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【登壇レポート 前編】ABEJAが考える「AI人材」は専門性を携えて分野を横断できる人

メルカリ本社で7月18日、「AI人材」をテーマにしたトークイベントが開かれました。弊社取締役の菊池佑太とLead Research Engineerの中川裕太も登壇。菊池は「『AI人材』の定義と人材獲得・育成」についてABEJAの取り組みを、中川はABEJAに転職して約2年半が経ったいまの胸の内を語りました。

前後編に分けて2人の発表をレポートします。

ABEJAが大切にしている「テクノプレナーシップ」

まず、菊池から、ABEJAのタグライン「ゆたかな世界を、実装する」の意味や大切にしている行動精神「テクノプレナーシップ」について紹介しました。

「テクノロジーを手段として、いかに顧客の課題に寄り添うか。その寄り添う時に必要なのがリベラルアーツで、さらに、これら2つの領域をアントレプレナーシップを原動力に推進・循環させていく。そうすることで、非連続的なイノベーションを実現する、というのが『テクノプレナーシップ』の考え方です」(菊池)

「ゆたかな世界を、実装する」そのために、AIの民主化・社会実装を推進

続いて、「ゆたかな世界を、実装する」を踏まえ、AIの民主化や社会実装を進めているという現状を、プロダクトの説明を交えて話しました。

「ABEJAのプロダクトラインナップは現在3層(SaaS,MLaaS,PaaS)があり、どれにおいてもパートナー企業の方々の育成を重要視しています。パートナー企業の中にAIに関する知識がまだない方がいらっしゃる場合、その方々を『AI人材』に教育していくプロセスを回しています」

「一つの例として、SaaSの『ABEJA Insight for Retail』という小売業に向けたプロダクトがあります。これは店舗に訪れるお客様の動きをデータとして可視化し、その結果をもとに店舗の方々が意思決定を出来るサービスです。例えば最近導入した『リピーター推定』の機能は、ビデオカメラを使い、フレームインした回数をもとにその方が何回来店したかという、今まで定量データとして出せなかった部分を可視化します」

「また、PaaSとして提供している『ABEJA Platform』は、私たち自身のAI開発運用の経験から分かった『痛み』となる部分をピンポイントで解消する目的でプロダクト化したものです。AIの開発運用に必要なプロセスを簡易化し、お客様自身がAIをカスタマイズできるサービスです。例えばAIにとって重要な『教師データ』の作成をある程度自動化すると、機械がレクタングルで枠を囲うようになり、人間は微調整のプロセスを確立するといったことに時間をあてることができます。こうした『テクノプレナーシップ』を重要視して、我々は人材育成の中にも組み込んでいます」

ABEJAが考える「AI人材」とは、1つの専門性を持ちながら横断的に活躍できる人

最後に、ABEJAでの「AI人材」の現状と人材獲得・育成の取り組みについても話しました。

「私たちは『AI人材』を広く定義しています。ML Engineer、ML Ops、Sales/PMと大きな職種の枠はありますが、その中で縦の区切りを明確にするのではなく、いかに専門領域外にも携わり最終的に顧客の課題に対して大きな価値を届けられるか。それを『AI人材』と定義しています」

人材の獲得・育成は広い視点で

「人材獲得に関してはグローバルでの採用活動や、ブログで様々なテクニカルな情報発信をしています。教育は社内にとどまらず、お客様の企業で登壇させて頂き、過去のAIを活用した事例を紹介したり、ワークショップを開いてお客様と対話をしながら育成を進めていっています」

パネルディスカッション

他社とのパネルディスカッションでは、「テクノプレナーシップ」についてより詳しく知りたいという声を受け、菊池が説明しました。

「ABEJAは社員数約70名と小規模ながらも、3つのプロダクトレイヤーを持っているチャレンジングな会社です。人が少ないぶん一人ひとりが幅広い領域をカバーする必要があるので、職種の定義を明確にしてしまうとジョブディスクリプションやミッションが膨大になってしまいます。そのため、個人の裁量で横断的に動ける体制をとっている、という現状です。こういった背景もあり、私たちが目指す姿勢が『テクノプレナーシップ』という言葉に集約されています。これは個人だけでなく組織が目指すべき指標でもあります」

