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目指すのは、事業とセキュリティの共存。CISO 若井、不動の覚悟を語る。

今回は、VisionalのCISO(Chief Information Security Officer)を務める若井大佑さんに「パーソナルヒストリーインタビュー」を行いました。半生を振り返りながら、若井さんが大切にしている価値観や信条に迫りました。

※このストーリーは、2020年7月31日に、企業ブログ「ALL VISIONAL」で公開した記事を転載したものです。

※本記事の掲載写真は、在宅勤務への移行前に撮影したもの、もしくはリモートで撮影したものです。


プロフィール

若井 大佑/Wakai Daisuke
1999年、銀行のシステム子会社に入社し、技術開発、インフラ業務に従事。2007年より、ソフトバンクBB株式会社(現:ソフトバンク株式会社)で情報セキュリティを中心としたソリューションの導入・運用やセキュリティオペレーションセンターの開設を担当。2015年、セキュリティ戦略部部長に就任。2017年、株式会社ビズリーチに入社し、2019年、CISO兼情報システム本部本部長に就任。2020年2月、現職に就任。


父の背中から、「覚悟」を貫く生き様を学ぶ。

──今回は、若井さんのこれまでの人生を遡りながらお話を聞かせていただきます!

はい、よろしくお願いします。

──まず、幼少期や学生時代のお話から聞かせてください。

埼玉県所沢市で生まれ、父と母と姉の4人家族で育ちました。

父は、港で貨物輸送に携わる仕事をしていて、とにかく仕事一筋の人間でした。定期船の入港・出港時間によって勤務時間が異なる生活で、夜遅くまで働いていた印象です。

──お父様はどのような人だったのでしょうか?

とても寡黙な人でした。

また父は、私が小学生の時から難病を患っていました。体の調子が悪いにもかかわらず、それでも父は早朝から港へ働きに出ていたことを覚えています。母も、そんな父をずっと心配していましたが、それでも父は、私たち家族の生活を支えるために、懸命に働き続けてくれました。

──小さい頃は、そんな父からどのようなことを学んだのでしょうか?

実は、私が小学4年生から中学2年生までの間、父は伊豆諸島の三宅島へ単身赴任していました。だから、思春期に父と話す機会はほとんどなかったんですよね。それに父は、もともと口数が多くなく、背中で語るタイプでした。

ただ、家族のために、一人遠くの地で働く父の背中から、「やると決めたことは、覚悟をもってやり切る」という生き様を感じていました。父は私が社会人になって何年か経った時に他界しましたが、彼が背中で語ってくれたことは、少なからず私の価値観に影響を与えていると思います。

──学生時代は、どのようなことに興味を持っていましたか?

中学生の時から部活でバレーボールに打ち込んでいました。ただ、高校に入ってから足を怪我してしまい、バレーを諦めざるを得なくなりました。

そして、家にいるだけではしょうがないと思い、近所のガソリンスタンドでアルバイトを始めました。そのアルバイト先では、当時20代前半の所長にとてもお世話になりました。その所長は、店が忙しくなるタイミングをよく見ていたり、防犯カメラを小まめにチェックしてお客様とのトラブルを予防したりと、とても真摯に仕事に打ち込む人でした。「お金をもらっている以上、言われたことはしっかりやること」など、私に社会人として当たり前のことを教えてくれたのも、その所長でした。

また、実際に自分で働いてお金を稼ぐ経験をしたことで、たとえ体の調子が悪くても港へ働きに出ていた父の覚悟の揺るぎなさを、改めて感じ取りました。

──高校生の頃は、次の進路についてどのように考えていましたか?

大学附属の高校に通っていたので、受験をせずとも、そのまま大学に進学することができたのですが、その大学には、私が興味を持てる学部がありませんでした。

私は高校生の頃、「これから必ずITの時代が来る」と確信していました。当時は、ポケベルなどのモバイル機器が世の中に流通し始めた頃で、翌年には「Windows95」が発売されるタイミングでした。まさに本格的なデジタルの時代が幕を開けようとしていたのです。だからこそ、プログラミングを学べる大学へ行って、将来の仕事に活かしたいと考えていました。

同じ高校の友人たちの大半とは異なる進路を選択することになりましたが、それでも不安はありませんでした。やはり、「やると決めたことは、覚悟をもってやり切る」という父の生き様から影響を受けていたのだと思います。

そして、大学では、数学や物理をベースとしながらプログラミングを学び、その奥深さに惹かれていきました。

──大学生の頃は、将来のキャリアについてどのように考えていましたか?

大学のOBをはじめ、いろいろな人たちから話を聞き、金融系のシステムに興味を持ちました。

金融の世界においては、システムの重要性が非常に高く、規模も非常に大きいものでありながら、1円の計算ミスも許されない緻密性が求められます。そうした領域に自分も挑戦したいと思い、大学卒業後は、銀行のシステム子会社に入社し、技術開発や、行内やグループ企業のインフラ業務を約8年にわたって担当しました。


チームで社内表彰を受けた時、
みんなでバーベキューに行った時の写真


ソフトバンクへ転職、そしてセキュリティの道へ。

──その後、若井さんは、2007年にソフトバンクへ転職されていますね。

銀行のシステム子会社では、インフラエンジニアとして経験を積み重ねていましたが、今後のキャリアを考えた時に、経験の幅を更に広げていきたいという想いがありました。

また、いろいろな技術に触れたいという強い想いもありました。金融業界においては、金融庁によるレギュレーションがあるので、新しいものを導入するまでに時間がかかっていました。一方、ソフトバンクは新しいことへ果敢に挑戦しているイメージがありました。そうした文化の会社で働くことで、どのようなやり方で世の中に新しい価値を生み出しているか自分の目で見てみたかった。それが、ソフトバンクへの転職を決めた理由です。

実際に入社して、会社全体の勢いや、一人一人の社員のエネルギーに圧倒されました。やはり、創業者である孫(正義)さんのカリスマ性がすごくて、彼がやると覚悟を決めたら、全員で一致団結して何としてでもやり切る、そんな凄まじい熱量を感じました。

──ソフトバンクではどのような経験を積んできたのでしょうか?

