日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)
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テクノロジーの進化に興味が無い人の多くは、それがIT業界だけの話と勘違いをしています。しかし、自身のキャリアを考える上で、AIやロボットの可能性は全員が想定しておくべきです。職業選択に悩む学生はもちろん、全ての産業に携わる者が近い将来必ず直面する話です。
かつて、PCの導入を先駆けた企業は、業務が劇的に効率化され躍進しました。スマートフォンの普及でビジネスはさらに生産的になっています。AIやロボットも同様に、もしくはそれ以上にビジネスを前進させる産業革命と考えられています。
大袈裟な話と感じるかもしれませんが、これは2030年の話。この時あなたは何歳でしょう。ちなみに、2年前は2040年の話としてオックスフォード大学が発表していました。僅か2年で、話が10年も短縮されるのだから、AIやロボットの可能性が如何に加速しているかを感じます。
今回はAIの事例として、私が好きな証券業界を挙げます。かつては証券マンで溢れかえっていた東証も、売買のコンピューター化やシステム化が進み、今は閑散としています。そして、現在の日本市場では、アルゴリズムによる自動化された取引が売買代金の大半を占めています。
東証Arrowsは無料で見学可能。興味がなくても楽しいはずです。
私の様な趣味程度の個人投資家でも、AIの脅威は十分に感じます。ある銘柄がお手頃な株価で売りに出ていたので、まとめて買ってしまおうと成行注文。ところが、あったはずの売り注文は消え、想定より高い金額で購入してしまったのです。どうやら大量の注文を検知すると注文をキャンセルしたり、先回り買いする輩がいる様です。実際に検証したところ、ある数量を超える注文で同様の反応が瞬間的に繰り返されました。やはり、アルゴリズムは存在するのです。
月単位、年単位で企業の長期的な成長を期待する投資なら話は別ですが、デイトレや数日単位で売買するスイングトレードにおいて、AIの動きを解析する事は重要な要素になっています。個人レベルでも導入できるトレードシステムはありますから、これらをカスタマイズしながらヘッジファンドのAIを"攻略"するのも一つの楽しみ方です。これなら会社勤めの方でも、出勤前や昼休みに方針を検討するだけで、十分なパフォーマンスを出せます。
これまで私達は、顧客や上司の要望を形にする事で価値を生んできました。ですが、その役割の大半は、これからAIやロボットが担っていくでしょう。証券取引所から証券マンが消えた様に。面倒な事務仕事はもちろん、パターン化された営業やマーケティングも分業化が進み、プログラミングそのものも自動化される(もしくは不要になる)ケースが増えるはずです。非効率な運用や慣習も多く、市場全体での伸びシロは大きいですが、IT市場の拡大が同等の雇用を産むとは限らないのです。少なくとも、現在の比率よりは生産的になっていくはずです。
エンジニアは従来の要望を形にするモノづくりから、モノづくりそのものをデザインする力が求められる様になるはずです。そして、経営者やマネジメント層は、AIやロボットを含めた適材適所をデザインする力が求められます。どんな業種であっても、それが企業の競争力に直結するからです。私達はITの他に農業や教育にも事業の幅を拡げていますから、特に管理機能の生産性を高める事も重要になるはずです。個人に期待される役割が嫌でも変わっていくのですから、既存の役割に囚われ続けるのはナンセンス。自動化でも何でも、どんどん挑戦していきたいです。