能登半島地震・奥能登豪雨 復興にむけて、いまできることを考える|能登半島ボランティア活動・ノベルティ購入レポート vol.1 | 株式会社ワンパク
2024年1月1日に発生した能登半島地震、さらに9月に発生した奥能登豪雨により被災された皆さまへ、心よりお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。2024年...
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ワンパク デザイナーの塩屋です。
ワンパクでは、日頃お世話になっている皆さまへ新年のご挨拶として、毎年オリジナルのノベルティをお渡ししています。
今年は例年とは異なり、能登半島地震と奥能登豪雨被害の復興支援として、能登半島の地産品を購入し、ギフトとして皆さまにお届けすることになりました。
今回は、ワンパク代表の阿部とスタッフ3名で実際に能登を訪問し、生産者の方々から直接お話を伺いながら商品を選び、購入してきた様子をお伝えします。
また、この取り組みの一環として、ボランティア活動にも参加してきました。
能登半島の現状やボランティア活動の様子については、vol.1、2の記事をご覧ください。
2024年5月に阿部が能登の被災地を訪問し、復興状況を視察したこともあり、ワンパクのスタッフは、震災の被害状況や復興状況を直接聞く機会が度々ありました。
「私たちにも何か支援ができれば」という想いが芽生えるようになったのですが、具体的にどのような形で支援すべきかわからず、行動に移せていない状況でした。
そんな中、2025年のノベルティをスタッフと検討していた際に、オリジナル商品を制作するのではなく、能登で生産されている商品を購入してギフトとして皆さまにお配りすることで、少しでも現地の経済復興に貢献できないかと考えました。
阿部に相談したところ、「11月に現地でボランティア活動に参加する予定なので、スタッフで有志を募って一緒に行こう」という話をもらったため、ボランティア活動に同行しつつ、現地のお店や生産者を訪ねて、商品を直接購入することを決めました。
今回、現地で直接お話を伺った3軒の生産者の方々に加え、後日オンラインでお話を伺った1軒を含めた、計4軒の生産者の皆さまにご協力いただきました。
被災時の苦労や復興への取り組みについて貴重な話をお聞きすることができたので、今回購入した商品とあわせてご紹介させていただきます。
協力いただいた4店舗の一覧マップ
まずはじめに訪れたのは、七尾市にある大正15年創業の歴史ある醤油店『鳥居醤油店』。
店主の鳥居さんにお話をお伺いすることができました。
店主の鳥居さん(左)とワンパク代表の阿部(右)
鳥居醤油店は、明治41年に建てられた土蔵造りの建物で、国登録有形文化財にも指定されています。
震災では、建物が大きく傾き、外壁が剥がれ落ちるなどの深刻な被害を受けました。
特に醤油を製造する心臓部である「もろみ蔵」や「こうじ室」も壊滅的な被害を受け、醤油の製造ができない状況に陥ってしまいました。
震災直後は「もう醤油づくりは続けられない」と諦めかけたそうですが、奇跡的に醤油を仕込む樽が無傷だったことと、多くのお客さまや周りの方々の励ましの言葉を受け、地震に負けることなく伝統の味を繋いでいくため、蔵の復旧のために自治体からのサポートやクラウドファンディングに挑戦することを決めたそうです。
そして現在(2024年11月)、多くの人々の支援を受けながら醤油の生産ができる状況にまで立てなおしました。
「多くの人たちが私たちのために支援をしていただけて嬉しい」と店主の鳥居さんは涙ながらに語ってくれました。
店舗の外観
そんな諦めない想いを持ち続け前向きに生産を続ける鳥居醤油店からは、3種類の商品を購入しました。
材料は石川県珠洲産大豆、中能登産小麦、塩、三温糖のみとなっています。
木樽で2年間熟成した天然仕込み濃口醤油はほんのり甘い味わいです。
[食べ方]
おひたしや煮物は勿論、お刺身にもよく合います。
鳥居醤油の木樽天然仕込醤油を絞ったもろみを乾燥させて粉にしたものを、珠洲産の塩にブレンドした商品です。
[食べ方]
基本的に通常の塩と同様にお使いいただけます。
きゅうり、トマト、天ぷら、お刺身、肉などに振りかけるのがオススメ。
鳥居醤油の木樽天然仕込醤油を絞ったもろみを乾燥させて粉にした商品です。
[食べ方]
そのままさまざまなお料理にふりかけて、調味料としてお使いください。
サラダやお肉にふりかけたり、お茶漬けにするのもオススメ。
左:もろみ粉 中央:もろみ塩
続いて訪れたのは、鳥居醤油店と同じく七尾市にあり、昔ながらの釜炒り製法で丁寧に焙煎されたこだわりのお茶を製造している『田尻虎蔵商店』。
ここでも代表の田尻さんにお話をお伺いすることができました。
店主の田尻さん(左)とワンパク代表の阿部&ワンパクスタッフ(右)
田尻虎蔵商店は、玄米茶やほうじ茶をはじめ、さまざまな種類のお茶を製造しています。創業から続く伝統を大切にしながら、品質にこだわったお茶づくりをおこなっているお店です。
実際にお茶を製造している様子
生産工場自体は震災そのものによる被害は受けなかったものの、ほうじ茶の原料となるお米の生産地である輪島の棚田が大きな被害にあい、また、材料の仕入れ先を含む取引先の約7割が被災するという大きな影響を受けたそうです。
