渋谷区議のスダケン氏を「議員ハラスメント条例」に基づき、渋谷区議会の外部窓口機関に訴えました
こんにちは、駒崎弘樹です。
先日、渋谷区議会議員・須田賢(通称「スダケン」)氏による不当な中傷と思われる投稿に対し、「渋谷区議会議員のハラスメントの防止等に関する条例」(以下、渋谷区議員ハラスメント条例)第6条に基づき、渋谷区議会の外部相談窓口機関への訴えを行いましたので、ご報告します。
## 事の経緯
- 2025年1月2日ごろ
スダケン氏が X(旧Twitter)にて、私・駒崎弘樹を名指しし
> 「子どもたちのためと言いながら私利私欲ではないでしょうか?
> 駒崎氏の金集めのためにふるさと納税を利用した」
と投稿(以下「問題投稿」)しました。
(体験格差を改善しようとする社会事業に対し「私利私欲」「駒崎氏の金集め」と中傷)
問題点
1. 事実無根
私が私利私欲のためにふるさと納税を利用し、金集めを行った事実は一切ありません。
渋谷区から寄付先に選定されたのは、私が会長を務めていた 認定NPO法人フローレンスであり、同法人の活動は適正に行われていることは、都の監査でも認められています。
2. 社会的評価の毀損
公共の場で「私利私欲に基づいた金集め」と断じることで、私個人およびフローレンスの社会的評価が著しく損なわれました。
3. 条例違反の可能性
渋谷区ハラスメント条例は「誹謗、中傷、事実に反する風説の流布…であって、個人の人格若しくは尊厳又は勤務環境を害するもの」を明確にハラスメントと定義しています(第2条第2号エ)。
4. 悪質なミスリード画像の拡散
さらに、本件投稿は、私・駒崎弘樹及び本件投稿内容とは全く関係の無い恐喝被疑事件の逮捕報道の画像(『人権はカネになる』等のテロップが入ったもの)を添付した投稿をリポスト(引用)しており、当該画像をしてあたかも私・駒崎が犯罪行為又はこれに類似する行為を行ったと誤認させることを意図した悪質な投稿といわざるを得ません。
- 投稿の削除
問題投稿はすでに削除されていますが、その行為自体が 投稿内容に問題があったことをスダケン氏本人も認識している可能性を示唆しています。
## 渋谷区ハラスメント条例とは?
渋谷区議が議会活動や SNS 等でハラスメント行為を行った場合、
1. 外部相談窓口への苦情相談
2. 事実確認調査(第7条2項)
3. 必要に応じた措置命令(第10条)
が規定されています。
今回、私は 外部相談窓口(入澤法律事務所) に正式な苦情相談を行い、条例に沿った調査と対応を求めました。
## なぜ訴えたのか
1. 子ども・家族支援事業の信頼を守るため
誤った情報や誹謗中傷が広がると、支援を必要とする子どもや家族に届くべき支援が届かなくなります。結結果として困難な状況にいる子どもやその家族にとって、命綱であるはずの支援が届かず、さらに厳しい状況に追い込まれてしまうことになります。私たちの活動は、社会の最も弱い立場にある方々の命と尊厳を守るためのものです。だからこそ、その信頼を損なう行為は断じて許されません。
2. 議員による情報発信の責任を問い直すため
公職にある者の発言は、社会への影響が大きいものです。事実に基づかない発言であれば、責任を取るべきです。
3. 沈黙は同意ではないと示すため
不当な中傷を受けたときに声を上げることは、同じような被害を防ぐ第一歩だと考えています。
## スダケン氏の所属会派への要望
須田賢氏は渋谷区議会で「議会改革の会」会派幹事長を務めています。同会派には以下のメンバーが名を連ねています(出典: [渋谷区議会ニュースリリース]( https://shibukugi.tokyo/news/2024090300015/ ))。
- 須田 賢(スダケン) 議員(幹事長)
- 鈴木 建邦(けんぽう) 議員(副幹事長・会計)
- 矢野 桂太 議員(副幹事長・会計)
公職に就く者として、ハラスメントを止めるどころか沈黙を貫くのは、被害拡大を黙認するのと同じ行為です。今後、外部相談窓口機関の事実確認調査及び渋谷区議会ハラスメント対策委員会の審議の結果等も踏まえ、会派全体が説明責任を果たし、再発防止に向けた行動を取るよう強く求めたいと考えております。
## 地方議員ハラスメントの全国的課題
近年、地方議会におけるハラスメントが相次いで問題視されています。たとえば埼玉県戸田市では、「ジョーカー議員」と呼ばれた市議・河合ゆうすけ氏が外国人、特にクルド人住民に対する差別扇動デモやSNSでのヘイトスピーチを繰り返し、今年3月にはクルドの新年祭「Newroz」の会場に押しかけ騒動を引き起こしましたと報じられました。
東京都杉並区では田中ゆうたろう区議が本会議中に机を叩いたり、怒号(黙れ等)を飛ばすなど秩序を乱し、2025年6月には区議会から戒告処分を受けました。過去には選挙公報でのセクハラ(トランス差別)やSNSでの誹謗中傷も指摘されており、同区議会では再発防止を求める決議が繰り返されています。
こうしたケースでは、議員が任期中という理由で十分な処分が行われにくく、事実上の「治外法権」に陥りやすい構造が露呈しています。
この状況を打開するためには、各自治体が渋谷区のようにハラスメント防止条例を制定し、外部相談窓口や調査・是正の仕組みを整えることが不可欠です。また、国会レベルでも同様のルールを整備し、政治家によるハラスメントを包括的に防止・是正する環境づくりが急務だと考えます。
今回、私が行った渋谷区ハラスメント条例に基づく苦情相談を通じて、全国の自治体や国会に対する「ハラスメント議員問題」が顕在化し、これにより制度整備を促すことに繋がればと願っています。自治体関係者の皆さんには、ぜひ渋谷区の取り組みをご参考に、議員ハラスメント防止条例の制定・改正をご検討いただければ幸いです。
## 今後の流れ
1. 渋谷区による事実確認調査
外部相談窓口が事実関係を調べ、報告書を作成します。
2. 条例に基づく対応措置
当該ハラスメントを行った者の氏名及び事実の公表その他問題解決のための必要な措置が行われます。
3. 結果の公表
進捗や結果については、改めて当ブログでご報告します。
## 皆さまへのお願い
- ハラスメント議員への対応
お住まいの自治体でハラスメントを行う議員がいた場合、自治体にハラスメント条例がある場合はそのルールに従って訴えを行って頂く。もしハラスメント条例がない場合は、ハラスメント条例の制定を地方議員たちに要望していってください。
## まとめ
公職にある議員が根拠のない中傷を行うことは、社会全体の信頼を大きく損ないます。
私たちは、事実と向き合い、正当な手続きを通じて問題解決を図ります。
引き続き、進捗をご報告してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
出典
日テレNEWS2025/3/23
https://news.ntv.co.jp/category/international/9a4e846b4d704089a18de6a64d624e95
東京新聞 2024/6/20
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232297