ブー太郎放浪記 第一話「さえない係長」
田園都市線用賀駅前の商店街。時間は夜の22時過ぎ。残業や飲んだ帰りのサラリーマン、何をやっているのかわからない職業不詳の私服の人、大学生風の若者らが駅から家路に向かって歩いている。ブー太郎がいつものようにフラフラ歩いてると、疲れた様子のサラリーマンがブー太郎に近づいてきた。飲んだ帰りなのか赤ら顔で少し酔った様子。「あれ?ノラ猫だ。かわいい。こっちおいで」そう言うとサラリーマンは、手に持ったコンビニの袋からさっき買ったばかりのカニカマを取り出し、袋を破いてブー太郎に差し出した。「はい、これあげるよ」(・・・3秒ほど沈黙)「ほら?どうした?食べないの?」ブー太郎は、男の様子を少しだけ眺める。...