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ビジネスと社会貢献がつながるまで―キャンサースキャン代表・福吉潤  前編

代表の福吉は、P&Gでマーケターとしてのキャリアを経て、ハーバード・ビジネス・スクールに留学し、共同代表の石川と出会ってキャンサースキャンの創業に辿り着きました。
きらびやかな経歴に見えるかもしれませんが、実は福吉も「ビジネス」と「社会貢献」を両立させるためにもがき苦しんだ時期があったとのこと。これまで社員も聞かなかった、福吉が今に至るまでのストーリーを追ってみました。

今回は前編として、生い立ちからキャンサースキャンを創業する前までのご紹介になります。

代表である福吉がどういった人物で、どういった人生を歩んできたのか、インタビューをご覧ください。

自分のアイディアで、300人の受験生を集めた。ビジネスの原体験

―福吉さんの生い立ちについて、教えてください。

私の両親は、大学の教授なんです。父がドイツ哲学の教授で、母が英文学の教授。姉夫婦も大学で教壇に立っています。「人を育てていれば、お金はあとからついてくる」という価値観の家庭だったので、キャンサースキャンのキーワードとなる“社会貢献”は、もともと私のなかにあったんだろうなと感じていますね。

私自身は、昔から人と違うことをするのが好きで。1995年、当時設立5年目だった慶應義塾大学総合政策学部(湘南藤沢キャンパス:以下SFC)に入学しました。学生はパソコンを1人1台持っていて、課題のやりとりは当時ほとんど使われていなかったEメールでした。「新しいことに挑戦したい」という学生が集まった雰囲気が魅力的でしたね。

自分で会社を経営して、大手広告代理店からプロジェクトを受注している友人もいたし、起業しようと思っている学生も多かったです。だから、「何かやらなくては」と常に思っていた学生時代でした。

―実際、何か行動に移したんですか?

大学2年生のときに、ビジネスに挑戦しました。「SFCを志望する受験生向けに、入試対策講座を開く」というものです。SFCの入試科目である小論文は、何十ページもの論文を読んで、意見を書くものでした。受験生からすると難しいのですが、「新しいものを作っていく」価値観に浸かったSFC現役の学生にしてみれば、ある程度コツが掴みやすかったのです。

そこで仲間と立ち上げた企画が、「受験生向けに、SFC現役の学生が小論文対策を教える」というものでした。普通は飲み会の話で終わると思うんですが、公共の建物の会議室を予約して、小論文対策講座を実施することを決めてしまいました。マーケティングでいう“プロダクト”が決まれば、次は“プロモーション”です。

お客さんとなる受験生をどうやって集めるか?目をつけたのが予備校の「慶大模試」でした。SFCの模試を実施している時間帯に、会場の出口でチラシを配れば宣伝になると思って。30人ほど仲間を集めて1人5000円ずつ渡して、首都圏の模試会場でのチラシ配りを依頼しました。人件費だけで20万ぐらいお金がかかって。学生にしてみれば、回収できるか分からない20万円を出資するのはおおごとでしたね(笑)。

それでも受講生に来てもらえるか分からない不安のなか、小論文対策講座の当日、車で会場の前に行きました。なんと、300人ぐらいの長蛇の列ができていたんですよ。受付に置いていたお菓子の空き缶のなかに、受講料の5000円がどんどん積まれていきました。それが、自分の商売としての初体験。今でも、めちゃくちゃおもしろかったのを覚えているんですよね。人が欲しいと思えるものを考えて世の中に提案すれば、リアクションをもらえるというのがすごく楽しかったんです。


↑SFC在学時代(福吉は左)

人が何を欲しがっているか考えて、欲しがっているものに対して宣伝をして、商品を売る。その一連の流れをもっと学びたいと思いました。マーケティングの仕事がしたいと思ったきっかけですね。

2回不合格なら次はない。そう言われたハーバード・ビジネス・スクールへ、三度目の正直で合格

―卒業後は、P&Gへ入社し、マーケティングの道を進みました。なぜP&Gを選んだのですか?

ビジネスをもっと深く勉強するために、ビジネススクールに行こうと考えたんです。ゼミの先生にも勧められて、ハーバード・ビジネス・スクールを目指すようになりました。でも、ハーバード・ビジネス・スクールは3年間の実務経験がないと入学ができなかったんです。「では、ビジネススクールで評価されやすい実務経験を積むことができる企業はどこだろうか」と調べました。そこで知ったのが、ビジネススクールの教科書でもよく登場する、世界的に有名な「P&Gのマーケティング」の存在です。P&Gのインターンを受けて、そのまま内定が決まりました。いわゆる就職活動を、1社しかしていないんですね。

―P&G時代はどのようなお仕事を?

P&Gでは、化粧品や洗剤のブランドマネージャーとして、ブランドに対して消費者が持つイメージをプラスにできるよう、成長戦略を考えて実施していく仕事に取り組みました。調査を実施して、消費者のニーズを考え続ける仕事です。消費者の課題は何か、ニーズはどこにあるのか。考え続けるのは厳しかったですが、学びの多い環境でした。

当時は、「これをやったら儲かるんじゃないか」「こういうコンセプトの新しい商品を作れば、売れるんじゃないか」そんなことを毎日考えていましたね。消費者の課題やニーズを考え抜くことは全て売上を上げるためであって、売上を上げるという目標に向かってひたすら仕事に打ち込んでいました。


↑P&G在籍時、仲間と

―在職中に、ハーバード・ビジネス・スクールには出願されたんですか?

実は3回受けているんです。P&G入社3年目で出願したのですが、入試に落ちたんですよ。それでも諦められないので2年後にもう1度受けましたが、また書類選考で落ちました。ハーバード・ビジネス・スクールは、1度不合格であれば、2回目以降は合格の見込みがないと言われていて、3回目で合格した例は聞いたことがありませんでした。もう選択肢が閉じたと感じましたね。

そんなときに感じ始めたのが、キャリアへのもやもやした思いです。当時、私が主に担当していた洗剤や化粧品に対して、「売れても売れなくても社会は大きく変わらないのでは?」と考えることが増えていたタイミングでした。もちろん売り上げが上がることは会社にとって大事なことですし給料をもらっている以上プロとしてそれは果たすべきこと。でも、人生をかけて仕事をするその結果としてダイレクトに社会が良くなるようなことをしたいと考えはじめるようになりました。

漠然とした消費財マーケターのキャリアへの物足りなさを感じたことから、「駄目元でいいからもう一度受けよう」と思ってハーバード・ビジネス・スクールへ3度目の出願をしました。3回目で合格したんですね。キャリアに感じていたもやもや感を志望動機に書いたことで、必死さが伝わったのもかもしれません。

ー後編に続くー

(キャンサースキャン 代表取締役社長 福吉潤、取材・構成/吉田瞳、撮影/横田貴仁)

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