2021年6月、ペット用品事業の仕事で銀川(ぎんせん)へ出張した。
中国北西部にある寧夏回族自治区の中心都市だ。
現地の代理店と、商品の取り扱いについて話すためだった。
銀川の写真を見返すと、最初に出てくるのは銀川駅だ。
白い屋根がいくつも弧を描き、その向こうには青空が広がっている。
駅に着いたあと、羊雑碎(ヤンザースイ)を食べに行った。
銀川駅の屋根と青空/2021年6月21日
壁のメニューも、運ばれてきた料理も写真に残っている。
羊雑碎は、羊のモツなどを煮込んだ寧夏のスープだ。
写真には、赤いラー油とパクチーの浮いたスープ。
横には、平たいパンも写っている。
それなのに、味のバックアップは取れなかった。
5年たった今、どんな味だったか思い出せない。
銀川に着いて、まず食べに行ったことだけは覚えている。
羊雑碎と平たいパン/2021年6月21日
一人で旅をするのが好きだ。
出張先でも、仕事の合間に時間ができると、一人で街へ出る。
路線バスに乗って、窓の外の店や通りを眺めることもある。
気の向くままに歩き、博物館があれば入ってみることもある。
仕事にはアポが要る。散歩には要らない。
一人なら、次にどこへ行くかを相談しなくていい。
立ち止まりたいところで、立ち止まれる。
6月22日は、寧夏博物館へ。
この地域の歴史や文化を紹介する博物館だ。
そこで、牛の頭骨の化石を撮った。
二本の角が左右に伸び、写真いっぱいに広がっている。
寧夏博物館で撮った牛の頭骨の化石/2021年6月22日
同じ日、丸いガラス張りのビルも撮った。
ガラスには、青空が映っている。
ビルの名前は、もう思い出せない。
それでも、見上げた姿は写真に残っている。
銀川に詳しい人なら、この写真を見て名前がわかるだろうか。
丸いガラス張りのビル/2021年6月22日
夜8時を過ぎても、空はまだ明るかった。
写真に写るのは玉皇閣。
銀川の旧市街に建つ、歴史ある楼閣だ。
屋根の向こうに、雲が画面の端まで広がっている。
20時過ぎの玉皇閣/2021年6月22日
次の写真は、夕暮れの商店街。
道端でギターを弾く人がいる。
そのそばを、人が通り過ぎる。
店の看板が光っているのに、空はまだ明るい。
商店街でギターを弾く人/2021年6月22日
これまで、中国の省や自治区の中心都市をいくつか訪れた。
銀川は、その中でも少しのんびりしているように感じた。
あの晩の私自身が、急いでいなかったからかもしれない。
昼は仕事をする。
空いた時間には、一人で街を歩く。
人や店を眺め、ときどき空を見上げる。
行き先が決まっていなくても、もう少し歩いてみたくなる。
私には、そんな時間も旅の一部だ。
6月23日、帰りの飛行機から窓の外を撮った。
道路で区切られた農地が、四角く並んでいる。
その先には、もっと淡い色の地面が広がっていた。
今、写真を見返しても、羊雑碎の味は思い出せない。
あのガラス張りのビルの名前も出てこない。
それでも、銀川の夕暮れははっきり覚えている。
道端でギターを弾く人がいた。
看板は光り、空はまだ明るかった。
その中を、私は一人で歩いていた。
帰りの飛行機から見た風景/2021年6月23日
参考資料:
· 写真はすべて本人撮影
· 寧夏回族自治区農業農村庁「来宁夏,尝尝这地道的杂碎」 ――羊杂碎の料理説明。
· 銀川市人民政府「银川玉皇阁」 ――建物名の確認。
· 人民日報海外版「聆听塞上江南的文明交响」 ――寧夏博物館の展示品名の確認。
· 銀川市人民政府「银川简介」 ――銀川の位置付けの確認。
#銀川
#一人旅
#街歩き