SESという業界では、アサインされる現場によって身につけられるスキルが左右されるという構造的課題を感じる人も多いのではないでしょうか。特定領域の限られた工程だけを繰り返し、キャリアの足踏みを感じてしまうケースも少なくありません。
こうした課題に対して、株式会社Sun terrasが取り組んでいるのが、エンジニア育成プログラム「ToG4」の提供です。
今回は、計6ヶ月に及ぶハードなカリキュラムを走り切ったエンジニア3名に集まっていただき、プログラムを振り返る座談会の様子を取材しました。
本記事では、プログラムの中でも実践的なチーム開発課題にフォーカスしてお届けします。
▼「ToG4」プログラムについての詳しい記事はこちら
「SESの当たり前を変えたい。Sun terrasが仕掛けるエンジニア向け教育プログラム」
現場経験のその先へ。「ToG4」に挑戦した理由
ーーまずは、皆さんが今回「ToG4」の1期生として参加しようと思ったきっかけを教えてください。
油井:これまでプログラミングの勉強は独学ベースで進めていたので、一度体系的にソフトウェア開発のことを学び直したいと思ったのが理由のひとつです。
ちょうどアサインされる予定の現場でも、久しぶりにバックエンドをしっかりと触る環境になる予定だったので、そのリハビリも兼ねてバックエンド領域を選択して参加しました。
齊藤:僕が参加した理由は、「0から1でモノを作る経験」をしてみたかったからです。SESとして現場に入っていると、どうしてもすでに稼働しているシステムや、進行中のプロジェクトの改修工程に携わることが多くなります。
個人的にアプリを作ったことはありましたが、実務に近い形で要件分析からドキュメントを作成し、0から全体像を組み立てるような経験はこれまでありませんでした。また、カリキュラムで採用されていた「Ruby」という言語自体にも個人的に興味があったため、僕も油井さんと同じくバックエンドを選択しました。
佐々木:お二人がバックエンド側だったのに対して、僕は逆にこれまでバックエンドを中心にやってきたので、フロントエンド(TypeScript/React)を学びたくて参加しました。
以前、現場で少しReactに触れる機会はありましたが、期間も短かったので、改めて学んだ上でチーム開発に落とし込みたいと考えました。
あとはもうひとつ、「Sun terrasのメンバー同士でチーム開発をする」という機会を逃したくないと感じたことも大きいです。同じ会社の仲間と研修という形で切磋琢磨できるのは、非常に貴重なチャンスだと思って参加を決めました。
チーム開発ならではの壁、乗り越えるために積み重ねた試行錯誤
ーー前半3ヶ月の個人課題を経て、後半は皆さんでチームを組んで「ECサイトの構築」というチーム課題に挑まれたわけですが、いかがでしたか。
齊藤:想像していたよりも難しくて、そして面白かったです。
自分も含めて、メンバーそれぞれ「何が得意で、何が苦手か」というスキルセットやバックグラウンドがバラバラな状態からスタートするので、何かひとつの機能を一緒に作ろうとしたときに、日々のやり取りの中でどうしても認識のズレが起きてしまうことがありました。
「後で聞けばいい」と流してしまうと良くないので、少しでも疑問に思ったらリアルタイムで「これってこういう認識で合っていますか?」と、頻繁にコミュニケーションを取ってすり合わせることを意識するようになりました。
佐々木:本当にそうですね。今回のプログラムは、運営側から「機能一覧やデザイン」は用意されるのですが、プロジェクトの全般的な進め方自体は、基本は僕たちに委ねられていました。 通常の現場であれば、PdM(プロダクトマネージャー)、テックリードのような役割の人がレールを敷いてくれています。しかし、このプログラムでは全体をディレクションしてくれる役割は決められていません。
運営メンバーとの週次の定例MTGで、進め方のレクチャーやWBSの作成などは適宜サポートしてもらう場面はありましたが、メンバー全員が開発者という横並びの状態で、誰がイニシアチブを握ってどう進めるかを手探りで決めていきました。
最初はみんな様子見というか、遠慮がちな部分もあり、最初の1ヶ月から1ヶ月半ほどは「何からどう手を付けたらいいのか」が完全に見えず、かなり模索していましたね。
油井:どのような課題が出されるのか自体は事前に知っていましたが、実際にチーム課題が始まると、思っていたよりも考えないといけないことが次から次に出てきて。見えている大きなタスクをブレイクダウンして要件に落とし込んでいく作業は、試行錯誤しながら取り組みましたね。
ーーその模索する期間は、どのようにして突破したのですか。
佐々木:とにかくゴールから逆算して、要件として少しずつ具体的に固めていきました。設計やドキュメントに落とし込んで、進むべきゴールへの道が整備されてからは、みんな段々と自分がやるべきことが見えてきて、それぞれの持ち味を活かして力を合わせられるようになりました。
