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代表インタビュー #3|たくさんの人に、チャンスを与えて、チャレンジしてもらいたい

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第1回:LINE・メルマガ配信ASPのオートビズはこうして生まれました!
第2回:ありのままで、虚勢をはらず、やりたいようにやる。

事業が拡大していく中で発生した大トラブル

ーーオートビズに専念することを決意してから、大きな事件や問題はありましたか?

2005年ごろ、オートビズ事業が軌道に乗り始めた時期のことです。

急にサーバーがトラブって、警告が出たんです。調べてみると、あるユーザーさんのアカウントでトラブルが発生していました。約14,000人のお客さんの携帯アドレス宛てに、同じメールが何回も送られている。きっとメールが届いた人の携帯は鳴りっぱなしですよ。

当然、不本意に”送り主”となってしまったユーザーさんからも「どうなってるんだ!」と連絡が入ります。大急ぎで止めたんですが、その時には既に、結構な数の人へ誤送信されていました…。

我々の想定外の使い方をしていことがトラブルの原因でした。その使い方がプログラムの不具合を誘発してしまった。

想定外とはいえ、そこを防げるような対策が講じられていなかったんです。


ユーザーさんの会社のコールセンターは、お客様からのクレームでパンク状態。

日頃、弊社とやり取りをしている担当者さんに電話をすると「しばらくかけてこないでください」と…。

「なんでですか?」と聞いたら「今、ビズクリエイトという名前を聞いたらみんな発狂します」「何かあったらこちらから連絡するんで。」と言われました。

「大変なことになった…」と思いましたよ。

僕はもう、どうやってそれを償おうか、必死で考えを巡らせました。でも、謝って済む問題でもなかった。


ーーどのくらいの規模の問題だったのか、詳しく教えてもらえますか?

そのユーザーさんの会社はテレビコマーシャルもやっているくらい、相当お金をかけて集客をしていました。

うちのサービスを利用したステップメールで顧客フォローをしていただいていて、お客様からの信頼を勝ち得ていらっしゃった。

だけどこのトラブルで結構な数のお客様が離れてしまった。

やっとの想いで獲得したお客様なのに、僕らのせいで関係を崩し大損害を与えてしまいました。当然、相手の社長から「すぐに来い」と連絡がきました。

ところが、9月だったのですが台風が来ていて飛行機も飛ばず、1週間くらい伺うことができなかったんです。

その期間は生きた心地がしなかったですね。まだお金もないから、償いようもないし。

本当に「生命保険っていくらおりるのかな」とか真剣に考えました。人って追い詰められると、こんなことを考えるんだなと、自分でも怖かった。

自殺まで覚悟した自分に、かけられた言葉は

そうこうするうちに台風が収まり、やっと飛行機が飛ぶようになりました。朝一の便で福岡に飛んで、到着してすぐに土下座して謝罪しました。とにかく謝るしかなかったです。

社長もまいっちゃっている様子でした。「コールセンターはパンクしているし、うちの社員も精神的にやられちゃってて、損害額を計算するのが恐ろしいです。それぐらいのものなんです」と。

ただただ、申し訳無さでいっぱいでした。

そんな中、社長は「ただね、おたくはまだ小さい会社だというじゃないか」「担当からも聞いているが、うちのために色々よくしてくれている」と話し始めたんです。

当時は3人くらいでやっていました。僕がサポートの電話は全部取っていたから、担当の人とは仲が良かったんです。一生懸命、親身になってサポートしていました。

続けて社長は「まだ創業からそこまでたってないとも聞いている。これから損害額を計算して、弁護士を入れて損害賠償請求…という流れにしなければいけないんだけれども、払えますか?」と聞いてきた。

「払わせていただきます!」と答えました。そう答えるしかないですから

ところが、「無理でしょ。お金あるんですか?なければ払えないじゃないですか」「いえ、なんとかします」と押し問答です。

「なんとかならないでしょ。うちだって、お金のないところを訴えるということもできないし、そんなに若い会社を潰すわけには行かない。こちらもよくしてもらっているし、そのサービスがあるからこそリピーター獲得を自動化できていて、助かっているんです。ここであなたの会社がつぶれてなくなったというのでは困ってしまう。何よりお金がないところから取れないじゃないか」って。

胸がいっぱいで言葉が出ませんでした。

かといって、何もしないわけにもいかない。

その会社は、複数の大手通販サイトにも出店していたんですよね。そのうちの一つを任せるとおっしゃる。「売上を上げてほしい。できますか?」と。

「できます。必死にやります。そこの売り上げを上げても、損害はカバーできないかもしれないけど、オートビズの方でもたくさん施策を考えて、御社のお客さんを増やしますから!」

