30年近く会社員として働いてきた僕が、56歳になって新しい仕事を探している。
転職ではない。今の仕事を続けながら、ライターとして仕事の幅を広げたいと考えている。
なぜ、今さらライティングなのか。
そう聞かれたら、僕はこう答えると思う。
「人の話を聞き、その人の経験や考えを文章にする仕事がしたいから」
30年の会社員経験は、文章を書く仕事に役立つのか
僕は長年、物流・国際業務の世界で働いてきた。
仕事では、立場も経験も異なる人たちと接してきた。お客様、取引先、現場の担当者、管理職。人によって見ている景色は違う。同じ出来事について話していても、立場が変われば捉え方も変わる。
そんな環境で仕事をしていると、相手の言葉だけでなく、その背景を理解することの大切さを学ぶ。
なぜ、この人はそう考えるのか。
どんな経験から、その判断に至ったのか。
本人が当たり前だと思っていることの中に、他の人にとって価値のある知識や経験が隠れているのではないか。
今になって思えば、こうした問いはインタビューにも通じるものがある。
もちろん、会社員経験が長いからといって、優れたライターになれるわけではない。
ただ、30年間の仕事で培ったものを、文章を書く仕事にも活かせるのではないか。そう考えるようになった。
書くことを、改めて学び始めた
自分のWebメディア「THINK INK NOW」を立ち上げ、記事を書くようになった。
本を読み、調べ、考え、自分の言葉で文章にする。
それまでも文章を書く機会はあった。しかし、読者を意識して書くことは、それまでの仕事で書いてきた文章とは違っていた。
自分が伝えたいことと、読者が知りたいことは必ずしも一致しない。
自分にとって面白い話が、他の人にも面白いとは限らない。
その違いに気づくようになってから、文章を書くことへの向き合い方が変わった。
もっと体系的に学びたいと思い、ライティングスクールにも通った。
そこで学んだのは、文章表現の技術だけではない。
取材対象を調べること。質問を考えること。相手の話を聞くこと。そして、大量の情報の中から何を残し、何を削るか判断すること。
書くことは、書き始める前から始まっている。
それを実感した。
取材を通じて知った、聞くことの難しさ
ライティングを学ぶ過程で、文具に関する情報発信で知られる土橋正さんにインタビューする機会を得た。
事前に資料を読み、質問を準備し、約3時間にわたって話を伺った。
その内容を整理し、約5,000字の記事にまとめた。
取材をして改めて感じたのは、質問を用意することと、相手の話を引き出すことは別だということだった。
準備した質問に順番どおり答えてもらえば、記事ができるわけではない。
会話の中で生まれた疑問を掘り下げる。思いがけない話が出てきたら、そこに耳を傾ける。
そして、取材後には膨大な言葉の中から、その人の考えや人柄が伝わるものを選び取る。
相手の言葉をただ並べるのではなく、読者が理解できる文章へ組み立てる。
難しい仕事だと思った。
同時に、もっと取り組んでみたいとも思った。
AIを使う時代だからこそ、人間が考える
現在、僕は文章制作にAIも活用している。
構成を検討したり、論理の飛躍を確かめたり、自分では気づかなかった視点を得たりするためだ。
ただし、取材相手の話をどう受け止め、何を読者に届けるかは、自分で判断する。
AIが提案した文章でも、納得できなければ採用しない。
便利な道具が増えたからこそ、使う側の判断力が問われるのだと思う。
これからも、読むこと、聞くこと、考えること、書くことを続けたい。
56歳。まだ、できることがある
現在、インタビュー記事、採用広報、企業PR、オウンドメディアなどの仕事を探している。
企業の経営者や社員の方々が、何を考え、どんな経験を重ね、今の仕事に向き合っているのか。
そうした話を丁寧に聞き、読者へ届ける仕事がしたい。
もちろん、商業ライターとしての実績はまだ十分ではない。学ばなければならないことも多い。
それでも、30年間の会社員経験があり、取材して書いた記事があり、これからも学び続ける意思がある。
今までの経験を捨てて、新しい自分になろうとしているわけではない。
今まで積み重ねてきたものを、別の仕事でも活かしてみたい。
56歳からの挑戦。
遅いかどうかは、今ここで決めることではないと思っている。
まずは仕事をして、成果を出す。
その積み重ねの先に、次の道が開けるのではないだろうか。
ハスヌマゴロウ|ライター
物流・国際業務に約30年間従事。通関士資格保有。個人メディア「THINK INK NOW」を運営し、人物インタビュー、ビジネス、書籍、知的生産をテーマに執筆。取材・記事構成・執筆・WordPress入稿に対応。
Webサイト:https://thinkinknow.com/