エディトリアルデザイン考
エディトリアルデザインとは?
突然ですが、「エディトリアルデザイン」をご存知ですか?
私はエディトリアルデザインを主な仕事にしているのですが、初対面の方に「エディトリアルデザインの仕事をしています。書籍や雑誌のデザインです」とお話しすると多くの場合、頭の上に疑問符が浮かんでいるのが見えるのです。(見えないけど)
「……イラストを描いたりするんですか?それとも文章?」と質問されることも多いので、なんとかわかりやすく伝えられないものかと思案することになります。
一般的に「出版物=編集者が作るもの」という図式は浸透してるように思いますが、黒子たるデザイナーの存在を意識する人は多くないのでしょう。
そこで、「どんな紙を使うか、どんな大きさにするか、どんな書体をどんな大きさで使って、写真やイラストレーションをどう使うか、そもそも写真やイラストレーションを使うのか否か、使うのであればどんなものにして誰に依頼するか、そしてどんな色を使ってどう配置するか、ということを考えて、かたちのない情報を手にとって読むことができる『本』というモノにする仕事、見た目の全てを作る仕事です」と説明すると一定の理解を得られるような気がします。
建築に例えると……
それから、建築(家)に例えることもあります。
「家に例えると、設計をして図面を担当する建築士・設計士が我々デザイナー、建具や資材を提供してくれるのがフォトグラファーやイラストレーター、現場で家そのものを建ててくれる大工さんが印刷所の職人さんやDTPオペレーターです」という説明で伝わるように思うのですがどうでしょうか。(合ってる?)
情報を伝えるということ
そもそも「本」とはどういう存在なのでしょうか。
それは人の中にある思想や感情、物語や伝えるべき情報という、そのままでは共有することが難しい極めて抽象的なものを、具体的な紙という物体に文字という伝達手段を介して定着させ、時間と距離を超えて誰でも触れることができるかたちに具現化した存在だと考えます。
すなわち人間の根源的な欲求である情報の伝達、そしてそれを誰かと共有するという行為を、手に取ることができるかたちにしたものなのだと思います。
現在のデジタルメディアも、そんな情報の伝達と共有を発展させたものでしょう。
紙の世界と液晶の先にある情報の世界とは決して乖離した存在ではなく、情報の伝達と共有という視点から俯瞰すると共通の存在であることがわかります。
そんな観点から、UI/UXの世界とエディトリアルデザインの世界はとても似通った思想と役割の上に存在しているなと思うのです。