書籍【OBSESSION(オブセッション)こだわり抜く力】読了
毎回感じるのだが、Amazonに関する書籍を読むと、本当に学ぶ所が多いと思ってしまう。
勿論、全てを真似できる訳ではないのだが、ほんの一部でもいい、参考に出来る部分を見つけるだけでも意味がある。
冒頭から、世界中のマクドナルドのチーズバーガーの話が面白かった。
確かにあまり意識をしていなかったが、世界中のどこで食べても、チーズバーガーは同じ味だし、その作業工程から、お客様の手元に届く時間までも、すべてが同一品質で提供されている。
これは顧客の立場からすると、慣れもあって当たり前のように思えてしまう。
しかしながら、冷静に考えると、もの凄く高度なオペレーションの上で成り立っていることが分かる。
一人一人が高度な技術を持つ必要はない。(簡単な仕事を、マックジョブとさえ言われているくらいだ)
仕事を徹底的に細分化し、どんな人でも仕事ができるようにしたことが、「高度なオペレーション」という意味だ。
実際に仕事をしている人々は、人種も違ければ、年齢も性別も、もちろん文化も違う。
それなのに、世界中で全く同じ品質が保たれるように、仕事の工程を作り上げている。
果たしてこれを、どうやって実現させたのか、ということだ。
端的に言えば、工程を限りなく細分化して、その工程一つ一つに数値目標を設定し、その数値を必ず達成できるように、徹底的に管理するということだ。
このように説明すると、特別なことは何もない。
極めて当然の話なのであるが、ポイントは「細分化」「数値目標」「徹底的」だと思う。
これこそが、「拘り」とか「執着」を意味する「OBSESSION」に繋がるのだと想像できる。
マクドナルドの徹底ぶりも素晴らしいのだが、Amazonのそれも凄まじい。
ジェフ・ベゾスが投資家への説明用に紙ナプキンに描いた、弾み車(フライホイール)の図の話は、私の大好きなエピソードだが、本当に頭の中身がどうなっているのかと考えてしまう。
弾み車の法則のように、物事の本質を見抜いて、それを概念化する能力。
そしてその抽象化した概念を、「ここまでやるか」というくらいに、徹底的に具体化していく。
間違いなく、Amazonの徹底ぶりも常軌を逸している。
ユーザーの立場からすると、今でこそ当たり前になってしまっているのだが、ものすごくマニアックなものであっても、サイトからポチリとするだけで、配送料無料で翌日には届いてしまう。(Prime会員に限りだが)
言葉での表現は簡単だが、このオペレーションを実現するために、どれだけの作業を行っているのか。
人間が担っている部分も確かにあるが、テクノロジーを駆使して徹底的に自動化している。
とにかく1秒でも早くお客様に届けるために、技術を磨きに磨いて、オペレーションを形にしていく。
サイトの使いやすさから、サーバー側の処理、それが倉庫まで連動して配送される仕組み。
すべて紙ナプキンのフライホイールを実現するために行っていることだ。
一時期は、Amazon倉庫で働く人を人間扱いしていないと社会問題になったが、これからは「人間にしかできなかった作業」が、「ロボットに代替」されていく。
ロボットは人間よりも早くて確実で、休憩すら必要がなく、そして文句すら言わない。
人間が行っていた仕事をロボットに代替する方こそ、人間扱いしていないようにも思えるのだが、話はそんな単純なことではない。
この話を深堀していくと、別の問題にも行きつくので割愛するが、ここではあくまでAmazon側の視点で、ビジネスと捉えて考えてみることとする。
とにかく、「細分化」「数値目標」「徹底的」だ。
本書内にもあるが「科学的に考える」という視点が必要で、どうしても日本企業はこの発想が足りない気がしている。(個人の感想だが)
「科学的」というのは、「条件を揃えて同じやり方をすれば、同じ結果が出る」ということを、追い求めることだ。
物理法則で考えれば分かりやすいが、投げたボールがどこに飛んで落ちていくかは、計算で分かるようになっている。
つまり、どれだけの角度で、どれだけの力で、投げ方も同じにして、空気抵抗なども条件が同じであれば、必ず同じ場所(位置)に落ちるはずなのである。
「再現性」と言われるが、Amazonの配送についても、職人の暗黙知で「この人しかできない」という状況では困る訳である。
誰がやっても同じ結果が出るように、細分化して数値目標を立て、徹底的にやり切るしかない。
まさに、この科学的に考えるアプローチが、イノベーションと言えると思うのだが、そこには深く共感してしまう。
私自身、「THE日本企業」みたいなところで働いているので、余計に感じてしまうのだろうと思う。
当社もかなり情緒的で、科学的とは程遠い。
上司からの指示も感覚的で、それを努力と根性でこなしている部分が今でもある。
(私も気が付かない内に、部下に対し感覚的な指示をしているのかもしれない)
今までは何となく職人的な感覚に頼ってきた。
日本企業はむしろそれが強みで、上司の指示でなくても、現場が「ここまでやるか」というくらい「徹底的」に、技を磨いてきた。
しかし、それだけでは通用しない世界がとっくに訪れているのである。
発想を変える必要があるのだが、これが思った以上に難しい。
結局、人間こそ感情の生き物なので、そんな簡単な話ではない。
むしろ簡単ではない話を、やり切ったからこそ、Amazonの一人勝ちが際立ってしまう。
これは果たして企業文化と言えるのか。
「細分化」「数値目標」を追い求めることが、人間を幸せにできるのか。
難しい部分も確かにあるが、考えてしまう。
世界は間違いなくこの方向に進んでおり、これからはグローバルで戦うことが必須である以上、避けて通れない話のはずだ。
「OBSESSION」とは、「執着」とも翻訳できる。
「拘り」とか「憑りつかれた」という意味もあるらしい。
我々のビジネスで、どこまで「OBSESSION」できるのか。
考えてみたいと思っている。
(2025/7/28月)