「地域おこしに関わる仕事がしたい」
そう思うようになった私が、実際にさまざまな地域へ足を運び、その土地の食や文化、人と関わりながら、その土地のことを知りたいと思うようになったきっかけがあります。
それは、大学の研究室で参加した、岩手県久慈市での3泊4日のフィールドスタディです。
ちなみにこのフィールドスタディ、「本当にこのスケジュール⁉」っていうくらい、ずーっと食べてました。笑
食べて、食べて、食べて。
でも、ただ食べるだけではありません。
その土地の料理を作ったり、地域ならではの体験をしたり、地元の方の家に泊まったり。
3泊4日の中で、久慈市の食や文化、そしてそこで暮らす人たちとたくさん触れ合うことができました。
「食」から見える地域の暮らし
地元の女性たちでつくる「成谷自然食の会」の皆さんと一緒に郷土料理の「まめぶ」を作りました。
郷土料理を食べる機会はあっても、その地域の方に教えてもらいながら、自分たちで作る機会はなかなかありません。
まめぶは、もともと久慈市の山間部で食べられていた料理で、海女さんを通して海側にも広がり、現在では久慈市全体で親しまれているとのことです。
料理そのものだけでなく、作り方やどのように地域に広がっていったかまで知ることで、食べ物の向こう側にある地域の暮らしが少し見えた気がしました。
「昔の人、すごすぎる」と思った塩作り
海水から塩を作る体験もしました。
体験したのは「直煮製法」という方法で、鉄鍋で海水を煮詰めて塩を作ります。
久慈市では、やませによる冷害で農作物が育ちにくい時期があり、昔は海側で作った塩を内陸へ持っていき、作物などと物々交換していたそうです。
実際にやってみると、想像以上に大変でした・・・。
10人以上で交代しながら作業しても、とにかく暑いし、体力も使う。
昔は今回使ったものより4~5倍ほど大きな鉄鍋で、地域の人たちがこの作業をしていたと聞いて、
「昔の人すごすぎ、、、」
と本気で思いました。笑
現在では久慈市で鉄鍋を使って塩を作る業者はいないそうで、昔ながらの製法を実際に体験できたことも、とても貴重な経験でした。
「自分でやってみる」から分かること
ほかにも、短角牛の放牧場での餌やりや加工場の見学、魚の捌き体験、養殖ウニを実際に網ですくってその場で焼いて食べる体験など、たくさんの「初めて」を経験しました。
短角牛の放牧場では、数十頭の牛を柵を挟まず至近距離で見るのも初めて。
想像以上に迫力があって、「突進されたらどうしよう、、、」とビクビクしながら餌をあげていました。笑
魚を捌くのも難しかったけれど、教えてもらったことで、帰宅してから自分でも捌くことができました。
そして、養殖ウニはとにかく美味しかった。
今まで食べたウニの中でも、一番美味しいと感じました。
もちろん、鮮度やその土地の環境など、味そのものの美味しさもあります。
しかし、目の前ですくったウニを、その場で焼いて食べるというその体験そのものが、より美味しく感じさせてくれたような気がします。
こうした体験を通して、地域の産業や食文化は、資料を読んだり話を聞いたりするだけでなく、実際に自分で触れてみることで、より身近に感じることができるのだと思いました。
地域の暮らしに入ってみる
このフィールドスタディで特に印象に残っているのが、地元の方のお宅へのホームステイです。
3泊のうち1泊は、数人ずつに分かれて地元の方のお宅に泊めていただきました。
家庭菜園の畑を見せてもらったり、カニやお刺身など、たくさんの料理をご馳走になったり、夜には星を見せてくれたり。
おばあちゃんの家、夕ご飯のあとも食べ物が次々と出てきて、お腹も心も幸せいっぱいでした。笑
授業として地域の方のお話を聞くのとは違い、家という普段の暮らしの中に入らせてもらうことで、その土地で暮らす人の日常を少しだけ覗くことができました。
また、毎年この実習で学生を受け入れてくださっていることを知り、大学生との交流も地域の一つの活動として続けていることにも、久慈市の温かさを感じました。
この3泊4日が、その後の私につながっていく
この3泊4日を通して、私は「有名な観光地を訪れること」とはまた違う、地域を知る楽しさを知りました。
その土地でしか食べられないものを食べたり、昔から続く文化を体験したり、地域の方の家に泊まって一緒にご飯を食べたり。
観光客として訪れるだけでは見えない、その土地の暮らしに少しだけ入らせてもらったことで、久慈市という地域そのものにも興味を持ちました。
そして特に印象に残ったのが、
「地域の人と関わることでしか知ることのできないことがたくさんある」
ということです。
実際にその土地で暮らす人と話してみると、観光情報やインターネットで調べるだけでは分からない、その地域の日常や、そこで暮らす人だからこそ知っていることも教えてもらうことができる。
そして、何より人と話すこと自体が楽しい。
この経験から、旅行に行ったときも、ただ観光地を巡るだけでなく、できるだけその土地の人と関わってみたいと思うようになりました。
とはいえ、私は人見知りなので、自分から知らない人にどんどん話しかけられるタイプではありません。笑
だから、一人で旅行するときは、店員さんや地元のお客さんが話しかけてくれそうな、そんな雰囲気のお店を探して入ってみる。
そこでおすすめのお店を教えてもらったり、その土地の話を聞いたり。たまに別の地域から来た方とも話せたり。
そうやって少しずつ人と関わりながら、その土地を知っていくことが、私の旅の楽しみのひとつになっていきました。
私にとって久慈市でのフィールドスタディは、「観光する」のではなく
「やってみる」
「知ってみる」
ことの面白さを教えてくれた経験でした。
そしてここから、私の地域をめぐる旅が始まっていきます。