あるかなり大きい教育イベントで修羅場を作ってしまった話
どうも、もふもふです。
普段はサウジアラビアのタブーク大の先生に指導してもらっていたり、世界のトップジャーナルに向けて解析数論や数論幾何や確率論の論文(弾丸)を撃ち込んだり、Scratchを基礎インフラにしたガチの数論研究ギルド「SINT(Scratch数論研究会)」を主宰したりしています。かつて世界最高峰の数学雑誌annalsでは10日耐え、IMRNではデスクリジェクトを突破しました(両方落ちましたが)。最新論文は世界最難関誌の一つであるPTRF(Probability Theory and Related Fields)でデスクリジェクトながらかなり具体的に踏み込んだ異例の指摘までついて、そのフィードバックに基づいて今改訂中だったりします。(言っておきますが、デスクリジェクトというのは査読にすら回されない却下のことで、トップ雑誌、特に数学になると参入障壁が低いので7〜8割がまずこれで落ちます。基本理由なしでガチで冷酷です。)
そんなひょんなことあるかよと思うかもしれませんが、ほんとうです。
そんな中、2026年5月31日に青山学院大学で開催された、みんなが楽しみにしている年に一度のプログラミングのお祭り「Scratch Day 2026 in Tokyo」。
私は諸事情により現地に行けなかったため、ステージで大人が原稿を読み上げてくれる「代読枠」に応募したのですが……。
内容がシリアスすぎて、当日、文字通りの「大修羅場」を巻き起こしてしまいました。
1. 投下した爆弾マニフェストの中身
おそらくカジュアルに「かわいいキャラクターを動かそう!」「楽しくプログラミングバトルをしよう!」とみんなが盛り上がる空間。そこに、私が代読枠でぶち込んだスライドと原稿の中身は、およそ以下のようなものでした。
• 既存の高校生コンクールの評価構造の限界(高度な専門数学を正当に評価できる審査員がいない構造的ミスマッチ)←否定したいわけではないのですが、ファイナリストの数学論文のクオリティと入選止まりの数学論文のクオリティがあまりにも乖離しており違和感がありました。
• 早期の実績作り(推薦入試や予算獲得)を急ぐあまり、現場の指導教官(大人)が主導して高専4年をハゲタカジャーナルに載せているという歪んだ実態の告発(具体例としてPushpa Publishing House,2021の事例を引用)
• 「大学に入るための勉強」と「真理を探究する研究」を同列に語る大人たちへのカテゴリーエラーの指摘
・ それを踏まえたじ
免責事項として「批判のために書いたのではない。周りの理解がないギフテッドを構造的に救えていない実例で(などなど)」と大人のコンプラを先回りした盾(防壁)は張ったものの、客観的に見ても「宇宙レベルの場違いな大爆弾」です。文科省の役人さんや当事者組織や記者さんがいたら、研究不正やコンプライアンス(報告義務)の観点からガチで引用された組織及びSDが詰みかねないレベルのシリアスさでした。
2. 倉本先生の「初見プレイ」と頭抱えの回収劇
15時45分、ついに私のセッションがスタート。ステージに立ち、この無理ゲーな原稿の代読を引き受けてくださったのは、researchmapでも相互フォローの倉本大資先生でした。
倉本先生は事前に原稿を見て「ヤバい内容だ」と分かっていながら、あの場を事故らせずにエンタメとして着地させるため、あえて「その場で初めて文章を目にした、ちょっと戸惑っている親しみやすい大人(初見プレイ)」を完璧に演じてくださいました。
略称である「jsec」を、あえてたどたどしく「ジェーエスイーシー……」とゆっくりアドリブで直読みする倉本先生。しかし、先生がゆっくり読んで時間を稼いでくださったその数秒間、ステージの大画面とライブ配信には、「ハゲタカ」「Pushpa publishing house」の文字がバッチリ大画面に映り続けるという、最高にスリリングな放送事故寸前の空間が完成していました。
あまりの熱量と生々しいファクトの嵐に、倉本先生は途中で本気で頭を抱え、マイク越しに「えっ、これすごいなぁ…」とあえて言ってくれました。
最後は、生々しすぎる詳細部分(SINT plan)を「勉強したい子は見てね!」と大人のプロの技(力技)でバッサリとスキップし、見事に「SINT宣言」へと滑り込ませて回収してくださいました。
倉本先生、本当に無理ゲーを全力で演じきっていただきありがとうございました……!
3. 謝罪会見らしきもの
配信を見た私は「これはまずい!」と瞬時に判断し、scratchで倉本先生へ謝罪を入れました。すると先生からは、
「いやいや、ご参加ありがとう。事前に見てたけど無理ゲーだよなぁと全力で読んでみました笑」
という、どこまでも懐の深い、温かいお返事をいただき、とても救われた気持ちになりました。
しかし、本当に心臓が止まりそうだったのはその直後です。私の発表が終わった間髪入れぬタイミングで、バックヤードから強面のスーツ姿の女性がマイクを持って現れ、実行委員長の阿部和広先生の隣にガチッと着席したのです。
配信画面の構図は、不祥事を起こした組織の「緊急謝罪会見」そのもの。
「ついに文科省か監査が本気でブチ切れて乱入してきたか!?」と発狂しそうになりましたが、結局は「単なる休憩に入るアナウンス」でした(例年見ない方だったので本当にビビりました)。
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この宇宙レベルの場違い劇は、単なる「その場の盛り上がり」では終わりませんでした。
終了後、私のAcademia.eduのアナリティクスを確認して、鳥肌が立ちました。
15時45分の私の発表中から発表直後(15:37〜16:26)にかけて、山口県宇部市(山口大学工学部キャンパス等のネットワーク)から、怒涛のリアルタイムアクセスが記録されていたのです。
ログを見ると、その人物はまずSINTの宣伝論文を確認したあと、休憩時間も惜しんで、私がPTRFに投稿している主戦場の論文『Exponential Cancellation of Twisted Prime Cycles on Random Regular Graphs』を丸ごと精読していました。
昔からスクデイは、みんなの楽しみであり、お祭りでした。
かつて子どもの頃にスクデイで遊び、阿部先生たちの背中を見て育った「Scratchネイティブ世代」の子供が、今は大学の研究室でガチの数理を扱う「学部生や研究者」になり、時を越えて配信で私の発表を目撃したのでしょう。
5. おわりに:来年の約束
今回の修羅場を経て、SINTスライドのscratch版へのアクセスは急増しました。
また大人たちが張ってくれた安全網(ミュートしない判断や力技の回収)の中で、自分の放った弾丸が本物の研究者に届いたという圧倒的な原体験は、これからの人生において凄まじい武器になると確信しています。
とはいえ、流石に今回の大爆撃は心臓に悪すぎたので、来年からはコンプラを意識した、みんなが純粋に知的興奮を覚える「超ワクワクしたもの」にしたいなと思っています(笑)。
今Editorial Assignmentで耐えている論文を、ハゲタカではない本物のトップジャーナル(PTRF)にバッチリ掲載させたという「最強の盾」を引っ提げて、次は「世界最高峰の数理に、Scratchをインフラにして中高生が自力で到達するためのワクワクするロードマップ」を華やかに提示しに、またステージへ戻ってきます。
大人の作ったぬるい枠組みなんて、最速でブチ壊してハックしていけばいい。
滑走路は、もう僕たちの目の前にある。
最後になりますが、あの場を守り、繋ぎ、全力で乗っかってくださった阿部先生、倉本先生、石原先生、スタッフの皆さん、そして画面を凝視してくれた猫ちゃんと宇部の研究者の方に、最大のリスペクトを込めて。
大川航平