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【アカデミストスタッフインタビュー】第2回:取締役COO 大塚美穂

今回は、アカデミスト取締役COO 大塚美穂氏にインタビューを行った。大塚氏は、博士号取得後、文部科学省に入省し、健康・医療・ライフサイエンス分野の予算編成など、当該分野の基礎研究の振興に携わってきた。しかしその後、2018年4月にアカデミストの取締役COOに就任。現在は、主にクラウドファンディングのプロジェクト運営を行なっている。なぜ大塚氏は、文科省からアカデミストというベンチャーに挑戦するに至ったのだろうか。大学院での研究内容から、文科省での業務、アカデミスト参画の経緯、今後の目標までを伺った。

——大学院時代のことについて教えてください。

大学院の修士課程および博士課程では量子化学という分野を専門とし、金属錯体における化学反応や化合物の励起状態など、さまざまな系について理論研究を進めました。量子化学は、電子というとても小さな世界まで掘り下げて化学現象を解釈する分野なので、「なぜ」を追求できるという点でとてもおもしろかったです。

一方で、博士課程修了後は研究者の道には進まず、文部科学省に入省しました。それは大学での研究生活やフランス留学をとおして、大学院生に優しくない日本の教育・研究の制度に問題意識を高め、研究を進めるよりもその環境の改善に取り組みたいと考えたからです。大学院生に優しくないと感じたのは主に、経済的な面と教育の面です。日本では大学院生に給料を支払う体制は十分に整っていませんし、また、研究者が研究や教育に割く時間が少ないのが現状です。

——文部科学省ではどういった仕事をされていたのですか。

文部科学省に入省後は、健康・医療・ライフサイエンス分野の基礎研究の振興を支える科学技術行政に携わりました。具体的には、予算案の編成、国会対応、委員会運営、政策評価や行政事業レビューのとりまとめなど、さまざまな業務において省外の関係機関および省内の関係部署との連絡調整や資料のとりまとめ等を行いました。国の大きな動きのなかで、ときには至急度・緊張度の高い仕事もあり、学ぶことも多く刺激的な日々でした。

省庁の仕事の特徴は、入ってくる情報量が多いことだと思います。国全体の動きに関わるときに関係(しそうな)者への情報漏れがあると大変なので、情報共有に溢れているからです。そんな情報の波のなかにいるうちに、お金を必要としているところはなにも研究の世界だけではないことに改めて気付かされ、国とは別に、研究活動を支える仕組みがあった方がよいと感じるようになりました。そこで、社会全体で学問を支え、味わう仕組みをつくりたいと考え、アカデミストへ参画することにしました。

——アカデミストではどういった仕事をしているのですか?

主にクラウドファンディングのプロジェクト運営を行なっています。研究者のヒアリングから、動画台本の作成、プロジェクトページの編集、画像の編集、リターンの設計、宣伝サポートなど、研究者のチャレンジ準備から達成までの全面的なサポートを担当しています。研究者の伴走者のようなイメージですね。クラウドファンディングはチャレンジャーに対して支援が集まる仕組みですので、研究のおもしろさと同時にチャレンジャーの個性や魅力を引き出して推すことを意識しています。

また、チャレンジが達成した場合、リターンの実行に移ります。academistの特徴は、研究者の負担が少なくなるよう、リターンの発注・発送や、サポーターのみなさまとの連絡調整を私たちサービス運営側で行う点です。責任をもってサポーターのみなさまにリターンを届けさせていただきます。

——プロジェクトを運営するうえで心がけている点は何ですか。

プロジェクトのゴールは公開することではなく、目標金額を達成し、研究資金を得ることです。さらに言えば、ご支援いただいたお金を使って研究を進め、研究の進捗や成果を報告するまでが研究活動として大切な点だと考えています。研究者がチャレンジしやすい仕組み、サポーターが支援しやすい仕組み、研究者が情報発信しやすい仕組みなど、academistをより多くの方に使っていただけるよう、社内メンバーと協力しながら日々改善を重ねています。

——クラウドファンディングの運営以外にも取り組まれていることはありますか?

大学・研究機関との連携を進めています。課題ばかりが叫ばれる学術業界ですが、このままではだめだと考え行動されている方も、少しづつ増えてきている印象をもっています。研究者一人ひとりが新しい知見を求めて研究を進められるよう、支援体制をつくっていきたいと考えています。

——アカデミストはどういう会社ですか? 雰囲気やメンバー、大塚さんが思うアカデミストの魅力について教えてください。

個性派ぞろいの会社だと思います。それぞれのバックグラウンドも異なれば、キャラクターもバラバラです。ただそれがうまくかみ合い、お互いに支え合っているところが魅力だと感じています。一方で、新しいことや、新しいことを生み出す研究活動に対して敬意をもっている部分は共通しているところだと思っています。

——今後の目標や目指していることを教えてください。

「お金」がまわる学術業界を実現したいです。「お金」とは、いわゆる研究費だけでなく、研究者の人件費などまでを含めていくことが目標です。そのためには、役に立つ/立たないという基準にとどまらない研究活動の価値というものを発信すること、研究活動に価値を見出す方々に情報を届けること、「お金を稼ぐ」という感覚を学術業界全体に根付かせることが大事だと思っています。簡単なことではありませんが、粘り強く取り組んでいきます。

——ありがとうございました。

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