技術だけでは経験できない成長がある──。
「任される側」から「任せる側」へと変わったエンジニア2人に、
失敗や判断軸の変化、若手との向き合い方について話を聞きました。
前編では、そのリアルな経験と学びをお届けします。
入社当初の役割と、まず「やり切る」ことに集中した日々
── 当初の立場・役割をお願いします。
神山:任せられる側のエンジニアとして、言われた内容を実装する、いわゆる実装担当としての役割でした。
柿添:2019年2月に中途入社しました。当時は開発体制として人数が少なくて、代表とCTOと私くらい。振ってくるものが次々に降ってくる状況で、まずは目の前の案件を確実に完了させることだけに力を注いでいました。正直、当時は自分の技術力に全然自信がなくて、キャッチアップに必死で不安が多かったのは今でも覚えています。
だから、いただいた要件を理解して、設計・実装・テストまでを1個ずつ着実に積み上げて、とにかく任されたことをやり切るのを最優先にしていました。
「初対面の印象」から見えた、信頼の芽
── お二人とも、会ってみて第一印象はどんな感じでしたか?
柿添:前職が同じだったこともあり、「ちゃんと考えてコードを書いている人」という印象がありました。クライマーで再会した時は、ものすごく頼りになるなと思った。技術のレベルが当時と全然別物で、何十倍、何百倍……体感で百倍くらい伸びた感じがあって、すごい楽しいなと。
神山:(笑顔)
「成長した」と感じた最初の瞬間は、失敗の中にあった
── 1段階成長したと感じた最初の瞬間は?(具体的な体験で)
神山:失敗した時ですね。任された内容をうまく実装できずに失敗した時が、最初に「成長したな」って実感した瞬間でした。バグを起こした時に、自分で直したり、お客さんに連絡を入れて、自分で修正して…という経験は、エンジニアとして一番成長する場面だったなと思います。
柿添:最初に成長を実感できたのは、要件がお客さんやクライアントから降ってきた時に、「実装できるか」「工数がどれくらいか」だけじゃなくて、ビジネスの観点も含めて会話できるようになったタイミングかな。
売上につながるか、エンドユーザーの体験が良くなるか。そういう視点で議論できるようになってきたのは大きい。「作れる/作れない」「時間がかかる」だけじゃなくて、そもそも「これ、本当に作って意味があるのか?」っていう問いを、チームでもクライアントにも投げられるようになった。
どっちかというと、僕は言っちゃうタイプなので言いすぎないようにも気をつけつつ、メンバーにも問いかけながら進められるようになったのが変化ですね。問題が起きた時も、個人の責任に閉じずに、次に起こさないための“ナレッジ”として扱う。昔はミスったら半ギレで「何やったん?」みたいになってたけど、今は次のために繋がる扱いに変えて、安心して挑戦できる環境を作れるよう意識してます。
「任されているつもり」から「意思決定と責任」へ
── 当時の“任されてる感”と、今の“任されてる”は何が決定的に違いますか?
柿添:当時は「難しいタスクを任される=信頼されている」って捉えてた。でも今振り返ると、本当に任されている状態って、判断を自分でやってチームを前に進めて、機能を作り終えて、公開して、バグも含めて責任まで引き受けることがセットなんだよね。任されてるのは「作業の難易度」じゃなくて、「意思決定」と「責任の範囲」にある。目的やビジネス的な優先順位を踏まえて提案して、必要ならスケジュールや進め方の変更も含めてクライアントと合意形成する。チーム内でもスケジュール感の確認や調整をする。そういう場面が増えた。
そうした経験を通じて「任されてる」の意味合いが変わったし、今は胸張って「任されてる」と言えるかなと思ってます。
神山:確かに。当時は実装だけを任されているつもりでいたかもしれないです。作ることだけを目的としていたような気がしますね。
ただ今は、目的を達成するための判断や、技術選定、クライアントとのやり取り、決め事も含めて任されていると感じます。
「自分がやった方が早い」vs「任せた方がいい」—分かれ目はどこ?
── 個人の効率よりも、チーム全体を優先して考えるようになったのはどんな場面でしたか?
神山:自分が実際に経験したことは任せた方がいい、という軸で判断します。自分がやったことあるから、何かあった時に失敗してもフォローできる、という視点でお願いすることが多いです。
柿添:個人としての最短距離、つまり「私がやった方が早い」じゃなくて、チームとしての成長と生産性を、中長期で最大化できるかどうかが大きいですね。
特に育休で一時離脱した時に、権限移譲を絶対にしなきゃいけない期間があって、「任せる」を本気で設計する必要に迫られたのが大きかった。
任せる時は結論だけ渡すんじゃなくて、「目的」「どんな観点で見てほしいか」「どういう状態を良しとするか」を丁寧に共有する。それに加えて「信頼してるから頼んだよ」って、言葉で何度も伝えました。不安に思うと思うから。その積み重ねで、今では「私より任せた方がいい」って思える場面が増えて、チームとしてもいい方向に進んでると感じてます。
前編はここまで。
管理者としての成長や任せ方の工夫についての話は、後編でさらに深掘りしていきます。
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