GOが提供するのはタクシーアプリ『GO』だけではありません。
タクシー車内で使われる乗務員向け端末や後部座席タブレットなど、移動体験を支えるさまざまな車載プロダクトも開発しています。
こうしたプロダクト開発の特徴は、ソフトウェアだけでは完結しないこと。
実際にタクシー事業者さまの現場へ足を運び、車内での使われ方を見て、必要に応じてテスト車両も走らせながら、プロダクトを磨いています。
今回は、PdM、QA、ハードウェア開発のメンバーに、GOの車載プロダクト開発がなぜ“現場主義“なのか、その難しさと面白さを聞きました。
左から一原、山田、米澤、丸
プロダクトマネジメント本部 プロダクトマネジメント部 車載プロダクトグループGM
山田 慶(やまだ けい)
2018年3月入社。 前職では、旅行、温浴施設など幅広い業界に向けたWEBサービス企画や事業企画に携わる。2018年3月、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。現在はグループマネージャーとして、GOの車載器関連プロダクト(タクシー乗務員向けプロダクトや後部座席タブレットなど)のプロダクトマネジメントを担当。
プロダクトマネジメント本部 クオリティマネジメント部 クオリティマネジメント2グループGM
丸 靖和(まる やすかず)
2022年2月入社。 SIerでのSE約17年、情シス部門を経て、GOの前身であるMOVの立ち上げ期からQAに参画。開発と運用の両面で培った品質への知見を活かし、現在は品管車載チームのGMとして戦略立案やマネジメントを統括。部門横断の課題解決や標準化を推進するなど、エンジニアとしての経験を土台に、品質を支える組織づくりに尽力している。
プロダクトマネジメント本部 クオリティマネジメント部 クオリティマネジメント2グループ
一原 淳一(いちはら じゅんいち)
2021年5月入社。 第三者検証会社にて16年間にわたり幅広いQA業務に従事した後、2021年にGO株式会社に入社。 現在は車載チームのQAリードとして、ステークホルダー連携や進捗管理、メンバーアサイン、レビューを通じて品質向上を牽引。 また、自らもテスト設計やテスト実行も担い、円滑なプロジェクト推進と品質確保の両面に取り組む。
IoT本部 IoT開発部 ハードウェア開発グループ
米澤 智(よねざわ さとし)
2022年4月入社。 車載機器開発の回路設計を担当。大学卒業後、自転車アクセサリーメーカにて、サイクルコンピュータの回路・ソフト設計を担当。液晶テレビの生産技術や自動車内装部品の設計、IoTデバイスの回路・基板設計など、さまざまな製造業にてエンジニアとして経験を積む。2022年4月にGO入社。
目次
GOが開発する「車載プロダクト」とは?
── “現場主義”の話に入る前に、まずは車載プロダクトについて教えてください。
山田:GOが提携しているタクシー事業さまのタクシー車内に配置される車載機です。「車載機」とひと口に言っても、私たちはさまざまなプロダクトを開発していて、たとえばタクシー乗務員の方が使用する端末や後部座席タブレット端末といったハードウェア、それぞれの端末の決済や広告のアプリケーションなどを扱っています。
GOは職種ごとに組織が分かれているので、私はプロダクトマネジメント部、米澤はハードウェア開発グループ、丸や一原はクオリティマネジメント部に配属しているのですが、プロダクトをつくるときは他にもエンジニアやデザイナーのメンバーなどと職能横断でプロダクトチームを組んでいます。
── それぞれの業務内容についてもお願いします。
山田:まず、私がセールスやBizのメンバーと「こういうプロダクトやサービスを提供したい」というプロジェクトの全体像を描きます。
米澤:山田さんの話を受けて、タブレット端末であれば私たちが乗務員の方たちにとって見やすくて操作しやすい形状やサイズに設計します。モノができあがってからだと変更できる内容に制限が多くなるため、PdMやQAから「こういう仕組みを取り入れた方が将来的に便利だよ」など意見をもらい、将来的に必要になるかもしれない機能も取り入れています。
丸:私はマネージャーなので、計画や戦略に関わったり、動き出したプロジェクトにおいて課題が出たときのサポートや人員配置の相談に回ったりすることが多いです。基本的に、メンバーのアサインなどは一原が対応しています。
一原:そうですね。私はQAのリードなので、実際にテスト業務をやるというよりも方針決めやメンバーアサインがメインです。もちろん、業務量に応じては私も手を動かします。米澤さんも話していましたが、PdMやハードウェア開発のメンバーとコミュニケーションを取ることが多いですね。
全国で展開するサービスだからこそ、「全方よし。」を実践する
── 仕事内容や働き方で“GOならでは”の部分はありますか?