社内の情報セキュリティ全般に携わりました。セキュリティ方針の策定や、ログ管理・分析、出入口対策、監視体制の構築・運用など、約10年間にわたって幅広い経験を積みました。

一つの大きな結果が、「セキュリティオペレーションセンター」の設立です。高度化するサイバー攻撃に対応するため、エンドポイントの通信ログや操作ログ、プロキシやファイアウォールのログを24時間365日リアルタイムで監視しており、ソフトバンクにおけるセキュリティの一つの象徴となりました。


情報システム本部のミーティングの集合写真


事業とセキュリティの真の「共存」を実現したい。

──ビズリーチに入社を決めるまでの経緯について教えてください。

ちょうど次のキャリアについて考え始めていた時にお声がけをいただいたことがきっかけでした。ビズリーチという会社にもともと興味を持っていたわけではなかったのですが、勢いのあるスタートアップ企業というイメージがあったため、一度お話を聞きに伺いました。

そして、採用担当の磯谷(薫)さんや、現CIOの園田(剛史)さんと話すなかで、少しずつこの会社に惹かれていきました。

これまでの経験上、「大きなことを成し遂げる人は、総じてポジティブな人である」という持論がありましたが、二人や他の社員と話すなかで、この会社には、そうした前向きな人が集まっていると感じました。そして、「価値あることを、正しくやろう」というValueに共感する仲間同士が、お互いを信頼し合う文化が浸透していることに気付きました。

また、一つの領域にとどまらず、テクノロジーの力を活用して、新しい領域へ事業展開を進めていることにも惹かれました。

──10年間働いてきたソフトバンクから転職することへの不安はありませんでしたか?

もちろん、勇気はいりました。それでも、決断の後押しとなったのは、この会社であれば、自分が成し遂げたいことを実現できるかもしれないと思ったからです。

──若井さんが成し遂げたいこととは、どのようなことなのでしょうか?

目指しているのは、事業とセキュリティの真の「共存」です。


左:小さな段ボール箱の中で窮屈そうな猫
右:キャットタワーで自由に動き回る猫


私は猫が好きで、よく猫を例に挙げて説明するのですが、たとえば、事業や業務を「猫」と仮定します。一般的なセキュリティは、猫が「小さな段ボール箱」、つまり、セキュリティのルールの中で窮屈そうにしているイメージです。小さな段ボール箱であるが故に、猫はその箱から顔や手足をはみ出してしまいますよね。

猫の場合は段ボール箱が好きだから、窮屈でもいいのかもしれません。しかし、いくらセキュリティが大事だからといっても、一方的に従業員へ押し付けるだけでは、従業員もセキュリティ担当者も疲弊してしまいます。また、人が覚えられるルールの数には限界があります。理解が追い付かないルールが増えていくと、その会社の社員は、セキュリティに対して距離感や苦手意識を持ってしまいますし、窮屈なルールの中では新しいことにチャレンジしにくい。本来、セキュリティは会社・従業員を守るためのものであるはずなのに、皆が嫌々とやっている。そうした世界観が、私はずっと嫌いでした。

しかし、会社の歴史が浅く、これから本格的にセキュリティの仕組みを築き上げていけるようなフェーズのビズリーチであれば、私が目指す「共存」の世界観を実現できると思っています。

同じく猫を例にしてお話しすると、私は、「小さな段ボール箱」ではなく、「キャットタワー」のようなセキュリティを目指しています。キャットタワーには、猫が自由に動き回れる通路が整っていて、おもちゃや爪とぎスペース、寝床も揃っていますよね。結果、自然と猫が集まってくるような環境です。

このキャットタワーのように、「事業部の仲間たちがやりたいことに全力で挑戦できる、安心・安全な環境」を提供すること。それこそが、私が目指すセキュリティの世界観です。技術の進歩、働き方や事業の変革へ柔軟に追従し、会社・事業ともに「共存」すべきです。ビズリーチへの入社時に覚悟を決めたからこそ、必ずやり切りたいと思っています。

また、並行して、一人一人の仲間のセキュリティへの意識をより向上させたいという想いもあります。もちろん、社員が意識しなくても自然と安全が守られるような仕組みを作るのが私たちの役割ですが、しかし、セキュリティにおいて一番大事なのは、結局のところ「人」だと思っています。一人一人の仲間に、セキュリティへの意識を身に付けてもらえたら、この会社はもっと強くなると思っています。

──本日は、お忙しいところお時間をいただきありがとうございました!

いえ、こちらこそ、ありがとうございました。


この記事の執筆担当者

松本 侃士/Matsumoto Tsuyoshi
1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2014年、音楽メディア企業に新卒入社し、音楽雑誌・ウェブサイトの編集や、採用などを経験。2018年、株式会社ビズリーチへ編集者として入社。現在は、人財採用本部・採用マーケティンググループで、「ALL VISIONAL」の運営などを担当している。


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