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TOKYO GRAY

僕は、東京で生まれ、幼稚園の年長で埼玉に移り住み学生時代を過ごし、26歳で東京で一人暮らしを始め、現在も東京に住んでいる。

幼少期と社会人を足して、二十数年、東京で生活。

僕は、「TOKYO」で生活し働く事へのこだわりを持っている。
今日は、そのこだわりについての話をしてみようかと思う。

20数年前、大学3年の夏休み。
タイへの一人旅。

往復の航空チケットだけを取り、宿は決めない。いわゆるバックパッカーと呼ばれる旅のスタイルで1カ月ほど、タイ国内を旅行しようと決めた。

半年程まえ、1学年上の姉が「午後になると眠くなるのが耐え難い」という理由で新卒で入った会社を1年程で辞め、タイへ1カ月の旅行へと出かけていった。
当時、僕のタイに対するイメージは、「発展途上国」「東南アジアの危なそうな国」という漠然としたものしか持ってなく

「姉は、どこに惹かれて旅行に行くんだろう?」
「ヨーロッパとかアメリカに行けばいいのに」

と、思い「タイへの一人旅とかやめた方がいいんじゃね?」と言ったりもしましたが、頭の悪い大学生の弟の言うことなど聞くわけもく、予定通り旅に出かけていった。

「なぜ、危なくて汚なそうな国に行くんだろう?」

そう思うと、少しだけ興味が沸いてきた。

1カ月の旅を終えて、帰ってきた姉は、なんだか楽しそう。
数日して、現像に出して上がってきた写真を見せてもらうと、とても楽しそう。
見たことのない景色。写真から感じる、熱。知らない世界。

「海外ってなんだ?旅って何だ?」
そう思うと、ますます興味が沸いてきた。
姉が持っていた旅行関連の本、
沢木耕太郎著「深夜特急」、小林紀晴著「Asian Japanese」、旅行人関係の書籍などなど。
読み漁っていたら、もはや気持ちはバックパッカー。

どこか、日本でダラダラした生活にも飽きを感じていた。
そして、プライドが高く何も出来ない自分。
「何も出来ないことを実感するチャンスが欲しかった」
「プライドを捨てたかった」

今しかない。

「行こう!」

アルバイトでお金を貯めながら、タイとかバックパッカーについて調べる日々。
気持ちは、バンコク。

大学3年の夏休み。いよいよ、準備が整いタイへと出発。

タイでの1カ月の経験は、
毎日が刺激的で、「何も出来ないことを実感すること」「プライドがボロボロになる」には十分な体験だった。

そして、熱い、タイから帰国。

成田空港から、上野駅へと向かう京成スカイライナーの車中から外の景色を眺めていると、すべての景色がグレーに見えた。街も空も建物も。

雨が降っていたせいかもしれないが、
明らかに、出発前に見ていた景色と違って見える。

「なんなんだこれは?」

わけもわからず、涙が出てきた。どこか悲しい。何が悲しいのかわからない。
東京がグレーに見える。

「トウキョーがグレー」

僕は、このグレーの正体を知るために、今でも、東京で生活し東京で働いている。
あの時の景色はなんだったんだろうか?
東京の真実は?

今にして思えば、初めて異文化に触れて日常の景色に戻った時に生じた自分の中のギャップというか違和感というか感性の化学反応のようなものだったのかもしれないと思う。実際に、その後に、海外から帰ってきてもグレーに見えることはない。

人生で一度きりの体験。

自分の中で、「TOKYO GRAY」と呼んでいる。

だから、東京にこだわる。

2019年2月25日のブログより 代表取締役 河原敬吾

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