山田:まず、GOは現在47都道府県で約1200社ほどのタクシー事業者さまと取引しています。車載機も、数万台の車両につながっているわけです。それだけ幅広いお客さまがいると、お客さまの車載機環境に合ったプロダクトが必要になります。
車載機は、GOが提供しているプロダクトだけではなく、タクシーメーターやレシートのプリンター、行燈や「空車」「貸走」などが表示されるスーパーサインなど他社製のプロダクトとも連携して動くようにつくられています。
タクシーの乗務員さまがなるべく少ない操作で安全に使っていただくことや、もともとある車内の備品を有効活用してもらうことで低コストでGOのサービスを導入いただくことが目的ですが、それゆえにものすごく複雑な車載機の構成パターンやプロダクトの組み合わせパターンが生まれていて、非常に難易度が高い。
もちろん、安定的に動かしたり、品質を担保したり……という部分はマストですし、かつ細かい動きまで決めなくてはならない。GOならではの部分で、車載機ならではのおもしろさでもあります。
── 組み合わせパターンは無数にありそうな印象ですが、一社一社個別対応しているのでしょうか?
山田:個別最適しすぎると、GOとしても維持保守できず、安定してサービス提供が難しくなってしまうので対応はしていません。
GOのバリューで「全方よし。」と掲げていますが、すべての事業者さまに問題なく使っていただけて、価値提供ができるラインを見出す必要があります。ただ、「こうあるべき」「これなら使ってもらえるはず」と抽象化するプロセスが難しいところです。
全国で「この機能はこういう使われ方をしても大丈夫か」を調べたり、渉外やセールス、Bizのメンバーにヒアリングしたり、実際に事業者さまのところへ足を運んで聞きに行くこともあります。
── そこが“現場主義”とされる理由ですね。
山田:そうですね。地道なプロセスを通じて「これなら使っていただける」というラインを決めていくことは難しさもありますが、裏返せば全国で活用いただけるサービスを提供していることのおもしろさでもありますね。
米澤:すべての機器がそのまま使えればベストですが、なかなかそうはいきません。どうしても対応できない場合は、私たちから機器をおすすめして導入してもらうこともあります。
設計観点でいうと、標準のプロダクトを全ての事業所さまで使用いただけるのであれば、保証しやすく比較的簡単です。ただ、事業所さまには多種多様な事情もあり、標準のプロダクトを使用いただくことがベストでないケースが多いです。そのため、多種多様な機器に対応する必要があり、「どこまで確認すればいいのか」などの折り合いをつけるのが大変ではありますが、事業者さまのところへ行く度に新しい発見があるのは楽しいですね。
PdMやハードウェア担当がタクシー事業者先へ足を運ぶ
── 山田さんと米澤さんはどのくらいの頻度で事業者さまの先へ足を運ぶのでしょうか。
山田:新しいプロダクトを練っているときや導入時に行くこともありますし、意見交換会や「開発に質問したいことがあるから来てください」と呼ばれていくこともあるのでまちまちですね。こちらからヒアリングしたいときは渉外やセールス、Bizのメンバーに機会をつくってもらっています。
米澤:私の場合は、最近でも月2~3回は行っています。新しく車載機器を開発する前段階の仕様決めのタイミングや、プロダクトリリース後の確認や不具合調査などですね。
現場で直接話を聞くことで、机上では見えない使われ方や改善のヒントが見えてくる。
── 事業者さまの先へ足を運んだからこそ、気づけたことはありますか?
