はじめに
こんにちは。古谷です。
Co-LABO MAKER(コラボメーカー)という研究開発リソースのシェアリングサービスをしているスタートアップの代表をしています。
コラボメーカーは、一言でいうと「研究版のAirbnb」です。
やりたい実験があるけど研究設備やラボがない研究者と、研究設備はあるけど資金が必要な研究室や企業をつなげ、ラボや実験機器を必要な期間だけ使えるサービスを提供しています。
https://co-labo-maker.com/
直近とても面白い時期にさしかかってきており、改めて私たちが何を目指しているのか、そのために何をしているのか、どのように進めているのか、今回改めて書くことにしました。
何を目指しているか
「研究開発の民主化」
大それた話ですが、それが私たちの目指しているもの、ビジョンです。
今のIT業界くらい(あるいはそれ以上)、組織も人も自由度高く舵取りをしていける、そんな世界を目指しています。
今のIT業界は、組織によらず、場所によらず、年齢にも経歴にもよらず、意欲さえあれば、学びの場も仕事の場もあり、自らの道を選択していけるようになっています。
システム開発自体も、小さく実験しながら、状況の変化に合わせて本当にあるべきシステムに修正していけます。
テクノロジーの発展により、事業開発・システム開発のハードルが下がったため、自由で、柔軟で、スピードの早い開発ができる環境が整っています。
一方で、企業や大学における研究開発は、特に実験系の場合、最低限のインフラをそろえるだけでも、膨大な知識、経験、設備、資金が必要です。それらの資源を保有する組織に属していないとほぼ何もできません。また、揃えるハードルが高い分、どうしても揃えた資源に固執してしまいます。新たに始めるにも、他に移るにも、非常にハードルが高い、というのが現状です。
更に、研究から事業化までの距離が遠く、魔の川・死の谷と言われるような研究と事業化の間に横たわる数々の困難を突破できる方法論も人も不足しているため、成功率が低く、投資もしにくい状態です。
そんな研究開発のハードルを徹底的に下げて、物理的にも精神的にも自由に研究開発ができるようにしたい。
今のITと同じくらい身近なものにしたい。
新たな仕組みで研究開発のコスト対効果が大幅に向上し、deeptechと呼ばれるような科学技術の社会実装が進み、資金や人が流れてくることで、研究開発に関わる人もその恩恵を受ける世界中の人々ももっと幸せにしたい。
そんな思いで事業を進めていますが、テクノロジーの社会実装が進んでいければ、必然的に目指す世界に近づいていくとも思っています。
そんな未来が早く訪れるように、日々挑戦しています。
何をしているか
今の古い社会を前提に組み立てられた研究開発エコシステムではなく、現在および次世代のテクノロジーを前提として価値創造のために最適化された、新たな研究開発エコシステムを形成していきたい。
とはいえ、それは1社でどうにかできるような話ではないですし、様々なプレイヤーがそれぞれの強みを最大限活かして、経済合理性や様々な制約をクリアして、その時が来て初めて実現できる極めて困難な道です。
なので私たちは、
「研究開発リソースが滑らかに循環し活かされる仕組みを、科学し、発明し、日常にする」というミッションのもと、研究開発リソースシェアリングサービス「Co-LABO MAKER(コラボメーカー)」を行っています。
コラボメーカーは、新たなテーマの実験に必要な研究設備やラボがない研究者を、研究設備はあっても資金や連携の機会が足りていない研究室や企業につなぎ、実験委託や、一定期間のラボや実験機器の使用を可能にするサービスです。
本サービスの最大の価値は、圧倒的に研究開発のハードルが下がる事です。
足りない研究リソースを外部から調達すると、本来よりもはるかに早く低価格で必要な実験ができるようになるため、ITでいうリーンスタートアップのような、「リーン研究開発」を行うことができます。
例えば、本来一通りの細胞培養実験ができるラボを用意しようとすると、数千万円の資金と、半年以上の立上げ期間が必要になりますが、コラボメーカーを使うと、月数十万円の費用で即実験を開始できます。
社会の変化が加速し、競争が激化する中で、変化に合わせて迅速かつ柔軟に課題にフォーカスした研究開発ができるのは、極めて大きな価値です。
ラボや実験設備を提供する側からしても、年間予算100万円程度の研究室や小さな企業にとっては大きな収入になります。資金と新たな機会を得られる、極めて貴重なサービスとなっています。
更に、集めた研究開発リソースとシステムをフル活用して、研究開発からの事業化を支援する「バーチャル研究開発センター」も一部開始しており、より曖昧で広い研究開発の課題にも対応できるようになっています。
研究開発と事業は、知見やスキルだけでなく考え方の違いも大きいため、双方を理解できる人がいないと事業化の成功は極めて困難です。
なので、技術の特徴を抽出して顧客課題と結びつけることで事業企画に落とし込んだり、事業企画の実現に向けた技術・事業・組織面での仮説立案・検証を行ったり、必要になった実験をシェアリングで調達したりといった、伴走支援も行っています。
これらのサービスを磨き上げ、テクノロジーで強化して仕組みと研究開発リソースを積み上げていき、更にはそれらをプラットフォーム化して、「研究開発で困ったらコラボメーカー」と言ってもらえるような存在になっていきたいと思っています。
どう世界が変わるか?