もう、それしか言えないですよね。

そしたら「償いだけでは辛いでしょう。それでよくなるとは思えないよ。だから売り上げの20%をやることにするから」って言い出すんです。

「それで、頑張って会社をちゃんとして、いいサービスを作ってくれ」とおっしゃるんです。

償いきれないほどの損害を与えて、それを許してもらえただけでもありがたいのに、チャンスまで与えていただいて、そのうちの売上の20%まで、、、

あまりのことに理解するまでに時間がかかりましたが、ありがたすぎて泣けてきました。

しばらく必死でやって、上向きになってきたところで、事業の方針が変わってそのサイトを閉めるとなるまではお付き合いが続きました。社長も交代されたようです。

だから、僕は償いきれていません。
あの時のことは、絶対忘れてはいけない、あの経験を生かしきらなければいけないと思っています。

ちょっとした気の緩みで、こういう問題が起きてしまう。問題があったときに僕らがどう向き合うか。ちゃんと向き合うためには、日頃から丁寧にサポートすることが大事だと思っています。

僕らの日頃のサポートが悪かったら、「取れるだけとってやろう」という感じだったと思いますよ。冗談じゃなく。

このときは、担当の方と築いていた関係性、そして社長の器に救ってもらったんです。

この社長みたいに、人を許しチャンスを与えられるような器の大きい経営者になる、と心に決めました。

また、そのときの経験を通じて、一通のメールの重みや、メールを通して築いたお客様との関係性というものの価値は、本当にすごいんだなと強く思ったんです。

関係性って大事ですね。

仕事だから、とかじゃなくて「お客さんのために、僕らが何をできるのか」というのを真剣に考えてやる。そうすると、こちらの姿勢が伝わるのだと思います。


2人の経営者と出会っていなければ今の自分はなかった

会社設立時に僕にチャンスを与え続けてくれた社長。

システムトラブルを起こしても仕事をくれた社長。

僕もそういった経営者になれるか、いつも考えます。


特に、前者の社長には、本当にかわいがっていただきました。

ただ、残念なことに社長さん本人は、数年前に亡くなってしまいました。

急死でした。午前中、健康診断に行って、「どこも悪くないですね」という診断を受けて帰って来たら、ぱたっと倒れて、そのまま…。


その社長のおかげで、僕はたくさんチャンスを与えていただいて、いろんなチャレンジができた。

時代が後からついてくる、と言っていた。それを信じて今でもやっている。本当に時代が追いついて来たのに、道半ばで…。

それが僕にとってはショッキングな出来事でした。悲しかった。一緒にその時代が追いついたところをみたかったんです。

多くの人にチャンスを与えられる経営者に

僕は社長の遺志を引き継いでやっていかなきゃいけない。いまだにその会社さんにはコンサルをさせていただいています。かれこれ20年くらい。今では結構な売上を上げられるようになりました。


その社長の遺志を継ぐ。多くの人に、チャンスを与えて、チャレンジしてもらいたい。

ミスしまくって、みんなに迷惑ばかりなので、私はもう辞めたい!という社員がいたとしても「あなたが諦めない限り、いくらでもチャンスを与えるつもりでいるよ」と言っています。

僕自身、チャンスを与えまくられて今があるから。信じてくれる存在の大きさは誰よりも知っているつもりです。

他の会社の方に対してもそうしたいと思っています。

以前、弊社の顧客管理システムを作ったときも、依頼した外注先が開発途中でつぶれちゃって。

作業の進捗に沿ってそれなりにお金を支払っていたので普通なら回収にかかりますよね。
まぁ、債権になったら回収は難しいのでしょうけど。

でも、ふっと2人の社長が思い出されたんですね。今こそ、これを発揮させるべき時なんじゃないか。

だから、「いま出来上がっているところだけで納品して下さい。お金は、払った分はもういいです」と言いました。その人には再起して欲しかったんです。チャンスを与えたかった。

「個人でもいいから引き続きやってもらいたい」と考えていました。でも、「できません」ということで。

先方は「出来上がってないので、お金を返さなきゃいけない」と言ってくれました。「いいよ。そこまでで。あとはうちで引き取ってやるから」ということになりました。


その二人の社長だったらそうするだろうか?というのがあったからできたことだろうなと思います。

常に何かするときは、「あの二人の社長だったら…」ということは、考えます。

いろんな人にいろんなチャンスを与えられるようにしていきたいです。


>次の記事 第4回:お客さんとの繋がりが資産。感謝・感激・感動を共有していきたい


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