば、ファッションやインテリアをどう素敵にコーディネートするかにクリエイティビティを発揮している方もいますね。

so-en 「ポケコロ」や「ポケコロツイン」などのかわいらしい2.5頭身のアバターは、確かに想像が膨らみます。

N.U. 動くアバターとしての機能美があの2.5頭身なのですが、そのことでリアルトレンドだけではなく、そこから離れた服もより自然に着こなすことができるんです。例えば、ぬいぐるみを抱っこしたり、お菓子やお花を身にまとったり、リアルではやりにくいオシャレがなじみます。

M.M. ココネのアバターデザイナーはデザインを考える際、現実の服も参考にしていますが、2.5頭身アバターへの“デフォルメ力”は、腕の見せどころでもありますね。

N.U. アイテムは私たちが作り出していますが、実際に自由なスタイルを作るのはお客さまです。どなたでもスタイリストになれて、幅広いジャンルのファッションに挑戦できることが大きな魅力だと思っています。

M.M. 現実のコーディネートよりも個性を爆発させやすいぶん、共感する人の輪が広がりやすいのも面白いところ。一人でも楽しめますが、お気に入りのコーディネートができたら、やっぱり誰かに見せたくなりますからね。

so-en “好き”を媒介にした、濃いコミュニケーションも可能になるんですね。

N.U. 「ポケコロ」や「ポケコロツイン」の空間には様々なコミュニティがあります。“好き”を共有し合うことはもちろん、例えば日々の中で直面したつらいことをお互いに共感し励まし合うような関係性も。ファッションだけでなく、日々の小さなワンステップを踏み出すためのツールにしてもらえたら嬉しいです。

何をどんなふうにデザインしているの?

──ポケコロシリーズは、ファッションアイテムやヘア&メイク、インテリアまで含めたテーマ性の高い「ガチャ」が魅力です。どのようにデザインしていますか?

N.U. まずはクリエイティブディレクター(以下、CD)から、「お花を使ったエレガントなテーマ」のようなお題が出ます。それを受けてアートディレクター(以下、AD)が、より具体的なテーマを設定します。例えば、「エレガントな花だからユリをメインにした和風のテーマにします」といったことを決めるのはAD。一つのガチャにどんなストーリー性や設定、演出が入るかなどの世界観を掘り下げ、アイテムラインナップもADが決めます。

M.M. その世界観に他テーマや過去とのかぶりがないかをCDがチェックし、クリアしたら、ようやくADが各デザイナーにアイテムデザインの仕事を割り振ります。2、3人のチームで一つのガチャを担当し、ガチャごとにチーム編成が変わります。

N.U. ココネのアバターデザイナーは、シチュエーションありきで服をデザインするんです。それから演出も込みで着せ替えなので、エフェクトや目や口などお顔の印象、アバターの動きもデザインの範疇です。

M.M. 担当はデザイナーの個性や得意分野で決まる場合もあるので、自分の好きなファッションの分野や個性のある人だと、該当テーマの時に仕事がより楽しくなりますね。

N.U. と同時に、ファッション全般への好奇心があったり、手を動かすこと自体が好きな方、いろんなことを学びたいと思っている方が大成する仕事でもあります。私は進化生態学を学んでいたので、実はファッション畑の出身ではまったくありませんでした。ココネの仕事を通じて新しいファッションを知り、自分の価値観が変わるのが楽しくて仕事を続けています。

M.M. 私も、社会人になってから縁あってデザインを始めることになりました。今はチームリーダーですが、デザイナー時代はほかの人が作らないものを考えたり、着物や傘のようなアバターの構造上制約のあるアイテムをどうデザインするかを考えるのが楽しかったな。

N.U. 最初は100%構造が分からなくてもいいのですが、よりいいものを描くために、皆で日々試行錯誤していますね。

ココネで働くアバターデザイナーになるには。

──アバターデザイナーの皆さんの、お仕事内容が分かってきました! ココネで働くのに必要な資質ってなんでしょうか?

M.M. 「かわいい」が分かること! あとは服を立体的に捉えられるといいですね。動きやポーズの自然さやかわいさを意識する必要があります。

N.U. 画力よりもファッションへの興味・関心が大切だと思います。人の着こなしを見たり、それを分析するのが好きな人は入社しても伸びやすいです。インテリアや風景画が好きな人は、「ココリウム」(※ポケコロツインのアバター、ココロンが住む空間)作りに才能を発揮しています。

M.M. マテリアル好きや、コラージュが得意な人もいいですね。

N.U. 欲しい服が世の中に売っていないという経験をした方も、アバターデザイナーに向いています。実際には売れない・着られないこんな服があったらよかったのに!という思いを抱えている『装苑』読者の皆さま、ココネでお待ちしています(笑)。

M.M. 大切なのは、やっぱりどんなファッションも面白がれて新しいものを取り入れて、さらにそこから自分で新しいジャンルや世界観を創造できることですね!

アバターデザイナーの3か条

1.自分がかわいいと思ったものをアレンジする力
2.吸収力
3.アンテナ力・好奇心



『装苑』 2023年5月号

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