目次
淡路島を選んだワケ
「ここでないといけなかった」理由
人を主語にする会社
淡路島を選んだワケ
淡路島といえば、四方が美しい海。
小さなリゾート地、別荘地。
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
ただ、私が淡路島を本社に選んだ理由は、
そうした“華やかさ”ではありませんでした。
事務所があるのは、海の見える場所ではなく、
少しメイン通りから離れた静かな場所です。
もともとは、
バブル期に別荘地として開発されかけたものの、
途中で頓挫し、生活インフラも整わないまま
取り残されたエリアでした。
『Googleマップ』も正確に指し示さない場所。
Uber Eats が無い町。
半ば衝動的に、二束三文の荒れた土地を手に入れました。
刺々しい野ばらに囲まれ、
「痛い、痛い」と言いながら、
太く自生した木々を、慣れないチェンソーで少しずつ切り開いていったのが、
2年ほど前のことです。
チェンソーにも、ガソリンで動くものと電気で動くものがあるらしい。
太い木を切る必要があるから、と
店員さんに言われるまま外国製のガソリン駆動のものを購入しました。
高速に回転する、むき出しの鋭い刃を前に、
恥ずかしくなるほどの、へっぴり腰。
しかも、いざ木に当ててみると、まったく切れない。
力の問題かと思い、力で押し付けても、まったく切れない。
焦げた匂いが立ちのぼるだけ。
一日中、頭の中が「??」状態のまま、
汗だくになりながら格闘した結果、気づきました。
刃には、表と裏があるということを。
裏向きのまま、必死に押しつけていたのです。
今思えば笑い話ですが、あの日は本気でした。
「ここでないといけなかった」理由
そんな不器用な始まりから、少しずつ土地を整え、
オーダーメイドの小屋をいくつかのせて、
小さな事務所をつくりました。
それが、Redcherryの拠点です。
窓を開けると、聞こえるのは鳥の声。
季節が変わる匂い。山の気配。
山肌を歩けば、カマキリの卵に出会うこともあります。
夜はイノシシが出るから気をつけて、と
近所の方に言われることもある
(近所といっても、少し離れていますが)。
野良仕事をしていたら、
近所の方が畑でとれた野菜を置いていく。
珍しい場所に土地を買った、
「新しい住人」がどうしても気になるのか、
様子を見に、近隣全員が立ち寄ってきました。
話し始めると、だいたい1時間。
あれこれ世間話して、変な人間ではなさそうだと分かると、
満足そうに帰っていく。
こちらは、正直本当に忙しい‥‥。
でも、そういう時間が嫌いではありません。
私が惹かれたのは、
観光地としての淡路島ではなく、
生活のある淡路島。
こっちのほうでした。
人を主語にする会社
マーケティング会社は、
都市部の高層ビルに拠点を構える。
そんなステレオタイプなイメージがあるかもしれません。
その中で、私たちはあえて反対の方角を向き、
むしろ都市から離れていく選択をしました。
都市部のコンサルや代理店が、
革靴をコツコツと鳴らし、
インテリジェントな雰囲気をまとって歩いているとき。
時間ができれば、
つなぎを着て長靴をはき、
とてもおしゃれとは言えない格好で、
雑草を必死に抜いています。
一見すると、
都市型知性とは真逆で、まるで対照的。
もちろん、論理を軽視しているわけではありません。
数字も見ますし、戦略も緻密に組み立てます。
ただ、大切にしている起点が少し違うのです。
論理よりも、人の感情。
効率よりも、関係性。
スマートであることよりも、
「人への温度」があることを選びます。
マーケティングの戦略や
プランニング、クリエイティブ、オペレーション、すべてにおいて、
常に「人」を主語にする。
それが、
Human Oriented Marketing(ヒューマン・オリエンティッド・マーケティング)という
私たちの考え方です。
これは、けっして新しい理論ではありません。
本来、企業活動の中に普遍的にあったはずのもの。
それをもう一度、真正面から問い直そうとしているだけです。
テクノロジーやデータが進化する時代だからこそ、
人の心が動く瞬間に、もう一度立ち返る。
AIが進化するほど、
人の手によって設計された、温度が価値になると考えています。