「テクノロジーは手段であって、私たちの本来の目的は、お客様の課題を解決することです。人が少ない中で、例えばリサーチャーがテクノロジーだけ研究してしまうと、お客様へ最終的な価値を届けるのが遠ざかってしまいます。それは避けたいところです。そのためにも、リベラルアーツの要素を取り入れながらお客様の考えや課題を理解し、テクノロジーを手段としてお客様のもとに届ける、ということを求めています。さらに今後は、個人の活動だけでなくチームや組織としても『テクノプレナーシップ』が表現されれば良いと考えています。コーポレート哲学のようで定義が難しいのですが、一つの解釈としては今お伝えしたものになります」

「他社と異なる点は?」という質問には、こう答えました。

「ABEJAはNVIDIA、Googleから日本で初めて出資を頂いた企業であり、彼らと事業の連携を深めてきました。彼らのようなAIの最先端技術開発をしているプレイヤーからも注目頂くような技術開発を進めています。最も評価を頂いているポイントは、お客様の課題を解決して届ける、というデリバリーの部分だと考えています」

「スタートアップがこのような大手のプレイヤー企業と組める環境を作るのは難しいことではありますが、私たちのポテンシャルを感じてくださる方々にどんどんジョインして頂き、連携を見据えた企業体系を作り上げていきたいと考えています」


質疑応答

パネルディスカッション後、来場者との質疑応答(抜粋)を紹介します。

---AI開発に最も必要な資質とは?

 一言でいうと、「課題を適切に定義する」こと。社内はもちろん、お客様に説明する時も同様にお伝えしています。

どの課題を解くかによってAIの技術の使い方は変わってきます。極端な例で言うと、AIを使わなくて良い課題もある。なので、課題を設定するところから始め、それが本当に解くべき課題なのかを吟味します。解くべき課題の場合は、最先端の技術を使って精度を上げるべきなのか、従来の技術を使う方が適しているのか。私たちが解くことによって最終的なリターンがどこに存在するのか。それは投資に対して十分なリターンなのか、リターンのポイントは1年後なのか3年後なのか。といった事業設計までできて課題を適切に設定できること。それが「AI人材」に問われる最も重要な資質だと考えています。

--- 「AI人材」は不足しているか。不足しているとしたらどのような能力の人材か?

 二つあります。一つはAIのテクノロジーを活用してビジネス領域に展開していくBizDevの要素を持つ人。解くべき課題がありそれをSaaSとして展開する場合に、パッケージング化していかにスケールしたビジネスを描けるか、というところです。

二つ目は、リサーチャーをマネジメントする人材。なぜかというと、事業の課題を自ら見つけることに強みを持つリサーチャーもいれば、私から「事業のこの課題についてこのような研究をして欲しい」とテーマを伝える場合もあり、現場によって変わってくるからです。適材適所、適切なメッセージをマネジメントできる人を今必要としています。
(※データサイエンティスト・データエンジニア・機械学習エンジニアなども大絶賛募集中です!)

---人材流出の問題に対して、つなぎ止めはどうしているか?

 私たちが大切にしている「テクノプレナーシップ」はまさにその問題にリンクしていると思います。

「最終的にどうキャリアを形成したいのか」を個別にヒアリングし、今の業務が彼らのキャリアや目的に一致しているのかどうかに従い、柔軟に対応しています。例えば、それまでのメインミッションと違うタスクを提案し、それに対して本人が設定したゴールに向かってテクノロジーを手段とした新しいビジネスプランを考えてもらう、などです。私たちはまだ小さな会社ですが、個人のアイデア一つで勝負できるのは大きな魅力だと捉えています。個人の能力が最大化するよう、マネジメント層も向き合って対話するのも、魅力となるポイントだと自信を持っています。

ABEJAに少しでも興味を持っていただけたら、ぜひオフィスに遊びに来てください。

次回は、Lead Research Engineerの中川がABEJAに転職して今思う事、をリアルに語った内容をご紹介します。お楽しみに!

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