帰省した時、懐かしいものを見つけました。
小学生の頃に友達とやりとりしていた手紙の束。一人は、小学校4年生の時に岐阜県から東京に引っ越しした子にあてたもの。10歳当時の私たちにとっては、東京は海外と同じくらい遠い場所に思え「もう二度と会えないかも」と本気で思ったくらいでした。
2人目は小学校6年生の時、同じ県内に引っ越しをした子で、手紙でのやりとりは高校生になっても続きました。お互い携帯電話での連絡先は知っていたものの、紙でのコミュニケーションが何だか面白く「今の時代、手紙で連絡とってるの私たちくらいだよね」と笑い合ったのを覚えています。
今、2人とのやりとりはもっぱらLINEか電話。手紙自体、書く機会はほとんどなくなりました。今読み返すと、話題はLINEならほんの数分で終わるような、本当にたわいもないことばかり。ただ、今では数分で終わることを、何日もかけてやりとりしていた時が少し懐かしく感じたりもします。少し前、「昭和レトロ」が流行っていました。フィルムカメラの、撮影するまで何が写っているか分からないアナログさや現像するひと手間が、人気の秘訣のようです。手紙にも言える、このちょっとした「不便さ」。そこにかけた時間に、愛着が湧くのかもしれません。
少し前から、意識的にこの「不便さ」を取り入れるようにしています。欲しい本がある時はネットで調べる前に、まず近くの本屋に行って探してみる。友達の誕生日には、メッセージカードを選んでプレゼントに手書きメッセージを添えて贈る、新しい場所に行く時には、事前にリサーチしすぎずにその場で気になったお店に入ってみる、など。
「いや、調べた方が早い!」と思うことも多々ありますが、簡単に情報にアクセスしたり人と連絡をとったりできるようになってから、そこに至るまでの寄り道も減ったような気がしています。手紙で言うと、かわいいレターセットや切手を探す時間、手紙をポストに投函する瞬間、返事の手紙を開封してから読むまでのわくわくした気持ち、などでしょうか。
この不便さは新しいことを始める際にも、もれなくついてきます。最初の一歩はいつでも足が重いですが、踏み出してみると意外と新しい発見があるかもしれません。かくいう私も、2年前に始めたジョギングが新たな趣味になりつつあります。Atmophの理念でもある、「日々を、冒険にする」。何気ない日常の中でも、ぜひ「新しい冒険」を見つけてみてください。
ちなみに、そんな不便さとは対極にあるようなトップ画像のマンハッタンからの眺め。最先端のトレンドや技術がひしめく大都会を見ながらゆっくりした時間を過ごしていると、なんだか贅沢な気分になれておすすめです。
(メディアコンテンツエディター:加藤)