こんにちは。
沖縄県那覇市で食堂を経営しております、川﨑雄平です。
父から食堂を引き継ぎ、2代目として店を続けてきました。
振り返ってみると、父から商売について何かを長々と教えられた記憶は、あまりありません。
「商売とはこういうものだ」
そんなふうに言葉で説明する人ではなかったように思います。
それでも、父が毎日店に立つ姿を見ているうちに、私はたくさんのことを教わっていました。
毎日、店を開けるということ
子どもの頃は、店が開いていることを当たり前のように感じていました。
決まった時間に店を開け、お客様を迎え、料理を作り、片付けをする。
そして翌日になれば、また同じように店を開ける。
しかし、自分が経営する立場になって初めて、その「当たり前」を続けることがどれほど大変なのか分かりました。
商売には、良い日もあれば思うようにいかない日もあります。
それでも父は店に立っていました。
その姿から私が学んだのは、続けることそのものが信用になるということでした。
お客様を覚えている父
父は、常連のお客様のことをよく覚えていました。
よく注文する料理や、いつも座る場所。
何気ない会話の内容まで覚えていることもありました。
特別なサービスをしていたわけではありません。
ただ、一人ひとりのお客様を大切にしていたのだと思います。
商売というと、どうしても売上や利益といった数字を考えます。
もちろん、店を続けていくためには数字も大切です。
しかし、その数字の向こう側には必ず「人」がいます。
父の姿を見ながら、私はそのことを自然と学びました。
一度来ていただくより、また来ていただく
食堂にとって、新しいお客様に来ていただくことは嬉しいことです。
しかし、それ以上に嬉しいのは、一度来てくださった方が、
「また来たよ」
と戻ってきてくださることです。
そして何年、何十年と通ってくださる。
それは決して当たり前のことではありません。
毎日の料理、接客、何気ない会話。
そうした小さな積み重ねによって生まれるものだと思っています。
父が残してくれた一番大きな財産は、店そのものではなく、地域の皆さまとの信頼だったのかもしれません。
私も背中で伝えられる人に
私自身、2代目として長く店を続けてきました。
それでも時々、
「父ならこんな時、どうしただろう」
と考えることがあります。
答えが返ってくるわけではありません。
けれど、長年見てきた父の姿を思い出すと、不思議と自分がやるべきことが見えてくることがあります。
派手なことをする必要はない。
今日来てくださったお客様を大切にする。
そして明日も、いつものように店を開ける。
そんな当たり前を積み重ねていくことが、商売なのだと思っています。
父から受け取ったものを、今度は私が次へつないでいく。
言葉だけではなく、自分自身の働く姿を通して伝えていけたらと思います。
次回は、**「『いつものをお願い』と言ってくださる常連のお客様に支えられて」**をテーマに、長年食堂を続ける中で感じてきた、お客様とのつながりについて書いてみたいと思います。