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【CS interview #09】新部門「アナリティクスコンサルタント(AC)」立ち上げの背景

こんにちは!採用担当の福重です!

今回は、「人と社会を健康に」というミッションを掲げ、全国各地の自治体とも連携しながら予防医療事業を推進するキャンサースキャン。今回は新たに立ち上げた「アナリティクスコンサルタントチーム」について、マネージャーの辻に話を聞きました。(サムネイルは、小豆島に向かうフェリーの中でうどんを食べる辻)

◆プロフィール◆
辻尭裕(つじ たかひろ)
株式会社キャンサースキャン データエンジニアリング本部マネージャー

1983年生まれ。東北大学工学部建築学科卒業。建築設計事務所を経て、保健医療分野のコンサルタントとしてイラク・アブダビ・ベトナム等の新興国で病院整備や技術移転事業に携わる。2016年にキャンサースキャンに参画。一級建築士。ロンドン大学衛生熱帯医学校在籍。

アナリティクスコンサルタントチームは今年新設された組織ですが、立ち上げの理由を教えてください。

キャンサースキャンでは、がんや生活習慣病などの公衆衛生上の課題に対して、行動変容を促す事業を行っています。我々は健診結果や診療報酬データをもとに地域課題の分析や行動変容が必要な対象者の抽出、さらに事業の効果測定をおこなっています。データの取り扱いに加えて、課題そのものに取り組むための保健医療や統計・疫学に関する知識も必要です。これまで、一部の社員が幅広く業務を担っている形でしたが、ここ数年で案件数も事業領域もスケールする中で、高い専門性を武器に要件定義・分析・効果検証などにフォーカスした役割を担う独立したチームとして立ち上げ、組織を強化していこうということになりました。

案件数や事業領域は過去と比べてどれくらい広がりましたか。

私が入社したのは2016年ですが、その頃は受注案件数は30くらいでした。現在は約700までスケールしています。事業領域としても、がん検診の受診率向上事業から始まって、特定健診や生活習慣病対策に広がりました。最近では後期高齢者の健康事業や介護・口腔など新たな領域での取り組みも始まってるので組織として変化をしていく必要があります。

確かにその通りですね。アナリティクスコンサルタントチームの業務はどのようなものでしょうか。

一般的には「ドメイン知識を武器に、課題の見極め・解釈を見越した分析デザインをおこない、実施可能で意味のある提案へ落とし込む」という役割かと思いますが、公衆衛生上の課題に対してのマーケティング・行動変容に携わりますので、分析に留まらず、健康診断や医療機関への受診を促す対象者の抽出や施策の効果検証なども担当します。業務は単独で進めるのではなく、データを直接扱う解析チームやマーケティング部門、外部の専門家などを巻き込んで業務を進めていきます。

なるほど。業務範囲としては、診療報酬データ等のデータ利活用に関連する企画提案や要件定義がメインになりますか。

(高松市役所前で米倉とコーヒーで乾杯)

そうですね、クライアントへのヒアリング等を通じて課題を抽出し、提案に落とし込んだり、課題に対して何をどのように分析するのかという要件定義を行ったりすることは、アナリティクスコンサルタントに特に活躍を期待する部分です。事業の価値をきちんと出すという点では、社内外の関係者たちと連携しながら、その後のプロジェクトの進行管理や、分析結果の解釈・報告を行うことも重要な業務になりますし、全ての段階に伴走して事業価値を高めてもらいたいと思っています。また、分析集計を適切な定義・手法でデザインすることは重要ですが、その結果から何が言えて何が言えないのかを正しく丁寧に説明できることが保健医療の現場では特に大事です。マーケティングや営業といった他部門のメンバーが自治体との窓口は担っていますが、必要があればそこにも同席したり、相談に乗りながら提案内容を検討したりということもあります。クライアント側の要望にただイエスと言うのではなく、「本当にその自治体が抱える課題と要望がマッチしているか」「それに対するソリューションとして我々の提案がズレてないか」といったことをチェックし、一緒に調整していくようなイメージです。課題に対してズレた施策。施策に対してズレた仕様。というように目的と事業がズレていくことは専門領域であるがゆえに起こりやすいですし、そうなると課題解決から遠ざかってしまいます。このズレを可能な限り小さくする。実践は難しいですが組織として目指したいところです。

単にデータ処理や分析を行うだけではないんですね。そういった姿勢がキャンサースキャンの仕事の特徴のひとつともいえるんでしょうか。

そうですね。ビジネスという側面とソーシャルな側面の両軸を大切にしているというのがキャンサースキャンの特徴になるのかもしれません。クライアントである自治体の、その先にいる住民のことを一番に考える。「クライアントが望むならそれでいい」はビジネスでは正しいかもしれませんが、ソーシャルという観点では「本当にアウトカム・課題解決に繋がるだろうか?」「住民の皆さんの健康づくりに貢献するだろうか?」ということも丁寧に考えていく必要があります。