その結果、生産量が大幅に減少してしまい以前のように在庫を確保できないため、現在は受注生産での販売をおこなっています。
また、地元能登のお茶の葉を復活させるためのプロジェクトに取り組むなど、今後の発展に向けた話も聞くことができました。
そんな田尻虎蔵商店からは、看板商品である「玄米棒茶」を購入しました。
貴重な棚田米を贅沢に使用しており、玄米茶とほうじ茶をブレンドさせた珍しい一品です。
玄米と棒茶の贅沢で芳醇な香りが口いっぱいに広がります。
はざ干しといった伝統的な方法で人の手による丁寧な米づくりがおこなわれています。
笑顔で談笑するワンパク代表の阿部(左)と店主の田尻さん(右)
七尾市から北に移動し訪れたのは、能登町にある『カネイシ』。
いしり・いかの塩辛・各種干物など、能登産の新鮮な海産物を、加工・販売している会社です。
お店がお休みだったにも関わらず、社長の新谷さんにご対応いただきました。
ワンパク代表の阿部(左)とカネイシ社長の新谷さん(右)
震災による影響でイカの捕獲量が減少したこともあり、以前のように多くの商品を製造することが難しい状況となってしまいました。
また、地盤の崩落が発生したことにより、すぐ隣の家は陸地が崩れて海になってしまう被害も受けていました。
いしりを製造している他の地元企業が直接的な被害を受けて製造が困難な状況に陥る中、カネイシの蔵は幸いなことに大きな被害を受けなかったそうです。
限られた製造量の中でも、能登の名物であるイカやいしりの味を守り続けています。
今回、カネイシからは看板商品である「いしり」と、イカをいしりに漬けて干した「干しホタルイカ」の2つの商品を購入しました。
「いしり」とは、奥能登地方に古くから伝わる魚醤のことです。
カネイシでは、能登小木港特産のイカを使っていしりを製造しています。
[食べ方]
煮物、鍋物の調味料としてはもちろんのこと、肉じゃが、生姜焼き、パスタ、炊き込みご飯などにお使いいただけます。
新鮮なホタルイカを自家製のいしりに漬けて丸干ししたものです。
ただの素干しに比べ、いしりが旨みを引き出して深い味わいが楽しめます。
[食べ方]
お酒のつまみとしてお召し上がりください。
ライターで軽くあぶると一層濃厚な旨味を楽しめます。
目の前にある小木港をバックに撮影した、いしりと干しホタルイカ。
最後に紹介させていただくのは、能登町で昆布を製造・販売している『大脇昆布』。
時間の都合で実際に現地を訪れることはできませんでしたが、後日オンラインにて、女将の大脇さんにお話をお伺いしました。
大脇昆布は幸いにも1月1日の地震では大きな被害を受けず、震災直後の1月半ばから業務を再開することができたそうです。
しかし、断水の影響で4月ごろまで水が出なかったため、その期間中の生産量は通常の約4割程度となってしまったとのこと。
現在は、ボランティアの方々が現地支援に来てくれていることや、金沢への観光客が増えていることで、お土産としての需要が高まっており、オンラインの購入も含め、売上が順調に伸びているそうです。
そんな大脇昆布からは、今回3種類の昆布を購入しました。
昆布加工品の中でも最上級品と言われる太白おぼろ。
職人の腕がないと綺麗に削ることができず、手削りで丁寧に仕上げた逸品です。
昆布の原料は一度に10kg使用し、その後酢に浸す工程を経て20kg程度になるのですが、その中で太白おぼろは3.5kgほどしか取れない貴重な品です。
[食べ方]
味噌汁・すまし・うどん・そばにそのまま浮かべて召し上がりください。
おにぎりに巻いたり、お刺身に巻いたりして食べるのもオススメ。
ちなみに、大脇さんからはミルフィーユ鍋に入れるのがオススメと教えていただきました。
職人が一枚一枚丁寧に手削りしたおぼろ昆布です。
昆布の表皮の黒い部分も一緒に削りこんでいるので塩気と酸味があります。
[食べ方]
お雑煮、味噌汁、蕎麦などに浮かべてお召し上がりください。
昆布を丸々使用している、ふりかけタイプのとろろ昆布です。
[食べ方]
炊き立ての温かいごはんにかけてお召し上がりください。
湯豆腐、おでん、冷奴、サラダなどにかけて食べるのもオススメ。
今回は4社の生産者から、被災時の状況と復興に向けた取り組みについての貴重なお話をお伺いすることができました。
今までは、”被害を受けた”と聞いた際に、倒壊などの直接的な被害を想像していましたが、間接的な被害状況(取引先の大半が被災するなど)があることも知り、現地で起こった被害状況がいかに甚大なものだったかを認識させられました。
そのような状況がありながらも、それぞれ復興に向けた前向きな取り組みをおこなっており、どんなことがあっても常に前進していく強いパワーを感じました。
また、そのパワーも地元の方々、ボランティアの方々、オンラインで商品を購入してくださる方々など、さまざまな人の支えがあって生まれているように感じました。
今回、生産者の声を間近で聞くという貴重な経験ができたことで、今回聞いたリアルな現状をさらに多くの人に知っていただきたいという思いが生まれました。
このように記事にして発信するのもそうですし、能登には魅力ある地産品があるということを周りの友人、家族に積極的に伝えていこうと思いました。
この記事を見て能登の魅力を感じ取っていただけた方は、是非周りの方々にも伝えてみていただければ幸いです。
そのような輪が広がっていくことが、結果的に復興支援に繋がっていくと信じています。