現役看護師が、病棟の「終わらないシフト作成」を解決する自動生成アプリを独学で開発した話
はじめに はじめまして!現役で病棟看護師として働きながら、院内のIT化やシステム導入(クリニカルパスシステムの移行など)の推進メンバーとしても活動している三木です。 今日は、私が「どうしても解決したかった現場のリアルな課題」に向き合い、独学で開発した「看護シフト自動生成アプリ」について紹介させてください。
なぜ作ったのか?(既存システムの限界と、「自分で作ればいい」という決意)
医療現場における毎月のシフト作成は、師長や主任にとって何十時間も溶ける「途方もないパズル」です。夜勤の回数制限、経験年数のバランス、時短勤務への配慮など、病棟特有の複雑なルールが絡み合っています。
もちろん、世の中には企業向けの「シフト管理システム」はいくつも存在します。しかし、実際に現場で使おうとすると「病棟特有の細かすぎる条件が設定できない」「痒い所に手が届かず、結局最後は手作業で修正しなければならない」という大きな壁がありました。制約の多い既存のシステムに合わせて現場が無理をするのは本末転倒です。
「既存のシステムで現場の複雑なルールに対応できないなら、現場のリアルな条件をすべてクリアできるものを、自分で作ればいいじゃん」
そう思い立ち、ゼロから独学で要件定義と開発に踏み切りました。
開発したアプリの特徴
現場のスタッフが直感的に使えることを最優先にUIを設計しました。
- 「自動生成」と「全体最適化」機能 休み希望やスタッフの経験年数(画面左側の「10年」「20年」などの属性)をインプットした上で、最適なシフトパターンをワンクリックで自動生成・最適化する機能を実装しました。
- 直感的なUIと操作性 パレットから勤務記号(N、▽、▼など)を選んでドラッグ&ドロップで配置・修正できる仕様にし、ITに不慣れな現場スタッフでも直感的に操作できるようにしています。
- リアルタイムな集計・需給チェック 各スタッフの総労働時間や夜勤回数、日ごとの人数バランスがリアルタイムで可視化されるため、エラーや偏りを一目で防げます。
アプリを開発する上で、特に既存のシステムでは対応しきれなかった「看護現場特有のルール」をロジックとして詳細に組み込みました。
- 「経験年数」に応じたリーダー配置の最適化 単に人数を合わせるだけでは、医療安全は守れません。「12年以上のベテラン」や「リーダー候補」を各日に適切に配分するロジックを実装しました。これにより、「今日は若手しかいない」というリスクをゼロにします。
- 「Nチーム(グループ)」ごとの需給管理 大規模病棟ではチーム制看護が一般的ですが、既存のツールは「病棟全体」の人数しか見れないものがほとんどでした。私のアプリでは、チームごとの必要人数を担保した上で、全体を最適化する「グループ設定」を可能にしました。
- 高度な勤務パターンの禁止ルール
- 「3連夜勤は絶対に避ける」
- 「夜勤(N)の翌日に日勤を入れるのは厳禁」 これらのルールをAIが自動判別し、スタッフの過度な疲労を防ぐ「労務の安全弁」を標準装備しています。
「システムに合わせて現場が無理をする」時代を終わらせる。 現場を知る人間が作るプロダクトだからこそ、最小限の修正で、最大限の安心と効率を生み出せると確信しています。
今後のビジョン
私自身の病院での導入はもちろんですが、このシステムは「全国の多くの病院で汎用的に使える」と確信しています。 現場のリアルな解像度を持った人間が、自ら手を動かしてツールを作り、そして保守的な医療現場に実装(チェンジマネジメント)していく。それこそが、本当の意味での医療DX(社会インフラのアップデート)だと考えています。
おわりに
現在、こういった医療現場の泥臭い課題をテクノロジーで解決し、事業としてスケールさせていくビジネスの最前線に非常に興味を持っています。 「医療×IT」の領域で、現場から本気で社会を変えようとしている方々、ぜひカジュアルにお話ししましょう!