山田:私はかれこれ8年ほど今の仕事に就いていますが、以前はタクシー事業者さまの朝礼に出て「これをこうして使ってください」「ここを押すだけです」とお伝えしても「本当にこれで呼んでもらえるの?」という反応でした。
しかし最近では事業者さまの労働組合代表の方と意見交換会をさせていただくようなケースもあります。
「この機能はこういうふうにできないの?」「こういうシチュエーションでこういうふうに使うから、こういう機能があると嬉しい」とフィードバックしてもらえるようになったことは、サービスとしての成長を実感します。何より嬉しかったのは「GOがなかったら業務が成り立たないから」という言葉をかけてもらえたことです。
まだまだ通過点ではありますが、当初のことを考えると「ここまでこれたんだ」という想いです。
もうひとつ、学びになったのはタクシー業界の商習慣についてです。『GO』アプリには複数台のタクシーを呼べる機能がありますが、たとえば4台呼ぶと別々のタクシー事業者さまの車両が集まることがあります。私としてはお互いに競合だからやり取りするなんて思っていなかったのですが、一番最初に到着した先頭車両の方が「ここに並んでお客さまを待ちましょう」と場を取り仕切る習慣があることを知って驚きました。
そのため、「乗務員アプリに他に到着する車両がわかるようにしてほしい」と言われて、今まさに検討しているところです。8年もやっているのにわからないことばかりで、勉強になります。
設計の前提を現場で確かめることが、使いやすさへの配慮につながる
── 米澤さんはいかがでしょうか?
米澤:「どんな方が使っているのか」を目の当たりにできたことは大きかったですね。
あるタクシー事業者さまは、車載機器を車両に取り付ける整備士の方が、BluetoothやWi-Fiについて詳しくない様子でした。車載機同士が無線でつながっていても「これ、どうなってるの?」と。だから、デジタル機器に詳しくなくてもわかるような画面や操作方法を意識するようになりました。設計視点だと当たり前に感じることも、全ての事業者さまがわかるような配慮が必要だと改めて感じました。
QAが最適解を導き出すための想像力の養い方
── 続いて、QAの仕事内容についても“GOならでは”の部分を教えてください。
一原:基本的には、乗務員の方が使用するタブレットと、タクシーを利用される乗客の方が使用する後部座席タブレットの品質を保証します。ハードウェアとソフトウェアの互換性が重要なのですが、タブレットは自社製品なのである程度の仕様などは調整ができます。
難しくなるのが、他社製品との互換性です。たとえば、タクシーメーターひとつを見てみても、たくさんのメーカー、さらに機種があります。部品が枯渇すると新しい機種が投入されていくので、掛け算、掛け算、掛け算です(笑)もちろん「機種が古いから」は品質保証できない理由にならないので、バランスをとっていくことは非常に難しいですね。
しかも、タクシー事業者さまによっては使い方に異なる傾向があることもあり、私たちも把握できていない使い方も含めて個別の使い方に対して担保しなくてはいけない点は、難易度が高い点の一つだと感じています。
QAは机上だけでなく、実際の利用環境を踏まえて検証を組み立てていく。
── どのように最適解へと収束させていくのでしょうか?
一原:いくつかパターンを用意して事業者さまの要望にアジャストしていくこともありますし、事業者さまによってはまるっと開発することもあります。基本的にゴールはないし、正攻法などはないので、都度都度知恵を絞っています。
丸:一原さんも話したようにGOの品質保証は「掛け算、掛け算、掛け算……」ですが、すべての機器をテストすることはスケジュール的にもリソース的にも現実的ではありません。だから、今までのデータをもとに「一番影響の大きい機器はこれ」「このあたりが一番不具合が出やすい」などをヒントに、かつ先ほども一原さんが話した使い方の傾向なども意識しながらテスト戦略を立てていきます。
単純に「過去の事例に倣えばいい」という話ではないので飽きることがないですし、全てのタクシー乗務員の方が扱える機器として理想を追求するためのプロセスはやり甲斐ありますよ。
山田:QAのみなさんは本当に想像力を働かせて、それこそ乗務員の方たちの気持ちになってさまざまなケースを想定してくれるので、本当に助かっています。テストの過程で「確かにその使い方ありますね」みたいな気づきを得ることもありますし。QAチームの想像力の源泉を知りたいです。
丸:タクシーの乗車費用を会社が一部補助してくれる「トライアルタクシー制度」を活用して、定期的にタクシーに乗っています。今までは窓の外をぼんやり眺めることが多かったですが、QAになってからは乗務員の方の操作や機器の動きを見るようになりました。完全に職業病ですね(笑)
一原:私も何気なく乗務員の方と会話したり、ちょっと覗き込んで「いっぱいタブレットがついていますねぇ」と話を振ったりしながら、反応をうかがいます。「いや、これがね……」と言われたら改善のヒントが見つかるかもしれないし、「便利ですよ」と言われたら嬉しいので、実際に使われている方との会話は、GOにとってプラスになるきっかけは多いです。
丸:私は最近、GOのテスト車両を運転するようになりました。狙いは、机上だけではなく、乗務員の方たちに近い環境でテストすること。タクシーを運転しながら車載機を扱うことの大変さ、そして操作しやすい動きのアプリケーションを提供することの意味の重さを改めて実感しています。
実車に近い環境での確認を通じて、操作性や使い勝手への解像度を高めていく。
思い通りにいかない状況で、いかに前向きにチャレンジできるか
── 今の仕事を通じて、新たに身についた視点や能力はありますか?
