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進路の選択肢

専門学校である東京モード学園でインテリアデザイン専攻を三年間学んだ僕ですが、卒業を控えた三年目の就職活動のさなか、自身の方向性に迷っておりました。
そんな中、学校内のMacPCが並ぶ教室で、一学年下の後輩である二年生達と課題を進める為に居残りをしていた際に、彼が課題の質問をしたのか自分が寄って行ったのか、そもそも席が近かったのかも思い出せませんがふとしたきっかけで自分の悩みをこぼした事があります。


──先輩なのにこんなで申し訳ないんだけどさ。インテリアデザインなんて学科に入ったけれど、建築だとかインテリアが寝食忘れるほど好きってわけじゃないとわかっちゃったんだよね。どっちかっていうとデザインが本命の好きだったんだ。とはいえ出力する速度も発想の切れ味もクラスメイトに敵う気が全くしなくて、他の学校の生徒さん含めると就職自体が不安でさ。オタクではあるからゲームだとかアニメは好きだけど、それは姉妹校のHAL東京の生徒さんがその道のプロなわけじゃない?勝てないと思って。

「先輩、グランドセフトオートってゲーム知ってます?」

──あぁ、高校生の頃卒業間近の先輩がやってたね。友達の家で触らせてもらった記憶もあるよ。けどそれがどう繋がるの?

「あのゲームって3DCGですよね」

──そうだね。

「あのゲームにも建物ってありますよね?で、僕らが今学んでいるVectorWorksも3DCGのソフトです」

──うん、同じだね。

「たまにゲームで銃だとか道路がヘンテコだったり、背景が違和感があるってことありますよね」

──あるねー、アニメとかで特に指摘されてる印象があるなぁ。

「車を作ったりキャラクターを作るのは難しいかもしれないけれど、僕らは内装も一応建物のルールもある程度専門的に学んでいるから違和感なく作れるんです」

──……言われてみれば。

「そう考えると、ゲーム分野でも建築物の背景を担当する3DCGデザイナー、としてならやっていけると思いませんか?」

──得意分野なら頑張れそうだ。

「何が言いたいかというと、選択肢は建築家やイラストレーターだけじゃないですよ、ってことです。不安は軽くなりました?」

──ありがとう、すごく楽になった。視野が広がったよ!

「よかったです」


記憶は確かではないので多少文面は違うかもしれません、でも確かにそんな会話がありました。

それを転職活動中に思い出したので記録しておこうと筆をとりました。

叶うならば、就職活動、転職活動、起業、フリーランス等と仕事に目を向けている人たちに、彼のこの言葉が届きますように。

そして、僕も素敵なお仕事との出会いがありますように。


2019/05/27 01:45 寺岡 龍之介

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