研究開発リソースシェアリングの仕組みが社会実装され、当たり前になると、研究開発のハードルが下がります。
結果、
・人・技術・設備・知見の流動化
・研究開発リソースの所有と実行の分離
・研究開発手法の進化(リーン研究開発)
が進むと考えています。
ITの世界では、全て自前で確保しなければならなかったのが、あらゆるものがクラウド化され容易に手に入るようになったことで、参入障壁が極めて低くなりました。
結果、開発手法も顧客課題にフォーカスして小さく実験を繰り返す手法中心に変化し、ハードとソフトが分離し、人も技術も流動化しました。
ITの世界と同じような変化を、よりアナログな研究開発の世界にも起こせると考えています。
今は技術的積み上げが非常に困難なこともあり、一度技術的優位を構築すると、その技術を軸に事業や研究を組み立てる、ということが通常です。
企業は、設備にも人材にも莫大な投資をし、技術的資産とそれを支える企業文化を築き上げているため、それらを軸としたシーズ起点の事業展開になりがちです。
研究室も、過去の伝統の積み上げをベースとして各研究を行っていくので蛸壺化しがちです。
これまではそれでも良かったかもしれませんが、変化が激しい現在においては、変化に適応していけず、衰退の道を辿らざるを得ません。
シェアリングを普及させ、新たな研究開発を行うハードルを下げることで、コア技術を軸にしながらも他分野の技術を小さく試して柔軟に取り入れる、
社会や顧客の課題にとことんフォーカスして必要な技術を組み立てる、
というような、新しい研究開発の当たり前を作り、今の閉塞感を打破していきたいと考えています。
今どんな状態か?
これまでになかった新たな市場を、常識を切り拓いていくことは、本当に大変でした。もうダメかもしれないと思ったことは一度や二度ではありません。うまくいく保証も信用も資金も経験もない中で、小さく実験を繰り返し、大量の失敗を重ねながらも、ようやく事業としていい感触を得られるところまで来ました。
研究のシェアリングという新しい事業を立ち上げるために小さな実験を繰り返して四苦八苦していた状況から、立ち上がった事業を如何に仕組み化し、スケールしていくか、というステージにうつる変曲点にいます。
まだまだ足りないものだらけですが、急激な変化の中で、成長痛に苦しみつつ、事業と組織を急ピッチで組み上げていこうとしています。
日々混沌としていますが、難しいからこそ、やりがいのある最高に面白いステージです!
どうやっているか?
まだまだ安定からは遠い状態なので、日々実験と学習と仕組み化をチームで繰り返し、時には作り、時には壊しながら、事業と組織を組み立てていっています。
ある程度数字が読める部分も出てきているため、そこは確実に数字を積み上げていくための体制を構築しつつ、それ以外は比較的流動的に動いています。
大学や企業を回るメンバーもいますが、ほぼフルリモートで、slack・discord・zoom・asanaを使い分けながら日々のフロー型のコミュニケーションをとりつつ、docbase他諸々のツールで知見をストックし、共有しながら進めています。
研究経験がある人、理系の人が比較的多めですが、文系のメンバーもおり、子育て中の女性も複数名いて、多様なメンバーで進めています。一度もあったことがないメンバーもいますが、オンラインでは密にコミュニケーションをとっており、オンライン飲み会もするので、日々会っているような感覚で仕事を進めています。
今後としては、研究開発リソースの循環が当たり前になった世界でも、そこに至る最中でも、科学と発明と実装とを日々繰り返す、面白い機会に溢れた会社であり続けられるような、組織と文化を築き上げていきたいと思っています。
最後に
絶賛成長中ですが、背中を合わせてともに戦える仲間が不足しています。
特に、事業プロセスを仕組み化していく、プロダクト・開発周りのキーマンになれる方を探しています。
まだまだ未熟な会社ではありますが、だからこそ、中心となって会社を、世界を創造していけるチャンスがあります。
コラボメーカーがない研究開発とか想像できない!と言ってもらえるような、未来の常識になっている最高のサービスと会社を、是非一緒に作っていきましょう!
また、自社だけで研究開発エコシステムを圧倒的に良いものに変えていくことは難しいため、意志ある人々とともに共創していきたいと思っています。目指す世界に少しでも共感していただけた方は、是非お気軽にお声がけください!