丸:前提として、機能や機器構成を常にブラッシュアップする環境なので、経験則にこだわらずに常にチャレンジが求められるのはワクワクします。自然とチャレンジできる環境は、GOの組織としての強みと言えるかもしれませんね。
一原:常に新しいもの、ないものを生み出す場面に遭遇することが多いですね。これまでに脱炭素化を目指す『GX(グリーントランスフォーメーション)』、日本版ライドシェア、タクシーメーターのソフトウェア化など、新しいサービスにも関わっています。現在、実証実験を進めている自動運転技術にも、いずれ関わることになると思っています。モデルケースがないので“産みの苦しみ”はあるものの、時代の一歩目を踏み出せていることは以前にも増して実感できていますし、0から1を創り出す力は研鑽できていると思います。
米澤:タクシー業界にはさまざまな規制がありますが、ルールづくりにも会社として参画しているので、より広い視野が求められます。自社だけではなく、タクシー事業者さま、そして実際に乗車されるお客さまが不利益を被らないように広い視野でサービスづくりに携われていることによって、自ずと考えやスキルも身についているように思います。
山田:ステークホルダーは本当に多いですよね。社内・社外、そして関連省庁など多方面の意見を聞きながら、事業者さまやお客さまにとって本当にいいものをシンプルな形で届けていくことは簡単ではないし、挑戦も成長も求められる。突破口を見つけるために幅広く情報収集したり、「全方よし。」を実現する方法を模索したり……薄々お気づきだと思いますが、裏側では必死でバタ足しています。
自分の一存でこうしたいと決められないからこそ、対話を繰り返したり、連携を深めなければならないことが成長のポイントなのではないでしょうか。
── どんな人となら、一緒に頑張れると思いますか?
米澤:目標に対して視野を広げ、適切なやり方を導くことができる人ですね。私たちが目指すのは「全方よし。」です。たとえ自分としてはあまり乗り気ではない案だとしても「全体最適としてこうあるべき」と行動できる人は活躍できるのではないでしょうか。
一原:いろいろな部署があって、いろいろな責務があって、それぞれの立場で守らなければいけないものはありますが、目指すゴールは一緒ですからね。
なので、仕様の壁打ちをするような場面で私たちから提案することもあります。
そういう意味での当事者意識、QAの場合、品質だけではなくつくる過程も自分ごととして捉えられる方と一緒に働きたいですね。
あとは、忍耐力。たくさんの意見をまとめて「これでいこう」と方向性を決めるまでの道のりは決して平坦ではありません。最適解が見つけられるまで忍耐強く向き合うことが求められますね。私が以前勤めていた第三者検証会社にはなかった働き方を実践できています。
丸:思い通りにいかないことはたくさんあります。さまざまな意見をヒアリングしてテスト戦略を立てたとしても、計画通りにいかないことも少なくありません。不測の事態に直面しても柔軟に変化に対応して、前向きにチャレンジできる仲間を増やしたいですね。
「前のほうがよかったのに」と思うこともあるかもしれませんが、すぐに切り替えて「もっといい方向に行くためのチャンスだ」と考えられる方であればフィットするのではないでしょうか。
山田:みんながほとんど言ってくれたのですが、予想外なことを含めていろいろなことが起こります。私たちができることは、粘り強く向き合って、コツコツと地道にコトを進めていくこと。日々の積み重ねがモノを言う仕事に共感してくれる方に来ていただけたら嬉しいです。
一原:直面している瞬間は非常に大変なのですが、終わってしまったら「あのとき大変だったね(笑)」と笑い話にできる人が多いかもしれませんね。私たちQAチームは「現状維持は後退と心得る」というスローガンのもと、少しでもよくなる方法を考えながら毎日を過ごしています。単調な日々ではないかもしれませんが、変化の多い環境でエキサイティングに過ごしたい方はぜひ一緒に働きましょう。
※掲載内容は2026年4月時点の情報です。
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