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嵐のシリコンバレーに行ってきた

代表の姜(かん)ですが、初めてシリコンバレー(Silicon Valley)に行きました。なんか「シリコンバレー」って響き、古いですよね。そのくらいずっと昔から聞いてる謎多き地名。そんな地名はない地名。憧れの地。

2005年の25歳、Los AngelesのUSCで修士課程を2年半過ごした後、この世界では自分は戦っていけないことがわかりロボット博士になる夢が終わりました。それと引き換えにAtmophのアイデアの種が生まれるんですが。そんな留学時代にできた後悔が一つあります。なぜあのとき友達からの旅の誘いに乗らず、サンフランシスコ、シリコンバレーに行かなかったんだろうと。そうしていつからか僕は、「シリコンバレーを知らないテック起業家」、という必要のないコンプレックスを背負ってきました。

Silicon Valley, unlocked!

それが、ついに、ついにきました!やってきましたシリコンバレー!ついに僕はもう違うんだ。知っているんだ。この空気感、山あい、人の感じや街並み、どこに行っても目に入る世界的元スタートアップたち。

Atmophを代表して僕は、他の複数の京都スタートアップの代表らと共に、3月中旬の1週間この地へ行ってきました。エマニュエル駐日アメリカ大使とアメリカ政府の支援の元、Andreesen Horowitzなど世界トップVC(ベンチャーキャピタル)にピッチしたり、多くの出会いと刺激がありました。

▼Silicon Valley発祥の地 – Palo AltoにあるHewlett-Packard (HP)の二人が1939年に創業したガレージ

▼Oracleの本社。車で走ればGoogle、Apple、Meta、Nvidiaなど世界的企業がすぐ目に入る。

▼Stanford大学は静かで広くて開放的。


シリコンバレーってどこ?なに?

正確にはそういう地名はなく、通称として誕生しました。カリフォルニアの北部、San Francisco(サンフランシスコ)の南側のエリア一帯で、ベイエリアとも呼ばれます。San Jose(サンノゼ)あたりまでを含み、特に中心としてPalo Alto(パロアルト)やその真横のStanford(スタンフォード)が有名です。これらはすべてcity名、要するに都市名です。

シリコンバレーの地図 https://goo.gl/maps/V7PmR57UHwbwdjSX8

▼ワイン畑もあるPortola Valley(今回撮影もしたからお楽しみに)シリコンバレーは山と海に囲まれている。

1枚目の写真に記念看板がありますが、シリコンバレーという名前の由来は、HewlettとPackardの二人がまだStanfordの学生だったときに教授に勧められ、就職せずに自宅ガレージで起業したことです。1939年当時は日本と同様、企業に入るのが一般的でした。そうして電子機器の会社が誕生し、現在のHPになりました。

「シリコン」とは半導体の主な材料のことです。トランジスタを発明したウィリアム・ショックレーがこの地に研究所を作ったり、インテルが後に創業するなど多くの半導体企業がこの地に生まれ世界の新産業をリードしていきます。そうして、名実共に「シリコンの山間」= シリコンバレーの呼び名が定着しました。

ちなみに、僕やAtmoph創業メンバー、チームメンバーにも信者の多いAppleも1976年にこの地で誕生します。ウォズニアックはHewlett Packardにいた頃、電子工作オタクだったジョブズに誘われました。当時、アメリカには6台しかコンピューターは存在してなく、1台数億円だったようです。これがもし1家庭に1台普及したら、というのがAppleの創業ストーリーです。未来を見るとはこういうことですね。ちなみに、もちろんジョブズへのリスペクトを込め、Cuppertino(クパチーノ)にある宇宙船本社を見てきました。

▼左の木の合間に宇宙船がある。大きなApple Parkキャンパスのまわりは林に囲まれている。Apple社員?に撮ってもらった。

シリコンバレー銀行破綻と嵐と停電

僕が飛行機で到着する日曜の直前、3/10金曜に歴史あるシリコンバレー銀行(SVB)が破綻しました。アメリカは一気にリーマンショック再来に向かうと見られ世界のトップニュースになります。ところがインパクトの大きさを懸念したバイデン大統領は、預金を全額保護する異例の判断を下すことになりました。この出張での色んな面会予定も全部吹き飛ぶ寸前でしたが、この救済によりギリギリセーフでした。ただ、シリコンバレーでリスクテイク役を担ってきたVCと、そのVCやスタートアップたちが一番頼ってきた銀行の破綻は、これから嫌な影響を増しそうです。

▼SVBの支店で預金引き出しを試みる人たちの列

こんな最中に震源地のシリコンバレーに降り立った僕を、さらに嵐と大停電が迎えてくれました。この地では珍しい嵐が吹き荒れ、脆弱なインフラのせいで木々が高速道路に倒れ電線をなぎ倒し、シリコンバレー一帯が場所によっては1週間停電のカオスとなりました。ホテルに戻ると本来の陽気な面影はなく、完全にホーンテッドマンション化していました。

▼入るのも怖くなってしまったホテル。宿泊者たちがスマホライトだけでロビーにいて、お互いでビビり合いました。

一切の電気がつかず、冷蔵庫も止まり、充電もできず、ドライヤーもWi-Fiもなにもない中、明日の一番大事なプレゼンを控えMacの充電も減りそうで焦りました。しかもさすがアメリカ、フロントにはもう従業員はいませんでした。この感じ、嫌いじゃないです。

結局セブンイレブン(豆知識:アメリカ発祥)でケーブルを買って車でMacを充電し、翌朝には乾かないボサボサの髪でVCプレゼンへ。なんとか最高の1日になりましたが、帰ってもホテルは停電のままで復旧の目処がなく、急遽ホテルを変えることに。気に入ったMountain Viewを離れ、隣のSunnyvaleへ。これでシリコンバレー中の都市をハシゴしました。

僕が思ったことと、Atmophのこれから

▼憧れのVC、Andreesen Horowitzで部屋に分かれピッチ。かけがえのないアドバイスと経験に。

シリコンバレーは、すごく懐が広く、開放的で楽観的な空気がありました。これが世界的なスタートアップを生み出し続ける風土だとすぐに感じました。そこにトップ大学のStanfordやCaltech, UC Berkeleyがあり、NASAやDARPA(国防高等研究計画局)の軍需産業技術が絡み合っています。こうしてリスクや失敗に寛容な風土が人とお金と呼び込み、この80年もの間この地が世界一のテクノロジー誕生の巣となっています。

Atmophは京都にありますが、京都にも良い大学が多く、自然もあり、比較的失敗に寛容な長い目を持った都市のように、移住して感じます。今度は僕らがこの街にいい背中を見せていく番です。僕はAtmophを世界的な会社にしたいと思っているし、なれると年々確信するようになりました。誰もまだ見たことがない世界を作っていくことが、Atmoph創業の由来でもあり、隠れた理念です。シリコンバレーに来てみて、より思いを強くしました。

最後に

シリコンバレーに行ったらぜひ寄ってほしい最高のタコス屋の紹介で終わります。Los Angelesでもそうでしたが、最高のメキシカンはいつもフードトラックです。メキシコと国境を持つカリフォルニアは、美味しいメキシカン天国です。コーントルティーヤとハラペーニョを日本に買って帰りましたとさ。

▼停電でホテルを移った先のSunnyvaleで見つけた、最高のタコス El Califas Tacos

▼いつもはブリトー派だけど、このチーズタコスは自分史上最高の美味しさでした(3回食べた)

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