組織が急に大きくなると、強い人ほど孤独になる──。
「移動で人を幸せに。」という壮大なミッションを掲げ、タクシーDXから社会課題の解決へと突き進むGO株式会社。
急成長の裏側で生まれる「組織の痛み」と向き合いながら、「会社が100年先も強くあり続ける」ために、GOがいま何に投資し、どんな仕組みをつくろうとしているのか。ヒューマンリソース本部の中でL&DグループGMを務める宮野に話を聞きました。
宮野 美奈子
ヒューマンリソース本部 人事部 L&Dグループ GM
新卒でリンクアンドモチベーションに入社し、組織・人材開発領域のソリューション営業、人事制度・理念体系のコンサルティング、エンゲージメントサーベイプロダクトの立ち上げやカスタマーサクセスなどを経験。2022年9月にGO入社。現在はL&DグループGMとして、新卒採用、マネジメント強化支援、人材・組織開発施策の企画運営を担う。
目次
100年続く挑戦へ向けた、絶対に必要な経営投資
持続可能な挑戦のためには、モデルチェンジが必要
急成長する組織の痛みを一身に引き受けるリーダーたちの孤独
マネージャーだけではない、一人ひとりが手繰り寄せるチームの強さ
全員主役の組織創りを基盤とする、100年続く挑戦へ
100年続く挑戦へ向けた、絶対に必要な経営投資
── まずは宮野さん率いるL&Dグループの役割を教えて下さい。
“L&D”は「Learning and Development」の略で、一言で言えば、「GOという会社が、100年先も強くあり続けるために、中長期的な人・組織への投資を担う部署」です。具体的には、新卒採用、人材開発、そして組織開発までを広くカバーしています。
── なぜ「中長期的」な視点がそれほど重要なのでしょうか?
社内では、経営陣を中心に「100年続く会社」という言葉が日常的に交わされています。
なぜ「100年続く会社」なのかというと、私たちが向き合っているのは、タクシー業界を始めとする交通産業の進化や社会インフラのアップデートという、一朝一夕では成し遂げられない極めて壮大な社会課題だからです。今いる社員のみならず、次の世代まで挑戦の灯を絶やさずに挑み続けなければ、本当の意味で社会を豊かにすることはできません。
ですから、私が担当している領域も、すべてはこの長い時間軸の中で意味を持つように繋がっています。たとえば、新卒採用をL&Dで担っているのは、彼らを「若手戦力」ではなく、将来の中核人材になりうる存在として、早期から育成する視点で捉えているからです。
同時に、今この瞬間に前線で戦っている社員一人ひとりの成長を支援する人材開発があり、彼らが集まったときに摩擦なく相乗効果を生み出せるような土壌を整える組織開発がある。未来のリーダーを獲得しながら、現在の個の力を最大化し、それらを結集させるチームの潤滑油を注ぎ続ける。このどれが欠けても、100年続く強さは作れません。
目先の緊急度は高く見えないかもしれませんが、ミッション「移動で人を幸せに。」を実現するうえで避けて通れない「重要度の高い経営テーマ」です。だからこそ、これらすべてを分断させずに取り組むことが必要だと考えています。
持続可能な挑戦のためには、モデルチェンジが必要
── 持続可能な挑戦のために、GOが乗り越えないといけない課題は何でしょうか?
急成長する組織には宿命的に直面する痛みがあります。GOに限った話ではないですが、組織は規模が大きくなるとコミュニケーションラインが指数関数的に複雑化し、情報連携や意志疎通の難易度が爆増するんです。
さらにGOは、社会課題の解決に挑戦するために、2020年に2つの組織が統合して誕生した会社です。当初は、すでに交通インフラとしての責任や信頼のあるサービスの品質を維持しながら、新しい挑戦を始めるという非常に難易度の高い状況でした。とにかく強い個のリードによって数々の難局を乗り越え、今のGOがあります。
個の戦闘力が極めて高いプレイヤーたちが、それぞれの戦場で勝ち抜いてきた成功体験は素晴らしいものです。しかし、持続可能な挑戦を目指す上では、強い個で突破するリーダーシップだけでは限界があり、チームの総合力を高めるリーダーシップが必要になってきます。
── モデルチェンジが必要な時が来ていたということですね。実際にはどのような「限界」があったのですか?
