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社員の実話を小説にしちゃいました①

社員インタビュー、正直読んでいても楽しくない・・なんて方もいるのでは?

と、いうことで、アドバンサー社員の実話をフィクションにしちゃいました。

第一弾は、アドバンサーを創業当初から支えている執行役員の細田修平。ぜひお楽しみください!

細田がアドバンサーにジョインして間もない夏のある日のこと。藤田社長が唐突に口を開いた。「俺の財布に800万ある。細田がここで息をしているだけで、毎月30万が消える。この金が底を尽きたら、アドバンサーは終わりだ。」

細田はどきりとした。変な汗がこめかみを伝うのを感じる。その頃のアドバンサーのビジネスモデルは、iPhoneの買取事業の1つのみ。自分の人件費を稼ぐためには、iPhoneを100台買い取らなければならない。細田は必死に思考を巡らせる。

当時、自分の営業力だけでは、どれだけ頑張っても20台売るのが限界だった。Facebookの広告で10台、店舗に来る人への声かけで10台。どう考えても、あと60台足りないのだ。このままでは会社が潰れてしまうー。細田の不安は最高潮に達する。

自分のせいで会社を潰すわけにはいかない。何かしらの形で、残りの60台を埋めなければならない。時間ばかりが過ぎていく。まるで、時限爆弾を抱えているかのようだ。そんなとき、細田の目に留まったのが、ティッシュだった。店舗に大量に置いてあったティッシュ。「これだ・・!」ピンときた。ティッシュを配ろう。そこからの細田の動きは早かった。

35度を越えようかという真夏の中、ひたすらにティッシュを配り続けた。汗が滴り落ちるのがわかる。とにかくティッシュを配り続けた。そんなとき、細田の肩を叩く人がいた。細田は浮かれる。「ついに、ティッシュ配りの成果が出る・・・!」そんな思いで振り返ると、そこにいたのは、半ば呆れたような目をした藤田社長であった。「細田。ティッシュを配っているだけなら金をシュレッダーしているのと一緒だ。」

細田は雷に打たれたような気分になった。ティッシュを配るだけでは無駄なのだ。そこから細田は次の戦略に出る。ティッシュアウトキャッチ作戦だ。居酒屋のキャッチのごとく、ティッシュを見た人に話しかけていった。来る日も来る日もキャッチ。これでもやっと10台だ。

途方に暮れていたある日のこと、細田は昔の同期たちと飲みに出かけていた。都内の居酒屋でビールを片手にかつての仲間たちの近況報告が始まる。同期はそれなりに出世して、社会的地位も獲得していた。誇らしい反面、焦る気持ちがないわけがない。「細田は最近どう?」ふと細田の元に会話が流れてきた。「スタートアップ企業だから何かと大変だよ」なんて言ってみる。「すげえな、かっこいいな」同期からはそんな言葉をかけてもらった。しかしカッコ良いのは言葉だけだ。実際はティッシュを配っているだけ。現実とのギャップに押しつぶされそうだった。

何かしなくてはいけない、そんな思いが細田の焦燥感を駆り立てるのだが、当時は仕事がない。「自分でできることを考えろ」と言う藤田社長のスタンスは崩れない。今考えれば、藤田社長もそこまで手が回っていなかったのだろう。まさに地面を這いつくばっているような毎日を過ごしていたのだ。

「本当に、俺、何やってるんだよ・・」幾度となくそんな気持ちに襲われる。しかし、細田のハングリー精神はそう簡単に終わるものではないのだ。何度も諦めそうになる細田の心を動かしたのは、藤田社長の「俺と一緒に100億円企業を作ろうぜ」という熱い言葉だった。折れそうになる心を奮い立たせ、何度も挑戦し続けた。ひたすら前を向いて進み続けたのだ。

2018年ー。アドバンサーに入社してから、4年という月日が流れた夏の日の夜、本社オフィスで遅くまで仕事をしていたときに、細田は昔のファイルの中から一枚のチラシを見つけ出した。チラシを見た瞬間に、4年前の夏のことを思い出す。

ティッシュ配りの次は、自由が丘でのポスティングだった。スーツを着て、リュックを背負い、磨り減ったスニーカーを履いて、キックボードを滑らせていたあの夏のこと。つい最近の出来事のように思い出される。汗でびしょびしょになったスーツの男は、自由が丘の高級住宅街で明らかに「変なやつ」だった。

お金持ちそうなおばさんの白い目は、今でも忘れられない。でもあのとき、「いつまで続くんだろう」そう嘆いていた自分に伝えてあげたい、細田は強く思った。4年後のお前は、こんなに素敵な仲間が増えて、みんなとともに本気で100億円企業を目指しているのだ、と。そう考えた細田は、大事そうにそのチラシをファイルに戻し、立ち上がった。細田の挑戦は、まだ始まったばかりである。

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