研究プロジェクトのお話 その4
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第4回
異業種8人の凸凹チーム。
「多数決に逃げない」と決めた私たちが、本音で議論できるようになるまで
こんにちは、加納です。前回は、誰が使っても同じ成果が出るように、私が裏方で膨大なプロンプトの「標準化」をやり遂げたお話をお伝えしました。
実はあの時、チームの裏側では課題が山積みでした。プロンプト側は私が一人で抱え込み、もう一方のツール作成側でも、技術に強いもう一人のサブリーダーにタスクが集中して、他のメンバーは手が余っている状態。全員が異なる会社から集まり、本業の忙しさもバラバラな8人の大人たち。このままではチームが空中分解しかねない状況でした。
今回は、そんな凸凹チームを機能させるために、私がサブリーダーとして模索したチームビルディングの裏側をお話しします。
■ 「心理的安全性」をどう作るか
私たちのチームには、生成AIに関する賞を受賞するような企業のDX担当であるリーダー、そして大学時代から生成AIを専攻しているプロのエンジニアであるもう一人のサブリーダーがいました。
技術の最前線を走るそんな実力者たちに囲まれ、非エンジニアで女性一人の私は、最初は「技術的な話についていけるだろうか……」と大きな不安を抱えていました。周りのメンバーも初対面同士、どうしても遠慮や気負いがあり、会議はどこか硬い空気から始まりました。
そこで私は、自分の立場を逆に活かすことにしました。「分からないことは、恥ずかしがらずにその場で聞く」「思いついたアイデアは、多少的外れでもまず口に出す」。 自分が一番に発言のハードルを下げるピエロになることで、チーム内に「何を言っても大丈夫なんだ」という空気(心理的安全性)を作ろうと心がけたのです。
■ 持ち回り制の失敗と、会議の「仕組み化」
空気が温まって発言が増えると、今度は「議論が脱線する」「いつまでも結論が出ない」という新しい壁にぶつかりました。
最初は、主体性を持ってもらうためにファシリテーション(司会)や議事録をメンバー全員の持ち回りに指定していました。しかし、それぞれ本業が多忙を極める中、「当番を忘れていた」「アジェンダの準備が間に合わない」という事態が多発してしまいます。
そこで私たちは、ルールをガラリと変えました。
まず、ファシリテーション担当を思い切って固定化。その担当メンバーが「効率的に時間を使いたい」というタイプだったこともあり、会議の時間を非常にタイトに区切って管理してもらうことにしました。「終わらなくても、時間になったら一度区切る」「休憩は絶対にちゃんと取る」。このメリハリが、本業終わりの疲れたメンバーの集中力を劇的に引き上げました。
さらに、負担になっていた議事録担当は思い切って廃止。代わりにGeminiで「Gem(カスタムAI)」を構築し、ミーティングの文字起こしを投入すれば、毎回全く同じ高精度なフォーマットで議事録が自動生成される仕組みを整えたのです。
■ 「多数決に逃げない」という覚悟
そして、最もこだわったのが「結論の出し方」です。 話し合いが平行線になったとき、私たちは「絶対に多数決に逃げない」というルールを決めました。
「みんなでなんとなく決める」のをやめ、リーダーとサブリーダー2人の計3人が責任を背負い、最終的にはリーダーの決断に全員が従う。リーダー陣が覚悟を決めて舵を取るようにしたことで、議論のスピード感は一気に加速していきました。
基準の高いプロたちに揉まれ、刺激を受けながら、ミーティングの仕組みとルールを整えていった日々。チームは少しずつ、同じ未来を見据えて加速し始めました。
しかし、前半の議論に時間をかけすぎたツケは、最終盤に恐ろしいスケジュールとなって私たちに襲いかかります。
次回はいよいよ最終回。20ページの論文執筆と40分のプレゼン発表、その限界の先で掴んだ「最高のサプライズ」についてお話しします。