例えば、意思決定者やキーパーソンが偏りすぎて、健全でないレベルまで負担が大きくなってしまったり、スピーディな事業運営にあたってボトルネック化してしまうのは想像に難くないかもしれません。
新たにジョインしたメンバーがなかなか貢献実感を持てず、情報や背景が見えにくいことで、役割を発揮しづらくなるケースもありました。
文化の異なる2つの組織が統合し、さらに多様なバックグラウンドを持つ新規入社者を迎え入れ、短期間で規模が倍になったことで、情報連携や意思疎通がうまくいかないことによるトラブルも散見されていました。
創業直後からしばらくはコロナ禍だったこともあり、社員同士の関係構築が制限されていたというのもあると思います。そんな逆境の中でサービスを成長させたり新たな事業を生み出していたわけですから、本当に優秀で想いを持った方々が集まっているのだと、入社直後に感動した覚えがあります。
急成長する組織の痛みを一身に引き受けるリーダーたちの孤独
── 本当に大変な状況だったのですね…。そんな中で、モデルチェンジを実現するためには何が重要だったのでしょうか?
「孤独なリーダーたちをいかに支え、次世代にバトンをつないでいくか?」がポイントだと考えていました。
── 「リーダーたちの孤独」ですか。
はい。
拡大する組織は、宿命でもある構造的な痛みを解決するために、階層化・機能分化し、各所にコミュニケーションの要を設置する必要があります。これは、現場のリーダーたちに託された「マネジメント」という非常に重要な機能の一つです。
拡大し複雑化する組織では、経営と現場、部署と部署の認識をすり合わせる「結節点」が必要になります。その役割を担うのが、現場のリーダーたちです。立場や時間軸が違う中で、一見相反する意見が出ても、葛藤を抱えながら目的に立ち返って意思決定しなければならない。
そしてその意思決定は、多くが正解のない中での「決断」です。変化の激しい環境の中で難易度の高い事業運営をしているGOでは、誰がどう見ても「これが正解」と言える場面はほぼありません。どうなるかわからない、でも決めて正解にするのだと腹を括る。その双肩には、重い責任がのしかかります。
この重圧を、数少ないリーダーたちの多くが、一人で背負い込んでいたんです。これでは、組織の持続可能な成長は望めない。
── 具体的にはどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?
一つは、ミドルマネジメント層の強化です。
キーパーソンの偏りによって、組織は拡大するのにマネジメントを担える存在が足りなくなる。適切な権限移譲が行えず、さらに孤独なリーダーたちの負担が増えていく。次世代を育成する余裕もない。このスパイラルを止める必要がありました。
具体的には、まだまだ発展途上ではありますが、主に3つの取り組みを継続的に実施しています。
①期待の言語化と積極的な登用
GOとしてマネージャーに何を期待するのかを適切な粒度で要件定義し、経験は少なくともポテンシャルのある現場の活躍社員を積極的にマネジメントに登用しました。目指す成果やメンバーの状況など、現場ごとに状況が大きく異なる中で、これさえやればOKなんていうチェックリストは存在しませんが、それぞれのマネージャーが自ら考え効果的に動くための拠り所になるようなフレームの提供を目指しました。
②課題の可視化とトレーニング
目に見えにくいマネジメント課題をできるだけ具体化するために、要件定義をベースに360度サーベイを実施し、丁寧にフィードバックを行っています。そこで見えてきた個々の課題に則して、具体的なトレーニングメニューを用意し、実践の中で武器を磨いていただいています。
③マネージャー同士の紐帯の醸成
360度サーベイのフィードバックセッションやテーマ別のトレーニングセッションなどの施策では、同じ悩みを持つマネージャー同士が相互に繋がり学び合えるような設計を意識しています。マネジメントは綺麗ごとだけでは決してできないので、腹を割って話せる心理的安全性の高い場創りが重要だと考えています。
会社全体で取り組むのだという共通の基盤創りと、各人の課題に寄り添ったきめ細やかなフォローを同時に実現したいと思っています。まだまだやりたいことは山積みです。
そして、新卒採用の強化もまた、非常に重要な取り組みの一つです。
持続可能な成長という意味では、3つの効能があると考えています。
①次世代リーダーを担う若き才能の獲得
GOの新卒採用の目的は、先述のとおり単なる「若手戦力の充足」ではなく、「未来のリーダー候補の獲得」です。GOの新卒社員は、100年続く社会課題への挑戦のバトンを受け取るべく、タフな経験を通じて急角度で成長する期待を背負って入社してくださいます。
