Clearの社員紹介ブログ第3弾。当社が運営する日本酒WEBメディア「SAKETIMES」で編集長を務めている小池潤がお送りします。
高校時代に「ことば」のおもしろさに出会い、編集という営みに興味を抱いた私は、カミナリが落っこちたような日本酒との邂逅を果たし、株式会社Clearに参画しました。
ぼくは、現在の仕事を天職だと思っています。アルバイトとして参加していたときからその想いは変わることがありません。
「ことば」に取り憑かれる
ことばを扱う仕事に就きたいと、そんなざっくりとした将来を描いたのは、高校生のときでした。ふと何気なく見ていたテレビ番組のなかで、巧みな話術で世界を描写するお笑い芸人の姿に強い感動を覚えたのです(ちなみに、当時はトータルテンボスのファンでした)。
じぶんが何気なく捉えている日常の風景が、伝え方ひとつでこんなにも表情を変える。夢中になって、トーク番組や漫才の映像にかじりついていました。
ちょうどそのころ、言語そのものに興味をもち始めていました。受験勉強をするなかで「careful(形容詞)に ly がつくと carefully(副詞)になる。ということは、ly には、形容詞を副詞に変える力があるんじゃないか……でも、friendly は名詞だぞ……むむむ」なんてことばかりを考えている高校生でした。
英語という言語をもっと掘り下げたいと思い(世界を股にかけて働きたいという願望もあって)、早稲田大学の英語英文学科に進学しました。
大学では、さらにアカデミックな理論言語学という学問に出会い、その魅力に染まっていきました。
たとえば「教授と3杯酒を飲んだ」「教授と酒を3杯飲んだ」というように、いわゆる数詞表現(ここでいう『3杯』)は文中のどこにでも登場しそうですが、「教授と酒を飲んだ3杯」となると、これじゃない感がありますよね。その不快感がどこからくるのか、文法的に分析したりしていました。
ちなみに、卒論では日本手話の言語学を取り扱いました(日本酒と音が似てるね)。
大学時代は、とことん学びに明け暮れていました。数や量を重要視するのはあまり好きではありませんが、在学中に1,000冊以上の本を読んだことは、自分の思考を支える大きな礎になっています。
日本酒との出会い
お酒との出会いは、大学のサークルでした。お酒がどうこうというよりは、お酒のある場が大好きでした。
銘柄を意識して日本酒を飲み始めたのは、友達が働いているという縁で入った神楽坂の地酒専門店。そこで飲んだ日本酒があまりにも美味しくて、カミナリが落っこちたようでした(ちなみに「たかちよ 純米大吟醸」でした)。グレープフルーツをまるかじりしたような、ジューシーでフルーティーな味わいだったのを、今でもよく覚えています。本当に美味しかった。
ちょこちょこ通うようになって、スタッフの方々と会話をするうちに、グラス1杯の外側にたくさんのストーリーがあることを知りました(最終的に、その店でアルバイトをすることに)。
ちょうどそのタイミングで、ClearがSAKETIMES編集部のアルバイトを募集していることを知って、日本酒と編集をいっぺんに扱えるなんて、ハンバーグカツカレーじゃん!とすぐに応募。残念ながら落選していまいましたが、その後の募集で念願のジョインが叶いました。
まわりが就活を始めるなかでも、Clearで働きたいという思いは強く、就活を一切せずに大学を卒業し、その後もひきつづきアルバイトとして参画しました(フリーターってやつです)。
もともとお笑い芸人に憧れていたこともあってか、「35歳くらいまではどんな人生でもいいから好きに生きる。その代わり、35歳になったときにそれまでの人生をおもしろく語れるように!」という考え方だったので、その決断に抵抗はありませんでした。
編集長をやってほしい
大学を卒業して初めての12月、代表の生駒から「編集長をやってほしい」と声がかかりました。新ブランド「SAKE100」の立ち上げにあたって、既存のメディア事業を任せたいと。
まさに青天の霹靂で、当時とてもびっくりしたことを鮮明に覚えていますが、すぐに「やりたい」と答えました。それまでの働きが認められたようでうれしかった気持ちが半分と、挑戦してみたいという思いが半分でした。
編集長になってからしばらくは心身ともにバタバタで、当時のことは正直よく覚えていません。与えられた仕事に全力で向き合うアルバイト時代と違って、編集部チームのマネージメントをするのは、まったく違う筋肉を使っている感覚でした。
それでも、編集長というポジションを与えられたことで、さらに大きな視点で日本酒を向き合えるようになったのも事実。目の前のやるべきことだけでなく、10年後、そして100年後に何が必要か。それを考えようとする視座を手にすることができました。
これからのClear
日本酒の仕事はこの世に数多あるのに、なぜClearにこだわるんだろうと考えてみると、最終的な決め手はいっしょに働く仲間でした。
代表の生駒、ディレクターの高良、広報の古川、エンジニアの西久保......この4人とともに、日本酒の未来をつくっていきたいと心から思ったんです(今回、大好きな仲間がまた増えると思うと、本当にわくわくします!)。
Clearという会社は、その名前に象徴されるように、とても純粋でまっすぐな会社です。日本酒のバックグラウンドをもとから携えた人の集合ではなく、私たちは「日本酒が好き」という、どこか信仰にも近いピュアな感情で集まったメンバーです。
私たちには、純粋であるがゆえの、持たざる者であるがゆえの力強さがあります。
Clearはいま、第2創業期を迎えています。
自分のことを話すと、昨年リリースした「SAKE100」では、学生時代に取得した専門資格「酒匠」(世界に400人ほどしかいないんです......!)としてのテイスティング能力や、SAKETIMESがこれまで培ってきたネットワークを活かして、商品開発に取り組んでいます。これがまたおもしろい。
SAKETIMES、そしてSAKE100を通して、私たちは日本酒の未来をつくりたい。
日本酒の魅力はその多様性。香味のバリエーションのみならず、どんな料理と合わせるか、どんな温度で飲むか、どんなシーンで飲むか、だれと飲むか……さまざまな要素によって、その美味しさをさまざまに変化させる日本酒を、世界中の人々に知ってほしい。
私たちの挑戦は、いまはまだ獣道。その道がやがて王道となるように強進していきます。