机の上に小さな盆栽を育てるデザイン
Photo by Rafael Peier on Unsplash
こんにちは!林田二郎です。
日差しの差し込む部屋の片隅で、手のひらに収まるほどの小さな盆栽をじっと見つめているときのことを想像してみてください。波打つような木肌の力強さ、細かく枝分かれした先に芽吹く瑞々しい緑の葉、そして根元を覆うしっとりとした苔。それらはただ自然のままに置かれているのではなく、育てる人が小さなハサミを片手に、何年もかけて全体の調和を整え続けた結果としてそこに存在しています。どの枝を伸ばし、どの葉を間引くかという絶妙な選択の積み重ねが、ひとつの美しい景色を生み出しているのです。
私が日々向き合っているウェブサイトの制作という仕事は、インターネットという広大な世界の片隅に、そんな美しく整えられた小さな盆栽を新しく仕立てる作業によく似ています。
画面の中に並ぶ言葉や写真、そして四角いボタンの数々は、植物を形作るための個性豊かな枝葉や、根元を支える土のようなものです。どれもが独自の役割を持ち、訪れた人を喜ばせるためにそこに配置されています。しかし、ただ勢いのある枝を無秩序に伸ばし放題にしたり、たくさんの葉を詰め込みすぎたりしただけでは、全体の姿が崩れてしまい、見る人はどこに目を向ければよいのか分からなくなってしまいます。だからこそ、光がすべての葉に心地よく行き渡るような、正確に計算された構造が必要になります。
ウェブサイトにおける構造とは、ユーザーの視線を自然に導く画面の構成のことであり、枝と枝の間に生まれる心地よい風通しの良さは、画面に十分な空間を設けることにあたるのです。
私はデザインを組み立てるとき、いつも頭の中で一人の大切な観察者を思い浮かべます。その人が初めてサイトを開いた瞬間に、どんな風に心が動き、どの要素に最初に目を留めるのか。まるで庭師がハサミの入れ方を優しく吟味するように、ユーザーの心の動きを細かく想像しながら、画面の要素を一画素単位で配置していきます。ある場所では立ち止まって言葉の意味を深く味わってもらい、またある場所では流れるように次の画面へと進んでもらう。その目に見えない心地よい流れを作ることが、私の役割です。
全体の印象を左右する色や形の選定も、ただの流行りだけで決めることはありません。その企業が持つ独自の空気感や、大切にしている歴史をじっくりと見つめ、それを一番引き立てる表現を探し出します。
十年という時間をこのデザインの世界で過ごしてきましたが、技術がどれほど進化しても、このものづくりの本質が変わることはありません。それは、画面の向こう側にいるのも、そしてその画面を作っているのも、どこまでも人間だということです。
デザインとは、誰かの頭の中にある大切な宝物を、他の誰にでも届く言葉や形へと翻訳する作業です。デジタルの世界に浮かぶ四角い画面の中に、どれだけ温かい人間の気配と、迷わない親切さを残せるか。訪れた人が自然と笑顔になり、また立ち寄りたくなる。そんな新しくて心地よい盆栽のような場所を、これからも一つずつ丁寧に、この世界に広げていきたいと思っています。