②関わるメンバーの未来に向けた当事者意識の醸成
学生さんとの会話の機会や選考官として登板する社員たちにも、大きな影響があります。
未来のリーダー候補に魅力を伝えるべく、GOの未来について自分の言葉で語る中で、当事者意識が強く醸成されていきます。今も日々多くの社員の方々に協力いただいていますが、新卒採用に関わることは、社員にとって最高の名誉であり、エンゲージメントに繋がることであるというブランドを確かなものにしていきたいです。
③受け入れる組織の活性化、マネジメント力の向上
加えて、新卒社員の方を組織に受け入れるということは、そのチームの人材育成力、相互支援力が否応なしに見直されるということです。潜在能力と志を非常に高いレベルで持ち合わせる彼らの参画によって、現場での次世代育成への意識は格段に高まりました。
今は、すでに入社して数年経つ新卒1期生、2期生を中心に、さらに未来の新卒採用活動に参画してくれています。新卒のメンバーに求めているのは、「才能が才能を呼ぶ連鎖の起点になってほしい」ということです。
自分自身が優秀であることにとどまらず、その圧倒的な成長と高い視座が、周囲の基準を引き上げ、同期や後輩、さらには先輩社員たちの視座さえも引き上げていく。 人が集まるだけでなく、人が育ち、勝てるチームになっていく。その「組織作りのプロセス」そのものを、ご自身の手でリードしてほしいと思っています。
マネージャーだけではない、一人ひとりが手繰り寄せるチームの強さ
── なるほど。それぞれが繋がっているんですね。
はい。マネージャーや新卒社員の方々のみならず、メンバーの意識も非常に重要です。
組織の強さは、マネージャーだけではなく、所属するメンバー一人ひとりが主体的に関わることで生まれるものです。「リーダーシップ」とは役職ではなく、誰もが発揮できるもの。
実は、「リーダーシップの発揮」をわかりやすく言うと、一人ひとりがGOのValueを本気で体現する、ということだったりします。
GOのValueには、「全方よし。」「コトに向かう。」「違いを力に。」「当事者たれ。」など、組織として強くあるための大事な要素がふんだんに含まれています。
GOでは多くの社員が、日々の業務の中でValueを意識し体現しています。そのうえで、組織が大きくなるほど、誰か任せにせず「自分たちで組織を創る」余白を増やせるかが効いてくる。私はそう考えています。
例えば、とある部署では、社内コミュニケーション活性化施策である「GOEN」を若手メンバーが主体となって企画運営していたりします。こうした「自分たちが組織を創るんだ」という意識を持つメンバーが増えることは、リーダーたちにとっても最大の救いになります。
そして何より、経営として絶対に炎を絶やさないことが重要です。変革には逆境がつきものです。過去慣性に引っ張られることのないように、施策を後押しするような発信や投資をしたり、まっすぐ未来に向かえるような評価制度などの仕組みをつくったり、社員に求めていることを誰よりも体現して背中を見せたり。
GOの100年続く社会課題への挑戦を実現するために、そんな経営としての強いリーダーシップをも支える存在でありたいと、人事としては考えています。
全員主役の組織創りを基盤とする、100年続く挑戦へ
── 最後に、L&Dグループのリーダーとして、宮野さんが大切にされている想いを聞かせてください。
「GOという会社が、100年先も強くあり続けるために、中長期的な人・組織への投資を担う」というのは、改めて考えると本当に重大なミッションであると背筋が伸びます。グループ内で完結するものは一つもなく、結実するには時間のかかる取り組みも多くありますが、やってよかったといつか全員が思えるように、GOのValueの一つである「次の時代をつくる。」を全社で最も体現するチームでありたいと思っています。
最後に個人的な想いを付け加えると、私は、「組織はみんなで創る作品であり、一人ひとりが主役である」と考えています。
チームで一つのコトに本気で向き合う経験は、人生において何物にも代えがたい尊いものです。
GOには、非常に優秀で、熱い想いを持った、人間的にも本当に魅力的なメンバーが揃っています。みんな本気で「自分たちの手で社会を良くしたい」と願っている。これまでGOを支えてきてくれた人も、新しく飛び込んできてくれる人も、このチームでしか味わえない喜びを一つでも多く手にしてほしい。そのために、私たちができることを日々誠実に取り組んでいきます。
※掲載内容は2026年2月時点の情報です。