油井:進め方の部分でも、普段の現場以上に工夫が必要でした。みんなそれぞれの現場で通常業務をこなしているため、全員が対面やMTGで集まれるのは週に1回程度でした。 そうなると、必然的に日々の進捗はテキストコミュニケーションが中心になります。しかし、テキストでは「これくらい前提を共有しなくても伝わるだろう」と思っていることが、案外伝わらなかったりするものです。そのため、認識の齟齬が起きないよう、いつも以上に背景や前提条件を細かく文章に記述して伝えるということを、チームみんなが意識していたように思います。
“チームだから”走り切れた。課題を乗り越えた先に待つ景色
ーー本プログラムは通常業務外の時間を使っての受講が基本とのことですが、スケジュール的にも大変だったのではないかと思います。どのようにしてモチベーションを維持していたのでしょうか。
油井:通常業務外の時間で作業する必要があったので、楽だったとは言えません。 前半の個人課題の期間は「自分のペースで早く終わらせて余裕を作ろう」とコントロールができたのですが、チーム課題になると、自分の遅れがそのまま全体のスケジュールに影響してしまいます。良くも悪くも、実際の業務に近いプレッシャーがあったと感じます。
あとは、週次MTGに加えて講師との1on1があったので、モチベーションや課題の悩みなどを相談することもできました。
佐々木:僕もチーム課題の初期は、ファシリテートや議事録などマネジメント周りのタスクを一人で抱え込んでしまっていました。 後半になるにつれて、メンバーがタスクを引き取ってくれたりと、チームとしてのリズムができてからは非常に助けられました。
あとは、報奨金というインセンティブ (※) は、最後の最後で踏ん張るための支えになっていましたね。
※資格取得支援制度の一環として、プログラムの受講者に報奨金を支給する制度
齊藤:僕の場合、もしチーム課題と同じくらいの高負荷を「個人課題」として提示されていたら、途中で心が折れていたかもしれません。しかし、「自分がここで踏ん張らないと、チームメンバーに影響が出る」と思える環境だったからこそ、もう一歩踏ん張る力が湧いてきました。
「ToG4」を通じて、困難な状況に対する踏ん張る力のキャパシティそのものは、確実に大きくなったと感じています。
「ToG4」の経験が活きる瞬間。現場で実感する“視座の変化”
ーー「ToG4」を修了してから約半年が経ちましたが、実際の業務や現場での振る舞いにおいて、何か変化や活きていると感じる部分はありますか。
齊藤:ひとつは、自分に与えられたタスクだけではなく、クライアントの立場や目線を想像して振る舞うことができるようになった点ですかね。チーム課題では仮想クライアント相手に質疑応答への対応などをするので、クライアントがどのような点を気にするのかなどを知れたことで、現場への臨み方に変化が生まれたと思います。
あとは、「ToG4」を通じて、APIからデータを取得する際の正規のやり方を学んだのですが、それを学ぶことで初めて、これまで自分が入っていた現場でのやり方が特殊であったことに気づきました。現場ベースで経験を積んでいくと、状況に合わせた独自の手法が使われる場面に出くわすことも多いですが、体系的に学べるからこそ正規のやり方との差異や、それぞれのメリットデメリットが浮かび上がるなと感じました。
佐々木:僕の場合、意外なところで「ToG4」から恩恵を受けています。実は今齊藤さんと同じ現場に入っていて。通常、同じプロジェクトとは言えどもやるべきタスクが決まっているので、なかなか深い関係になりにくいですが、僕たちは「ToG4」という同じプログラムで苦労を共にし、お互いの人柄やスキルの強み、弱みも分かっています。
そのため、現場に入ってきた初日からスムーズにコミュニケーションが取れました。会社が用意してくれたこの教育機会が、巡り巡って実際の案件でのチームワークに直結したと感じる、一番嬉しい瞬間です。
自分自身の変化としては、プロジェクト全体を俯瞰して「ゴールから逆算して仮説を立てて動く」という意識が身についたことが挙げられます。これにより、現場のディレクター陣が「なぜ今、この要件でこの指示を出しているのか」という相手側の視点が解像度高く想像できるようになりました。とりあえず見切り発車でコードを書き始める、ということはなくなりましたね。
油井:僕の場合は、2月に配属が変わって社内システムの開発や組織づくりに回ることになったのですが、まさに今、この「ToG4」の次期カリキュラムをより良くするための改善業務に関わっています。
自分が1期生として実際に手探りで進めてみて、「チーム開発の前に工数見積もりを学ぶカリキュラムを新しく追加しよう」といった、自分自身の経験を次の世代の教育スキームへ反映させています。実際に経験したからこそわかる課題を、会社の教育基盤に還元できているのは大きなやりがいです。
キャリアに悩むエンジニアへ。現状を変えるきっかけとして、この環境を活かしてほしい
ーー最後に、SES業界で自身のスキルアップやキャリアパスに悩んでいるエンジニアの方や、今後「ToG4」への参加を迷っている方に向けて、一言ずつメッセージをお願いします。
