分析で終わらせるな。解析に移せ。 ―― 違和感の正体を追い続けた先で見えたこと
分析で終わらせるな。解析に移せ。
―― 違和感の正体を追い続けた先で見えたこと
仕事をしていると、「何かがおかしい」と感じる瞬間がある。
上がってきた企画書。 完成したコンテンツ。 会議で交わされた会話。 組織の中で繰り返される出来事。
数字や事実だけを見れば成立している。大きなミスがあるわけでもない。それでも、なぜか引っかかる。
私はその感覚を大事にしている。 なぜなら、その違和感の中に、本質的な課題が隠れていることが少なくないからだ。
しかし、違和感を持つだけでは意味がない。 大切なのは、その違和感を分解し、構造を見つけ、次の意思決定につなげることだと思っている。
私はそれを、 「分析で終わらせるな。解析に移せ。」 という言葉で整理している。
分析は「現状」を知るためのもの
先日、あるコンテンツ制作の場面で、この考え方を改めて実感する出来事があった。
完成した成果物を確認したとき、大きな間違いがあるわけではなかった。 内容もまとまっている。伝えたいことも理解できる。 それでも私は、どこか説明しきれない違和感を覚えた。
最後まで読み終えたとき、 「このコンテンツは、本当は何を伝えたいのだろう」 という感覚が残ったのだ。
そこで私は、まず分析を行った。 事象を分解し、事実を整理する。
- ターゲットは誰なのか。
- 伝えたいメッセージは何なのか。
- 構成と目的は一致しているのか。
一つひとつ確認していくと、いくつかのズレが見えてきた。 ここまでは分析である。現状を把握し、問題を特定する工程だ。
しかし、本当に重要なのはここから先だった。
解析は「構造」を見つけるためのもの
私が知りたかったのは、「何がズレているのか」ではなく、「なぜそのズレが生まれたのか」だった。
そこで視点を変えた。 成果物だけを見るのではなく、それが生まれるまでのプロセス全体を振り返ってみた。 すると、一つの仮説が見えてきた。
「問題は成果物そのものではなく、もっと上流にあるのではないか」
もし企画段階でゴール設定が曖昧だったとしたら。 関係者の間で目的の認識が揃っていなかったとしたら。 最終的な着地点が共有されていなかったとしたら。
その後の工程で起きるズレは、ある意味で必然になる。 つまり、目の前に見えていた問題は「結果」であり、本当の原因はその前段階の「設計」にあった可能性が高い。
ここで初めて私は、「成果物の修正」ではなく、「設計の確認」という次のアクションを選ぶことができた。
これが私にとっての解析である。
解析の価値は「未来」を変えられること
分析は過去や現在を説明する。 一方で解析は未来の行動を決める。 この違いは大きい。
分析だけで終われば、「ここを直しましょう」で終わる。 しかし解析まで進めば、「次回から同じ問題を起こさないためにはどうすればいいか」という話になる。
私が仕事の中で本当に欲しいのは、後者だ。 目の前の問題を解決することも大切だが、それ以上に「同じ問題を繰り返さない仕組み」を作ることに価値を感じる。
だから私は、企画でも、コンテンツ制作でも、組織づくりでも、人材育成でも、「なぜそうなったのか」を考え続ける。
違和感の先にあるもの
振り返ってみると、以前の私は分析で止まっていたことも多かったと思う。
問題を見つける。 課題を整理する。 改善案を出す。 それで十分仕事をしている気になっていた。
しかし最近は、違和感の先にある構造を見ることが増えた。
- 誰が悪いのかではなく、なぜそうなったのか。
- 能力の問題ではなく、仕組みの問題ではないか。
- 目の前の現象ではなく、その現象を生み出している構造は何か。
そう考えるようになった。
違和感を感じる。分解する。構造を探す。そして未来の意思決定につなげる。 私が大切にしているのは、その一連のプロセスだ。
分析は現状を知るためにある。 解析は未来を変えるためにある。
だから私はこれからも、違和感に出会ったとき、自分にこう言い聞かせたい。
分析で終わらせるな。解析に移せ。 本当に見るべきものは、いつも現象の奥にあるのだから。
【編集後記】
この記事は、誰かを評価したり、特定の出来事を論じたりするために書いたものではありません。
日々コンテンツをつくる中で感じた違和感の正体を、自分なりに整理していく過程で見えてきたことを言葉にしてみました。
編集という仕事は、目の前の事実を集めるだけでは終わりません。その事実がなぜ生まれたのか、その背景にはどのような構造があるのかを考え続ける仕事でもあると思っています。
今回あらためて感じたのは、問題の答えは現象の中ではなく、その奥にあることが多いということです。
これからも一つひとつの違和感を大切にしながら、物事の本質に少しでも近づけるよう、問い続けていきたいと思います。