【変異型】流行する必須の条件
新型コロナウィルス(Covid-19)の世界的流行が続いていますが、流行するウィルスの型は、次々と発生する「変異型」へと入れ替わっています。
流行するウィルスの遺伝子型が「入れ替わる」には、“必須の条件”があります。
それは、新しい変異型ウィルスの方が「強い感染力を持つ!」こと。
これまで発症し難いといわれていた低年齢層にも感染することで、感染者は全世代的に出てきています。「全世代的に感染者が発生する」という状況はつまり「変異型ウィルスに触れる機会が増える」ということで、今後さらなる感染拡大が考えられます。
【スパイクタンパク質】
変異ウィルスは、スパイクタンパク質と呼ばれる部分に変異が入ることにより、ウィルスの性質が変わります。そして、このスパイクタンパク質は、“ヒトの細胞を認識する感染” に欠かせない部分です。
イギリス型のN501Yとは、タンパク分子中のアミノ酸配列の置換を表現しています。
=501番目の「アスパラギン」が「チロシン」に変わった= という意味です。
ウィルスは、体内で増殖する過程で自分のコピーを作ります。その時にミスが起こった(特定のアミノ酸を指定するはずが、誤って置換した)のが変異型です。
このアミノ酸の置換によっては、何も性質が変わらない場合もあれば、ウィルス表面のスパイクタンパク質部分の立体構造が変わる場合もあります。
スパイクタンパク質の構造の変化で、細胞の受容体(レセプター)との結合力が変わったりして、感染力が高まることがあります。 ”レセプター”と”ウィルスの突起部分”は、”鍵と鍵穴のような関係のもの”なので、結合しやすい形になれば、ウィルスは細胞内により入りやすくなります。
【変異による感染拡大】
突然変異したことで、今回のイギリス型ではおそらく、より“ヒトの細胞を認識しやすくなった”、もしくは、ヒト免疫が効きにくくなった、と考えられ、結果として感染者が増加しました。
このように、変異による置換は ”偶然” 起こります。”偶然の結果” で、感染力のより強いウィルスができ、これまで感染していない人達への感染も引き起こします。
現在までの過程では、感染力が高くなる変異型が流行し、その感染者数が増すことで重症になる方が増加していると感じられます。
勿論これから先にもウィルスの変異は続き、方向を予想することは困難です。
重症化や後遺症の残りやすいウィルスになる可能性もありますから、より一層の感染予防対策の徹底と、ワクチン接種が必要だと思っています。
全世代的に、速やかに、ワクチン接種が進んで欲しいものです。
vol.8 2021.6.17 TJ博士
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