他にも、キャンサースキャンのアナリティクスコンサルタントチームならではの業務特徴はありますか。

我々は分析を含む社会実装を公衆衛生の領域で手がけています。住民に健康行動を促すような介入を伴う事業も少なくなく、分析のみに留まらないという点で魅力的な一方で、人々の健康に直接関連する責任も大きい。我々の理念の中に「Stay True to Science」という言葉がありますが、できる限り科学的根拠に基づいた事業を目指しています。保健医療・公衆衛生という領域は「科学」として多くの知見が積み上がっています。一方で、まだ明らかになっていないことも多く、課題に対して最適な答えが用意されているわけではありません。既存の知見を基にベストな方法で社会実装し、知見のない領域では、適切な仮説を設定してエビデンスを自ら産み出していくアナリティクスコンサルタントの業務は、高い専門性と、科学に対して真摯に向き合う姿勢が求められるものであると考えます。別の言い方をすれば、科学、そして社会課題と日々の業務が繋がっていることが特徴かもしれません。

キャンサースキャンではどのような分析手法を使うことが多いでしょうか。

特定の手法にこだわりすぎず、目的に応じた手法を選択することを心がけていますが、「疫学」という学問領域の手法を取り扱うことが多いです。先ほどお話したように、事業を実施する上で、我々は「根拠はあるか」「本当にそうか」ということを常に意識しています。「根拠」といっても玉石混合ですし、我々が扱うデータは不完全なデータであることが多く、バイアス・交絡・逆の因果の可能性など常にlimitationを伴いますので、数理モデルだけでは正しい示唆を生み出すことはできません。保健医療に関する知識と批判的な吟味が求められます。その土台となるのが「疫学」という体系です。100年以上かけて疫学者が積み上げてきた手法・考え方を、われわれはリスペクトをもって、アカデミックに発達したものを活用しています。とてもありがたいことに第一線で活躍されているアカデミアの方達にも技術的な協力をいただきながら、組織としても個人としても日々研鑽しています。

アナリティクスコンサルタントのやりがいはどのようなところだと思われますか。

実際に我々が取り組む案件では、課題の設定やスケジュールや取り扱うことのできるデータなど、正解がなくかつ現場特有の制約がある中で、総合的に判断して良い案件をつくっていく必要があります。なかなか難しいですが、顧客の期待を超えた事業を提案・提供できたときは嬉しいし、やりがいになるかと思います。
そのためには知識や経験が必要になりますが入社時点でデータ処理や疫学、公衆衛生の知識が全て備わっている人はほとんどいません。私自身も、入社してから疫学を学びました。実際に学んでみると日々過ごす中で見る情報についても「これはこうしたら良い分析ができそうだな」といった発想をすることができたり、それだけではなく、アカデミックな領域で学んだことを社会実装することができる職場なので、「昨日学んだこれが使える」といったことがリアルに起こったりもします。医療現場での経験や研究経験のある方は、ご自身の持っている専門的な知見を実際の社会に反映させていくということを肌身で感じることができると思います。ただ、身につけていただくことも多いので、興味関心がないと苦しいかと思います。その辺りは面接の際に確認するようにしています。

実際にアナリティクスコンサルタントチームに配属されたら、最初はどのように業務に携わっていくのでしょうか。

必要な知識やスキルのトレーニングについては、座学とOJTが中心ですが、どちらかに偏らず、どちらも行き来しながら進めていっていただくことになります。色々なレベルのプロジェクトがあるので、例えば最初は専門的な知識がそこまでなくても携われる進行管理的なところから関わり、全体の流れを把握して、その後「高血圧」などのワンテーマについて勉強を深めてもらい、さらにその中の「未治療者とは何か」という部分について考えていく……というように、少しずつ領域を広げていくイメージです。学びを続けていくことでOJTの範囲も広がっていきます。
また、部門のメンバー以外にも、疫学・公衆衛生を専門にされている大学の研究者と週に何回か定例で話す場を設けています。そこではざっくばらんに質問ができるので、具体的な相談をしたり、今後のトレンドや学術的な流行りを聞いたりと、ゼミのように学びを深めていくことができる環境を作っています。
OJTで参加するプロジェクトでは、先輩社員のサポートを受けながら、1プロジェクト担当者として業務を推進していきます。プロジェクト進行中は、他部署のメンバーとの連携も求められますが、特に、実際にデータを取り扱う解析チームのメンバーとは、分析の実装仕様等について、互いに相談・議論しながら業務を進めていきます。

これからどんな方にアナリティクスコンサルタントチームに入ってきて欲しいといったイメージはありますか。

現状は、医療現場で活躍されてきた経験のある方が自分の専門知識やスキルを予防分野に活かしたい、目の前の人に向けた仕事と少し違う形で社会貢献がしたいという気持ちで入ってきてくださることが多いです。私としては、今後入ってきてくださる方に伝えたいのは大きく分けて二つかなと感じています。
一つ目は、「プロフェッショナルであること」を大切にしてほしいということです。ヘルスケアという領域は、人々の健康を扱う仕事です。課題に対する分析手法があっているか、課題解決に対してストイックであれるか、アウトカムが課題解決にきちんと寄与できるかということを、自分の頭で徹底的に考えられるかどうかという姿勢は大切にしてほしい点です。
二つ目は、「一人ではできない仕事であると常にわかっておいてほしい」ということです。営業、クライアントなど、いろんな人がいて、分析の仕事も成り立っています。今後チームとして動いていく際には、そういった相互の尊重を重視し、個々人のポテンシャルを活かせるような環境を目指していきたいなと、私たちも考えています。

(話し手:辻尭裕/取材・執筆:中西須瑞化/撮影:北村早紀)

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