油井:お伝えしてきた通り、決して楽をしてこなせる甘いプログラムではありません。「報奨金がもらえるから」という理由だけで参加すると最初は厳しいと感じるかもしれませんが、「本気で自分のスキルを引き上げたい」「現場のピンポイントな知識から脱却したい」と思っているなら、これ以上ないほど実戦に近く、うってつけの環境です。現状を変えたいと思っている方は、ぜひ本気で挑戦してみてほしいと思います。
齊藤:キャリアに悩んでいるときというのは、「そもそも自分がどの方向性(フロント、バック、マネジメントなど)に進みたいのかすら分からない」という状態になりがちだと思います。しかし、実際にその領域の入り口に触れてみないと、自分に向いているかどうかも判断がつきません。
「自信がないから」と最初から選択肢を狭めてやらないのは、非常にもったいないことです。「ToG4」は、自分の進みたい方向性を絞るためにもきっと役に立つ機会だと思うので、少しでも興味があるなら勇気を出して一歩を踏み出してほしいです。
佐々木:特に経験の浅いジュニア層のエンジニアの場合、一人で「どうやってキャリアを積めばいいんだろう」と考えても、具体的な解像度を上げるのは難しいはずです。そんな方にとっては、「ToG4」は自分を変えるきっかけのひとつにはなると思います。
自分が大きな責任を背負うチャレンジングな打席に立つ機会は、普通はそう簡単には回ってきません。それを、会社が「研修」という形で提供してくれている。これを一つの大きな「踏み台」にするくらいの気持ちで、自分の行動や意識を変えるきっかけとして、ぜひSun terrasの環境を使い倒してほしいなと思います。
講師からのコメント
「ToG4」というプログラムは、変化の激しい時代に「AIに代替されず、顧客課題から価値を生み出せるエンジニアを育てる」という狙いで、現場経験だけでは得にくい上流工程や設計視点を学べるよう設計しています。技術習得に加え、PR作法や意図の伝え方など、現場で信頼されるためのソフトスキルを身につけられるカリキュラムに仕上がっていると思います。
「自ら考える力」も重要なソフトスキルのひとつとして捉えているため、プログラム中、運営メンバーから過度な干渉は避けるよう努めています。とはいえ完全に手放しでゴールに辿り着けるような難度設定ではないため、受講生同士のコミュニケーションやドキュメントの仕上がりは都度チェックし、進むべき方向やモチベーション維持のためのサポートは実施しています。そうして成功体験を積み重ねて、自信を持ってもらうことも運営としての大事な役割だと考えています。
1期生のみなさんには、技術力だけではなく、チームビルディングの難しさや重要性にも気付いてもらえたのではないでしょうか。現在参画している、またこれから参画する案件でも、今回のプログラムで得た経験が活かされる場面がたくさん出てくるのではないかと期待しています。
「ToG4」はある意味で完成されたプログラムではありません。より受講生がスキルアップを実感できるようなカリキュラムになるよう改善を重ね、プログラム自体も成長していく“生きた”教育制度でありたいと思っています。これからも、より多くのエンジニアの成長の糧になるような、そんな環境をSun terrasで作れたらと思っています。
プロフィール
油井 大人 / システムエンジニア
2015年に新卒でウェブ制作会社へ入社し、社内の受注業務のシステム化プロジェクトにて未入金注文のキャンセル処理の自動化や、オリジナルキャラクターサイトの開発プロジェクトにおいてSEOを意識したフロントエンド開発、加えてUnityを用いたメタバース開発などの経験を積む。2023年4月にSun terrasへフルリモートエンジニアとして入社。放送業界のプロジェクトでフロントエンドを担当後、BaaSプロジェクトへ参画し、フロントエンドとして内部設計を推進する。現在はTalent Bridge unit に所属し、社内システム開発及びエンジニア組織のエンゲージメント向上施策の企画・推進に従事している。
佐々木 悠 / システムエンジニア
2018年より自動車メーカー・不動産・自治体など多岐にわたる業種でC#/ASP.NETを用いた開発に従事し、製造業向け営業支援システムではスクラム開発チームのSE・PGとしてソースレビューや客先との仕様調整も担うなどの経験を積む。2024年8月にSun terrasへ入社。什器メーカー向け社内システムでASP.NET CoreによるAPI・Web開発を担当後、通信キャリア向け基幹システムの保守・運用を経て、現在はマイナンバーシステム開発にJava/Spring Bootで従事している。
齊藤 寛 / システムエンジニア
2022年に社内研修・金融系の決済端末テストを経てITキャリアをスタート。防衛業界の地図関連システムにてJava/Spring Frameworkを用いたWebアプリ開発に携わり、API連携やDB通信の実装を経験。2024年8月にSun terrasへ入社し、防衛省向け業務システム開発においてJava/Spring BootとJavaScript/jQueryによるフルスタック開発を担い、要件定義から試験まで一貫して従事している。